柔道関連書籍紹介

高い志を持って勝負にこだわり、引退後も柔道界の発展に尽くしてきた佐藤宣践氏。
佐藤氏の柔道人生を記した自伝書「力必達」には、柔道の魅力や柔道界に対する熱い思いが綴られています。

佐藤宣践先生退職記念集「力必達」

力必達
目次

9.体育学部長の6年間

シドニーオリンピックの翌年、平成13年(2001)4月には東海大学体育学部長に就任した。それから3期6年間、5学科の主任・副主任を軸に多くの人々に支えられ気持ち良く仕事をすることができたことに対し、感謝の気持ちで一杯である。
就任の折、松前達郎総長からはスポーツの振興とスポーツ・レジャーマネジメント学科の設置について依頼があった。就任すると、主任・副主任会を中心に依頼事項の実施計画案を立てて実行に移した。最初の2年間は夜の10時過ぎまで会議することも度々であった。
詳しいことは平成19年(2007)11月に発刊された「体育学部40年史」に記載されている。私が推進した代表的案件は、以下の6件である。

  • 3学科から5学科へと改組・改編し、新たにスポーツ・レジャーマネジメント学科を設置した。
  • 運動部の強化に関しては、強化ランク制度を考案、導入して対象を絞り込んだ。この制度は、推薦入試や奨学金ともつながり、また指導者確保に反映されている。
  • 一般体育の全学必修化に向けて取り組んだ。東海大学では2001年度から一般体育が選択必修科目となった。体育関係者にとっては驚きの一言に尽きる。
    大学のカリキュラム委員会からは、シラバス内容及び指導者の取り組み方がお粗末であるとの手厳しい指摘があった。そこで実態を調べなおして改善し、再び全学必修となるように努力した。私の在任中は実現しなかったが、2008年に2010年度からの必修化が決まった。
  • 大学院体育学研究科に博士コースを設置することについて検討した。大学院の充実は大変重要であり、継続審議となっている。
  • 体育学部は、東海大学の中では医学部とともに人気のある学部である。基礎学力も高い。いま、日本では少子化が進む中で質の高い学生をいかに確保するか、各大学間の競争が激化している。そのような中、広報や入試などに知恵を出し合い、全国的に見ても早稲田大学に次ぐ人気を得るようになった。
  • 人事計画は学部長の重要な仕事の一つである。「人は石垣、人は城」、将来を展望してのガイドラインを作成した。

私の在任期間は、日本の「体育・スポーツバブル時代」と言ってよい。雨後の竹の子の如く体育・スポーツ系学部、学科、コースが設置された。その流れは、未だに止まっていない。もはや過当競争時代に入ったと言えるだろう。
このような状況下で、競争力を落とさないためには、小学校教員免許状が取得できる道を開き、スポーツトレーナー学科の設置、及び大学院博士課程を設けることなどを真剣に検討しなければならない。是非実現に向けて努力してもらいたい。

ともあれ、私は「ダンプカー」と言われていたようである。確かに強引に仕事を進めたことだろう。暴走しなかったのは、体育学部とスポーツ教育センターの教職員が方向を間違えないよう、適切にブレーキを踏み、うまく運転してくれたお陰である。


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