世界柔道選手権2010 東京大会

大会レポート

全日本柔道連盟 吉村和郎強化委員長のコメント

吉村和郎強化委員長吉村和郎強化委員長

男子については、4月に代表が決まってから選手達を強化してきた。前回(ロッテルダム)の結果を、挽回できたと思う。非常に頑張ってたきた甲斐があった。

若手とベテランが、今まで以上に練習をしてくれた。篠原監督が、ベテラン達に若手を見てくれと声を掛け、若手はベテランの背中を見て練習していた。それがいい刺激になった。代表的なのが森下。誰も勝てるとは思っていなかった。 (彼は)練習の中で、ベテランの動きをみて、自分の技を極めていった。 その相乗効果は大きかった。

女子は、力をつけて強くなってきた。しかし今回は好成績だが、決して安泰ではない。オリンピックまで、若手の取りこぼしがないように、強化していく。今後は、70kg級と78kg級をどう立て直すかが課題。70kg級には、田知本(遥)と上野の妹(巴恵)がいるので、その二人も見ていきたい。78kg級はもっと柔道を知るべき。反省点を洗い出し、もっと強化していく。それから63kg級は、上野が勝利したが、甘い戦い方だった。この階級は、もう一人強い選手がいて欲しい。

とにかく、今回は代表枠が2名。第2代表と言われた杉本、森下などの新しい人間が、結果を残した事には収穫があった。しかし、地元という好条件もあった。オリンピックは代表が1名なので、頑張って欲しい。

全日本男子 篠原信一監督のコメント

篠原信一監督篠原信一監督

上川は、世界チャンピオン相手に非常に良かった。強化合宿でやってきたことが、今日は全部出ましたね。上川には「補欠だよ」と散々言ってきました。結果は金メダル。価値がありますよ。

高橋は左膝を痛めて、本調子ではなかったみたいです。でも勝つという気持ちは伝わりました。鈴木は、オリンピック・世界柔道を経験し、天国と地獄を知っている選手です。集中力がありました。

今日、上川が頑張れたのは、合宿や試合などで面倒をみてくれたベテランのお陰でもあります。みんなで掴んだ金メダルですよ。今大会、自分の力を出した人間、出し切れなかった人間がいます。しっかり投げて、1本が獲れる柔道を、引き続き強化していきます。

全日本男子 井上康生コーチのコメント

井上康生コーチ井上康生コーチ

今大会の好成績について

去年の世界柔道選手権(ロッテルダム)以降、徹底した強化を図ってきました。選手たちは良く頑張ったし、監督や携わった多くの方々のお陰で、この様な好成績が獲れたと思います。

今回、無差別で優勝した上川選手は、重量級に必要な要素を十分に持った選手でした。高校の時から注目されていましたが、今回の金メダルは重量級における今後の展望を考える上で、凄く大きな材料になったと思います。

今大会での若手の活躍は、これからの柔道界にとっては、大きな意味があると思います。来年のフランスで行なわれる世界柔道選手権から、次のロンドン五輪まで、しっかり照準を絞って強化していきます。

また、ベテラン選手達の中にも、実力のある選手はまだたくさんいます。例えば、今回は勝てませんでしたが、小野選手などは、本当は優勝すべき選手だったと思います。ただ何かが足りなくて、残念な結果になりました。でも、同じ階級で西山選手が2位に入った事は、彼にいい刺激を与える事が出来たのではないかと思います。これからの小野選手は楽しみです。

日本柔道の今後について

今年は、東京での開催でした。選手が試合に挑む環境も整っており、海外の選手に比べれば、全て有利なコンディションで試合に挑めました。これが、今回メダルを数多く獲得できた大きな理由の1つだと思います。

ただ海外の大会でも、今回と同じ数のメダルが獲れるかと考えると、今のままでは獲れないと思います。ですが、これからの強化によって、可能性は十分に広がると信じています。私は、今大会を超える数のメダルを獲る事が、次の世界選手権・オリンピックでも出来ると信じています。

今大会以上のメダルが獲れるように、明日ではなく、今日からまた頑張っていきます。

全日本女子 園田隆二監督のコメント

園田隆二監督園田隆二監督

杉本は、塚田が(無差別級を)辞退してプレッシャーがあったんでしょうね。でもあれぐらいでプレッシャーを感じていたら、オリンピックではもちませんよ。 しかし、優勝はたいしたものです。今まで怪我ばかりだった人間が、大黒柱になってくれました。嬉しいことです。

田知本は、意気込んでましたが、今までやってきた基本の部分が甘かったですね。数ヵ月で勝てる程、甘くはありません。今回の銅メダルを糧にして、次に繋げて欲しいです。

今大会は、全階級制覇を目指していましたが、出来ませんでした。やはり問題となっていた、70kg級と78kg級ですね。でも、78kg超級と無差別級が獲れたので、五分五分ではないでしょうか。今後の課題としては、技の使いどころを見ていきます。確実に金メダルが獲れるように、強化していきます。


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