大会直前インタビュー

今年の柔道グランドスラム東京2017はまずひとつ、今までと大きく違うことがあります。それは、今年のブダペスト世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)で優勝した選手が今大会で優勝すれば、その時点で2018年の世界選手権代表の内定が得られるということです。
これにより、今大会は日本代表全選手がしっかりと調整して出場すると思うので、戦いも相当シビアなものになることが予想されます。
世界チャンピオンに優勝されたら世界選手権出場のチャンスが一気に減ってしまうため、世界を目指している2、3番手の選手は、チャンピオンを引きずり降ろし、自分自身が「最後まで勝ち切るんだ」という強い気持ちを見せてほしいですね。逆にチャンピオンたちには、2018年の代表の座を獲得できるよう、しっかりと地力の違いを見せてほしいところです。
今大会は内容もさることながら、結果が重要であることを、どの選手もしっかりと認識して試合に臨んでほしいと思います。
今大会、最も注目度が高いのは男子73s級でしょう。今年の世界選手権で優勝した橋本壮一(パーク24)と2016年のリオデジャネイロ五輪(柔道)金メダリストの大野将平(旭化成)が出場します。久々の試合で大野がどんな試合を見せるのか。橋本との直接対決が実現するかは分かりませんが、頂上対決となればきっと盛り上がるでしょうね。
また、11月の講道館杯全日本体重別選手権大会(以下、講道館杯)で優勝した立川新(東海大学2年)、同大会2位の野上廉太郎(筑波大学1年)という若手も力を付けているので、上位の2人でも侮ることはできないと思います。若い2人が外国人選手を相手にどんな試合をするのかも楽しみです。
男子100s級も今年の世界王者ウルフ・アロン(東海大学4年)、2015年世界王者の羽賀龍之介(旭化成)、そして今年11月の講道館杯を制した若手の飯田健太郎(国士舘大学1年)と好選手が揃っています。
10月の全日本学生体重別団体優勝大会ではウルフと飯田が対戦し、その試合ではウルフが力の差を見せて勝ちましたが、若い選手の成長というのは驚く程早いため、次の対戦ではどうなるか分かりません。両者の戦いぶりにも注目したいと思います。
男子66s級の阿部一二三(日本体育大学2年)は、今年の世界選手権で圧倒的な内容で優勝しました。国内でも実力的にはずば抜けていますから、阿部には今大会も油断することなくしっかりと優勝してほしいのですが、逆にそれに続く選手にも大いに奮闘してほしいと思います。
女子の見どころもたくさんありますが、特に注目しているのは52s級です。今年の世界選手権では日本人同士の決勝の末、志々目愛(了徳寺学園)が優勝、角田夏美(了徳寺学園)が2位という結果となりました。
今大会にはこの2人の他に、阿部一二三の妹、超大型新人の阿部詩(夙川学院高校2年)が出場します。この三つ巴の戦いは目が離せない。11月の講道館杯を制した阿部にとっては、その実力がシニアで通用するものなのかを試される大会になると思います。
48s級は今年の世界選手権で女王となった渡名喜風南(帝京大学4年)と、同大会3位の近藤亜美(三井住友海上)の、同年代ライバル対決が注目されます。この2人による第一人者対決は熾烈なものになるでしょう。実力のあるモンゴルや韓国選手との対決で取りこぼすことがないように、しっかりと戦ってほしいと思います。
あと、78s超級は先の世界無差別選手権大会で優勝を果たした朝比奈沙羅(東海大学3年)が優勝候補の筆頭で、実力的に少し抜けているとは思いますが、高校2年生の素根輝(南筑高校2年)の活躍にも期待したいところですね。
いずれにしても、世界チャンピオンには実力を出し、しっかりと勝ち切ってほしい。そしてその他の選手たちには、代表選考をもつれさせるような戦いぶりを見せてほしいと思っています。
この大会は、来年の世界選手権はもちろんですが、2020年の東京五輪(柔道)にまで繋がっていると言っても過言ではありません。選手たちの奮闘に大いに期待したいと思います。
※掲載内容は2017年11月17日時点のものです。

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