オリンピック、世界柔道選手権大会のメダリストを筆頭に、国内外の強豪たちが集まる「柔道グランドスラム東京2011」の見どころや、今年の有力選手を全日本柔道女子の園田隆二監督にお聞きしました。
優勝候補の福見だが、今大会が正念場

48kg級は、昨年、今年と世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)で連覇を成し遂げた浅見八瑠奈(コマツ)と一昨年世界選手権で優勝した福見友子(了徳寺学園職員)の決勝対決になると思います。
- 世界柔道選手権大会2011年〜2009年大会成績(女子48kg級)
ここで浅見が勝つようだと、はっきりと差が出てしまう。福見にとっては正念場の大会と言っていいでしょうね。外国勢では、今年の世界選手権で3位に入ったメネゼス(ブラジル)とセルノビッキ(ハンガリー)が要注意だと思います。
今大会の52kg級では西田優香(了徳寺学園職員)が出場しないため、今年の世界選手権で王座に返り咲いた中村美里(三井住友海上)が優勝候補の筆頭。ケガもありますが、問題なくやってくれると思います。
- 世界柔道選手権大会2011年大会成績(女子52kg級)
この階級は中村、西田に続く選手が育っていないので、大学生の加賀谷千保(山梨学院大学3年)、橋本優貴(金沢学院大学4年)、高校生の宮川拓美(小松大谷高校3年)ら若手の頑張りにも大いに期待したいですね。
外国人選手では、今年の世界選手権3位のカラスコサ(スペイン)、同3位のチツ(ルーマニア)などが有力です。
松本、佐藤の新旧王者対決

57kg級は、昨年の世界選手権優勝の松本薫(フォーリーフジャパン)と今年の世界選手権で見事復活優勝を果たした佐藤愛子(了徳寺学園職員)の2人が決勝で戦ってほしいですね。
- 世界柔道選手権大会2011年、2010年大会成績(女子57kg級)
この2人は外国人選手と絶対的な力の差があるわけではないので、しっかりと勝ち上がれるのか不安はあります。
松本はケガもありますが、戦い方自体が外国人選手に研究されており、以前のように勝てなくなってきています。
佐藤も世界王者にはなりましたが、相手のタイプによっては力を出し切れないところがあります。そういう意味では、今回どのような試合をするか、オリンピック代表争いにおいても重要な試合になることは間違いないでしょう。
若い山本杏(桐蔭学園高校2年)がどんな試合をするのかも注目してほしいですね。
63kg級は、やはり上野順恵(三井住友海上火災保険)ですね。今年の世界選手権決勝では、地元フランスのエマヌに不覚をとりましたが、内容的には負けていなかったと思います。
- 世界柔道選手権大会2011年大会成績(女子63kg級)
ただ、上野のほうが勝っていたかというと、そうとも言えなく、ほとんど力の差はないと思います。はっきり言って、国内には現時点で上野に続く選手がいないため、上野に頑張ってもらうしかないですね。
そういう意味でも、若い安松春香(環太平洋大学2年)には期待しています。せっかくのチャンスなので、勝ち負けに関係なく、思い切り戦ってほしいと思いますね。
緒方、佐藤のライバル対決に注目

70kg級に関しては、正直かなり厳しい戦いが予想されます。日本の第一人者の國原頼子(自衛隊体育学校)が講道館杯で負傷して今回出ませんので、日本代表の田知本遥(東海大学3年)に頑張ってもらわなければいけません。
田知本は技に力もあり強いのですが、実力を十分に発揮できないようなところがあって、それが成績のムラになっています。地力はある選手なので、そこをしっかりと本番でも出してほしいと思います。
上野巴恵(三井住友海上火災保険)、大野陽子(立命館大学4年)など、田知本と同世代の選手にも期待したいですね。
78kg級は今年の世界選手権優勝のチュメオ(フランス)が出ていませんので、緒方亜香里(筑波大学3年)、佐藤瑠香(コマツ)の2人が決勝で対決するようでないと困りますね。
実力的にはIJFポイントランキング2位の緒方のほうが少し上だと思いますが、佐藤は気持ちが強く、特に緒方に対しては分がいいようです。
緒方が世界の頂点に立つには佐藤のようにガツガツと前に出てくる選手をどうさばくかが課題でしょうね。2人がどんな戦いをするのか大いに注目したいと思います。
海外勢としては昨年の世界選手権優勝、今年の世界選手権3位のハリソン(アメリカ)、同じく今年の世界選手権3位のアギアール(ブラジル)が有力です。
- 世界柔道選手権大会2011年、2010年大会成績(女子78kg級)
78kg超級は、中国のトウブンなどの強豪が出場しないため、杉本美香(コマツ)、田知本愛(綜合警備保障)の2人がしっかりと勝ち上がって、決勝で対決してほしいと思いますね。
日本で行ないますが、国内大会ではありませんので、審判も全員が外国人になります。その中で2人がどういう内容の試合をし、どういう判定をされるのか。
非常に中立的なジャッジがなされるわけですから、ロンドンオリンピック代表決定の上でも、非常に重要な戦いになると思います。

Facebook
X(エックス)
Youtube
Instagram

















