オリンピック、世界柔道選手権大会のメダリストを筆頭に、国内外の強豪たちが集まる「柔道グランドスラム東京2011」の見どころや、今年の有力選手を全日本柔道男子の篠原信一監督にお聞きしました。
高藤や、海老沼、森下らの若手に期待

60s級は、実力的にはやはり平岡拓晃(了徳寺学園職員)が抜けています。
続くのが今年の世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)の代表でもある山本浩史(日本体育大学4年)。この二人には日本のトップとしての実力を見せてほしい。
- 世界柔道選手権大会2011年大会成績(男子60kg級)
注目しているのは、講道館杯全日本柔道体重別選手権大会(以下、講道館杯)で準優勝の高藤直寿(東海大学付属相模高校3年)。
- 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会2011年大会成績(男子60kg級)
ここで優勝でもしたらポイントは300点。IJFポイントランキングでもロンドンオリンピックの出場枠内に入ってくるので、オリンピックも夢じゃなくなる。こういう活きのいい若手がどんな試合をするのか、とても楽しみです。
外国人ではザンタライア(ウクライナ)やガルスチャン(ロシア)は力強い選手で、日本選手にとって強敵ですね。
66s級は、今年の世界選手権で優勝した海老沼匡(明治大学4年)が安定しています。逆に昨年の世界選手権を優勝した森下純平(筑波大学3年)がこのところちょっと元気がないですね。ただ、森下は本番に強いタイプですから、今大会は期待したいと思います。
- 世界柔道選手権大会2011年、2010年大会成績(男子66kg級)
海老沼、森下、そして高上智史(日本体育大学2年)と、みんな20歳そこそこと若いので、ライバル意識を出して頑張ってほしいと思います。
外国人選手では、モグシュコフ(ロシア)やチョ・ジュンホ(韓国)が強いですね。
中矢と秋本の対決と、世界王者に挑む西山、小野に注目
73s級は、今年の世界選手権で優勝した中矢力(東海大学4年)が安定感もあり、非常にいい状態です。
ただ、昨年の世界選手権で優勝した秋本啓之(了徳寺学園職員)もよく練習していますから、ロンドンオリンピックに向けて2人の対決は楽しみですね。
- 世界柔道選手権大会 2010年、2011年大会成績(男子73kg級)
両選手が出ている大会でどういう試合をするのか、目が離せない戦いになると思います。組み合わせは分かりませんが、ぜひ決勝で戦ってほしいですね。
81s級は厳しい階級ですが、昨年とメンバーがかなり変わっています。新しく日本代表になった選手がどんな試合をするのか、注目したいですね。一番手は中井貴裕(流通経済大学3年)ですが、圧倒的な差があるわけではないので、他の選手にもぜひ頑張ってほしい。
海外からは世界選手権連覇のキム・ジェブン(韓国)が来ます。キムは技が切れるわけではありませんが、勝負に対する執念が凄い。あれは日本人選手にも見習ってほしいですね。
90s級の注目選手は、世界選手権連覇のイリアディス(ギリシャ)です。世界選手権では小野卓志(了徳寺学園職員)、西山大希(筑波大学3年)ともにイリアディスに負けています。彼をいかに倒すかが、日本にとって最大の課題と言えるでしょうね。
- 世界柔道選手権大会 2010年、2011年大会成績(男子90kg級)
日本選手に関して言うと、小野、西山大希、2人の対決はロンドンオリンピックの代表争いにおいて非常に重要な戦いになると思います。
ベテラン選手の復調具合と、若手の活躍に期待

100s級の穴井隆将(天理大学職員)は今年の世界選手権前のケガで結果を出せず、しばらく元気がありませんでした。
ですが、ようやくしっかり組んで稽古できるようになってきたので、今大会では大技や、連絡技を見せてくれると思います。
ただ、海外からはラコフ(カザフスタン)、チレキゼ(グルジア)、グロル(オランダ)、クレパレク(チェコ)など強い選手がたくさん出場しますので、簡単には勝てないでしょうね。
若手では、羽賀龍之介(東海大学2年)に期待しています。シニアの世界トップ選手を相手にどれだけ戦えるのか。しっかり経験を積んで、穴井を脅かす存在になってほしいと思います。
100s超級も昨年までの代表メンバーとは大幅に変わっています。その中で、唯一残っているのがベテランの鈴木桂治(国士舘大学教員)。まだ本調子ではありませんが、なんとか意地を見せてほしいですね。
講道館杯で優勝した石井竜太(日本中央競馬会)、若手の七戸龍(九州電力)、王子谷剛志(東海大学1年)に関しては、パワフルな外国人相手にどんな試合をするのか、結果よりも内容、とにかくアグレッシブな試合を見せてほしいですね。
- 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会2011年大会成績(男子100kg超級)
日本のトップ選手がほとんど出場していて、有力な外国人選手もたくさん出場するわけですから、ここで勝つのと勝たないのでは、大きく違ってきます。 ロンドンオリンピック代表争いという点でも非常に重要な大会になると思います。

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