帯をギュッとね!
柔道漫画のイメージを明るく変えた青春コメディー
帯を結んだ柔道選手
「帯をギュッとね!」は、黒帯所持者の5人の少年が、高校で柔道部を結成するところからスタートする、熱血柔道ラブコメです。小学館の週刊少年漫画雑誌「週刊少年サンデー」に、1989〜1995年(昭和64〜平成7年)まで掲載されました。
主人公の「粉川巧」(こがわたくみ)を中心に、中学生時代にはライバル同士だった、「杉清修」(すぎせいしゅう)、「斉藤浩司」(さいとうこうじ)、「三溝幸宏」(みつみぞゆきひろ)、「宮崎茂」(みやざきしげる)の5人が互いに切磋琢磨しながら、創部したばかりの「浜名湖高校柔道部」でインターハイ優勝を目指します。緻密な階級の描き分けや女子の柔道部員の活躍、理解しやすい柔道技紹介もあり、柔道の取っつきにくいイメージを払拭。「NEW WAVE JUDO COMIC」とコミックスに表記されているように、コメディー色を全面に出し、人気を博しました。強くなり勝利を目指す、スポ根漫画の王道ストーリーを軸に、高校生の日常と恋愛模様も気になる青春漫画としても楽しめます。ライバル校も含めて、多様な登場人物達から目が離せなくなる漫画です。
作者の「河合克敏」(かわいかつとし)さんは、競艇を題材にした「モンキーターン」や、書道部が舞台の「とめはねっ! 鈴里高校書道部」でも有名。「帯をギュッとね!」は、河合克敏さんの初連載作品であり、少年サンデーコミックスから全30巻が発売されています。
YAWARA!
天才柔道少女の愛称にまでなった国民的柔道漫画
「YAWARA!」(やわら!)は、著名な柔道家を祖父に持つヒロイン「猪熊柔」(いのくまやわら)が、自分の天才的能力と「普通でいたい」という願いとの間で葛藤しながらも、柔道に向き合い五輪を制するまでを描いた作品。小学館の青年向け漫画雑誌「ビックコミックスピリッツ」に、1986〜1993年(昭和61〜平成5年)まで掲載されました。かわいらしい容姿で素直な性格のヒロインと柔道の組み合わせは、日本中に女子柔道ブームを巻き起こす一大ヒットを記録。アニメ化・実写映画化もされ、国民的柔道漫画として知られています。
連載中の1990年(平成2年)、小柄な体格で海外の常勝選手を相手に鮮烈な勝利を飾った、「YAWARA!」の世界を現実にしたような天才少女が登場しました。当時中学3年生だった、「田村亮子」(たむらりょうこ、現在は谷亮子)選手です。それ以来、田村亮子選手は日本中から「YAWARAちゃん」と呼ばれるようになり、3回目の五輪出場となった2000年(平成12年)のシドニー五輪で金メダルを獲得しました。谷亮子選手自身も、「YAWARA!」を読み、励まされた読者のひとりです。
作者の「浦沢直樹」(うらさわなおき)さんは、「YAWARA!」の大ヒットで一躍有名漫画家となり、「MONSTER」、「20世紀少年」などヒット作を次々に発表。漫画賞の受賞歴が多い点でも知られ、「YAWARA!」では、1989年(平成元年)に「第35回 小学館漫画賞」を受賞しました。「YAWARA!」はビックコミックスから完全版全20巻で既刊されています。
柔道部物語
読めば分かる高校柔道部の生態
「柔道部物語」は、柔道未経験の主人公が高校入学時に勧誘された柔道部に入部し、才能を開花させながら柔道にまい進するストーリー。講談社の青年向け漫画雑誌「週刊ヤングマガジン」で1985〜1991年(昭和60〜平成3年)まで掲載されました。
中学校では吹奏楽部に所属し、成績も優秀だった「三五十五」(さんごじゅうご)が主人公です。柔道について何も知らず、高校の先輩達の勧誘にだまされる形で、柔道部に入部。髪を坊主にさせられ、先輩達の荒っぽい新入生歓迎行事にあうも、持ち前の負けん気の強さで食らいついていきます。猛練習を重ねて上達し、デビュー戦は背負い投げで一本勝ち。部活の理不尽な上下関係や伝統行事に戸惑いながら、がむしゃらに努力し、柔道の魅力にどんどんはまっていく主人公に勇気をもらえます。白熱の試合シーンと同様に、柔道部員達の日常の練習も丁寧に描き込まれており、「柔道部あるある」が満載の作品です。
作者は「小林まこと」(こばやしまこと)さんで、代表作は踊るネコ「マイケル」が主人公のコメディー「What's Michael?」(ほわっつまいける)。「柔道部物語」と「What's Michael?」は、同時期に連載されていました。「柔道部物語」は、ヤンマガ・KCレジェンドから新装版全8巻が刊行されています。
もういっぽん!
ユルい雰囲気でも本格的な柔道漫画
「もういっぽん!」は、一度は柔道をあきらめようとした主人公が、再び柔道の魅力に気づき、仲間とインターハイや金鷲旗(きんしゅうき)高校柔道大会優勝を目指す作品です。秋田書店の少年漫画雑誌「週刊少年チャンピオン」で、2018年(平成30年)から連載を開始し、2023年(令和5年)からはウェブコミック配信サイト「マンガクロス」に移籍して連載を続けています。
柔道が大好きな主人公の「園田未知」(そのだみち)は、中学生最後の大会で絞め技によって敗北したことにショックを受け、柔道から離れようとしました。その後、「高校生になったら、彼氏を作って甘酸っぱい3年間を送る」と心に決め、高校に入学しますが、中学生最後の大会の対戦相手・「氷浦永遠」(ひうらとわ)との再会によって柔道の楽しさを思い出し、親友の「滝川早苗」(たきがわさなえ)を含む1年生3人で、休部になっていた柔道部を復活。再び柔道着に袖を通す毎日を送ることとなりました。柔道の練習に励む女の子達の本音と、柔道をあきらめない真っ直ぐな気持ちが優しいタッチで描かれており、思わず応援したくなる青春部活漫画です。
作者は「村岡ユウ」(むらおかゆう)さん。「もういっぽん!」は、2023年(令和5年)にテレビアニメとして放送されたことにより、ファンを増やしました。「少年チャンピオンコミックス」で24巻が発売中です。
JJM 女子柔道部物語
金メダリストが原作のリアリティ
「JJM 女子柔道部物語」は、北海道旭川市を舞台に、柔道と出会ったばかりの女子高生「神楽えも」(かぐらえも)が日本女子柔道初の金メダリストになるまでを描いていく作品。JJMは、「女子柔道部物語」の頭文字です。講談社の青年向け漫画雑誌「イブニング」に2016年(平成28年)から連載を開始し、2023年(令和5年)のイブニングの休刊に伴ってウェブコミック配信サイト「コミックDAYS」に移行して連載を続けています。
入部してまもなく、受け身もままならない状態で新人戦に出場し、優勝してしまったエピソードは、原作者の「恵本裕子」(えもとゆうこ)さんの実話に基づく話。恵本裕子さんは、1996年(平成8年)のアトランタ五輪において、たった8年の柔道キャリアで日本女子柔道界に初の金メダルをもたらした伝説の選手です。
作者の小林まことさんは、前述の「柔道部物語」の作者でもあります。恵本裕子さんが「柔道部物語」のファンであることをSNS上で知ったことで交流が生まれ、「JJM女子柔道部物語」で恵本裕子さんの物語を漫画化。イブニングKCから、14巻が発売されています。