1.準備(持ち物・服装など)
接骨院は病院ではありませんが、急性の打撲や捻挫など施術内容によっては保険対象となる場合があるので、健康保険や自賠責保険、労災保険の各種健康保険証を必ず持参しなければなりません。健康保険の対象となるのは骨折や脱臼などの急性のケガだけで、日常の疲労による肩こりや腰痛、慢性化した痛みなどは対象外です。
また、接骨院で急性のケガの治療を行う場合、応急処置以外は医師の同意が必要。同じケガで整形外科と接骨院に同時に通院している場合は健康保険を使っての治療は行えません。ただし、接骨院に通院していて検査のため整形外科に行くことは可能です。自身のケガが保険対象であるか分からない場合は、電話などで事前に確認しておくと安心して施術を受けられます。
持ち物
施術後は、血液やリンパの流れが改善され、代謝が促進されるので、タオルや飲み物を準備しておくと安心。水分が不足すると、せっかく排出しやすくなった老廃物も流れにくくなってしまうので、こまめに水分を補給しましょう。また、女性は施術中にメイクが崩れてしまうこともあるので、化粧品などのアメニティ類を用意していくのがおすすめです。
服装
接骨院では、体をひねったり大きく動かしたりして、患部の動きを確認しながら施術を行うケースが少なくありません。そこで、トップスはTシャツやカットソー、ボトムはジャージやスウェットパンツなど、動きやすくはだけない服装で行きましょう。また、洋服の上から股関節や膝、筋肉などの動きを確認することもあるので、患部の動きや状態の分かりやすい薄手の服装が理想的です。
仕事の帰りや外出前後に施術を受ける場合、スカートを着用していくなら、着替え用のズボンを持参しましょう。特にスカートは、施術中にはだけやすいうえ、足を開く施術などの妨げとなることもあるのでおすすめできません。接骨院によっては、専用の着替えを準備しているところもあるので、事前に電話やホームページなどで確認しておきましょう。
2.受付
接骨院にもよりますが、完全予約制のところもあるので事前に電話やホームページなどで確認が必要です。予約が必須な場合は、希望する日時に予約を取ってから通院となります。
接骨院に到着したら、まずは受付で問診表に記入。いつ頃から痛みが出始めたのか、症状が現れる部位はどこか、どのようなときに痛むのかなど、事前に情報を整理してまとめておくと、スムーズに記入できます。
また、不安なことや気になることがある場合は、スタッフに直接質問しましょう。
3.カウンセリング
カウンセリングは、初回のみ行われるのが基本。問診表に記載した内容をもとに、症状や原因などについて詳しく聞かれるので、どんなときに痛みを強く感じるかなど、なるべく細かく伝えましょう。仕事や運動歴、食生活、生活リズム、これまでに大病や大ケガをしたことがあるかなど、ケガとは関係しないような質問をされることもありますが、患部だけでなく全身の状態を正解に把握するために重要なこと。もし、施術の方法に希望や不安があれば、それに適した施術内容を考えてくれるため、遠慮せず伝えましょう。
接骨院を選ぶ際、丁寧なカウンセリングを行ってくれるかどうかはとても重要なポイント。施術内容や料金について分かりやすく説明してくれるかどうかは、これから先に安心して施術を受けるためのポイントとなるので、しっかり確認する必要があります。
4.検査(視診・触診・検査)
接骨院では、MRIやCTといった画像診断検査やレントゲン撮影は行いません。柔道整復師が視診・触診によって患者の体の状態を調べ、痛みのある部位に加えて他の部位や全身の異常を確認し、過去の病気やケガを参考にしながら診断を進めます。
接骨院における視診とは、柔道整復師が患者の外観や体の特徴を目視する検査方法のこと。姿勢・歩行・腫脹(しゅちょう:アレルギー反応や炎症、腫瘍によって血管透過性が亢進し、タンパク質を含んだ血液滲出成分が血管の外へ漏れ出し局所が腫れあがること)・皮膚の変化などを調べます。また、患者が立っているとき・歩くとき・座るときの姿勢も観察し、体の歪みを見つけることが可能です。
一方、接骨院における触診は、柔道整復師が手で患部に直接触れる方法で、腫れやしこり、痛みなどの異常がないか確かめるのが目的。関節の可動域やどんな動きをしたときに痛みや不快を感じるかなどもチェックする段階です。
ひととおり検査が終わると、痛みの状況や原因、今後の施術内容などについて詳しく説明を受けます。ここでも、痛みや治療方針などについて気になることがあれば、遠慮なく質問しましょう。
5.施術
接骨院の施術では、手で揉んだり押したりする「手技療法」や、弱い電流を体に流す電流治療機などの治療機器によって、施術を行います。柔道整復師は医師ではないため、切開や注射などの医療行為は行えません。応急処置以降も継続して接骨院で骨折・脱臼の治療を受ける場合には、医師の許可が必要です。
柔道整復師の専門分野は、骨折・脱臼・捻挫・打撲・肉離れなど。急性期の場合、受傷後2〜3日間は外傷の緊急処置の基本であるRICE処置(安静[Rest]、冷却[Icing]、圧迫[Compression]、挙上[Elevation])を行います。
- ・安静
- 安静は、損傷部位の腫れ、血管や神経の損傷を防ぐのが目的。副子(ふくし:骨折など外傷をしたときに患部に当てて固定する機材のこと)やテーピングを用いて損傷部位を固定します。
- ・冷却
- 冷却は、疼痛や2次性の低酸素障害による細胞壊死と腫脹を抑えるのが目的。患部の冷却を繰り返すことで炎症の鎮静化や疼痛を軽減することが可能です。
- ・圧迫
- 圧迫は、患部の内出血や腫脹を防ぐのが目的。弾性包帯やテーピングなどで圧迫し固定します。
- ・挙上
- 挙上は、腫脹の予防と軽減を図るのが目的。損傷部位を心臓より高く上げ、安静に保つことが重要です。
痛みや炎症が治まったあと、温熱療法、手技療法、電気療法、運動療法などの方法で治療が行われます。施術中に痛みを生じる場合は、遠慮せずに伝えましょう。
6.説明・アドバイス
施術後には、体の状態について説明され、再発防止や早期改善に向けたアドバイスを受けます。継続して治療が必要な場合は、担当の柔道整復師とよく相談して治療計画を立てましょう。
日常生活のなかで癖づけられた動作や姿勢があると、体のバランスが崩れ、痛みを感じるケースが少なくありません。まずは自身の癖を正確に把握し、できるだけ正しい姿勢を取れるように努力することが重要です。接骨院では、セルフケアをアドバイスしてもらえるので、自宅で簡単なトレーニングを継続し、早期の回復と再発の予防を目指しましょう。