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接骨院と整体・カイロプラクティックの違い

接骨院と整体・カイロプラクティックの違い

接骨院と整体・カイロプラクティックの違いを知っている人は、あまり多くないかもしれません。接骨院、整体、カイロプラクティックそれぞれの違いはあまり知られておらず、どんな悩みがあるときにどの種類の施術を受ければ良いのか、よく分からない人も少なくないでしょう。それぞれの施設の違いや施術内容、保険適用の有無、目安となる費用などを比較してご紹介します。

接骨院と整体院の違い

接骨院の施術内容

接骨院の施術は、骨折や脱臼、捻挫、打撲など、骨や関節・筋肉の怪我を緩和してくれる場所です。「柔道整復師」（じゅうどうせいふくし）という国家資格を持った専門家が施術してくれますが、柔道整復師は医師免許とは違うため、体の一部を切ったり注射したりする医療行為をすることはできません。そのため、接骨院では注射や切除等は行わず、手技（しゅぎ：指圧など手指を使った施術）や電気、温熱などの施術が中心です。患部をアイシングで冷やしたり、マッサージしたりするほか、場合によっては超音波などを使用。これらの施術は、体の自然回復力を高め、炎症の早期回復を促すものです。

柔道整復師という名称からも分かるように、接骨院は柔道と深い関係があります。江戸時代に、柔道の前身である武術「柔術」（じゅうじゅつ）と接骨術が結び付いて、接骨院の基礎が誕生しました。整形外科の病院がまだ充実していなかった明治時代から昭和時代にかけては、接骨院が主な治療施設として活躍。「ほねつぎ」と呼ばれ、人々から頼りにされる存在でした。

現在、柔道選手のなかには、骨や関節の怪我に悩まされ、接骨院に通う人も少なくありません。柔道整復師には柔道有段者も多いため、色々な相談ができることもメリットです。接骨院では、リハビリや怪我の予防指導も行っているため、柔道以外のスポーツにおける負傷や、部活動での負傷が原因で通院する人も大勢います。

接骨院の費用

接骨院では、病院と同様に、国民健康保険や社会保険、組合保険、後期高齢者医療制度、乳幼児医療助成制度などの利用が可能。交通事故による怪我には自賠責保険、仕事中や通勤途中の怪我については労災保険もそれぞれ適用されます。ただし、保険適用となるのは1週間以内に起きた急性の症状についてのみ。スポーツの試合や練習中の怪我、日常生活における突発的な怪我が主な対象です。スポーツの怪我には、突発性の事故の他にも、「スポーツ障害」と呼ばれる症状が挙げられます。スポーツ障害は、体の特定の部分を使い続けることによって起こる症状で、テニス肘や野球肘、ジャンパー膝（バレーボールやバスケットボールで見られる症状で、膝に負荷がかかり炎症を起こす症状）などが代表的。スポーツ障害は、保険適用になる場合とならない場合があるので、症状や時期を詳しく伝えた上で確認してもらいましょう。

また、欧米では「魔女の一撃」と言われるほど突然の激痛が走るギックリ腰も、もちろん保険適用の対象です。症状が出てから日数が経過してしまうと急性症状とはみなされず、保険が適用されない場合もあるため、なるべく早く施術を受けるのがおすすめ。保険適用の場合、自己負担額は3割もしくは1割です。

自己負担金の目安は、初検料が1,200円程度、2回目以降は500～700円程度ですが、次の施術を受けるまでに期間が1ヵ月以上空いてしまうと、再び初検料が加算されます。また、肩こりなどの慢性症状や、慰安目的の施術については原則保険の対象とはなりません。慢性的な肩こりや腰痛については、施術を受けられる場合もありますが、費用については全額自己負担です。

整体院の施術内容

整体は、漢字で表されている通り、体を整えることが目的。接骨院が怪我などで痛みが出ている一部を施術するのに対し、整体は痛みが出ている箇所を中心に全身を整えていきます。接骨院は急性の痛みに対しての施術ですが、整体院は肩こりや腰痛などの慢性的な症状を軽くするため施術するのが特徴。筋肉の凝りや疲労をほぐし、痛みを緩和させるよう施術を行います。疲れを癒すリラクゼーション効果も期待できるため、リフレッシュ目的で気軽に利用できるのもポイントです。まだ痛みは感じないけれど歪みがある箇所も整えられるので、痛みが出るのを未然に防げるメリットもあります。小顔矯正やダイエット目的で通う人も多く、凝りを取って血行が良くなることで、むくみやたるみを改善する効果も期待できるのです。

施術に補助的に器具が使われることもありますが、メインは手技での施術。施術を行う「整体師」には法的に決められた資格はありませんが、整体セラピストやスポーツセラピスト、リフレクソロジスト（足裏などを刺激してリンパの流れを改善させる専門家）等、関連する民間資格があります。民間資格の取得は必須ではありませんが、技術や知識の向上のため取得する人も少なくありません。

整体院の費用

整体院では保険が適用されず、施術料は全額自己負担となる点も、接骨院と整体院の大きな違いのひとつです。保険が適用される条件は、「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師・きゅう師」、「柔道整復師」のいずれかの国家資格を有した施術者から受ける施術のみ。整体院で施術を施す整体師はこれに該当しないため、保険適用にはなりません。

整体の料金は、目安として3,000～8,000円程度で、施術内容や時間によって異なります。接骨院が比較的短時間での施術であるのに対して、整体は40分コース、60分コースなど時間が選べるのも特徴です。施術内容や金額は整体院により大きく差があるため、ホームページや口コミを参考に、自分に合った整体院を見つけましょう。

接骨院とカイロプラクティックの違い

カイロプラクティックとは

カイロプラクティックとは、1895年（明治28年）にアメリカの「ダニエル・デビット・パーマー」により始められた技術。ある日、ダニエル・デビット・パーマーは、同じビルで働く「ハーベイ・リラード」の耳が不自由なことを知ります。数年前に無理な動きをした際、背中に衝撃が走ったことが難聴のきっかけでした。ダニエル・デビット・パーマーがハーベイ・リラードの背中を調べてみると、推骨（すいこつ）のひとつが正常な位置からずれていることを発見。本人の同意を得て、推骨の一部を正常な方向へ戻すよう施術したところ、まもなくハーベイ・リラードの耳が聞こえるようになったのです。このことから、ダニエル・デビット・パーマーは、人間の治癒力はもともと体の内部に備わっているとした上で、その治癒力が十分に発揮されるのは正常なバランスを保った体であると説きました。これがカイロプラクティックの起源とされています。

カイロプラクティックが日本へ伝わったのは、1916年（大正5年）。カイロプラクティックの開業は自由でしたが、施術中の事故が問題となりました。そのような問題を受け、カイロプラクティック登録機構は、2014年（平成26年）から施術を行う「カイロプラクター」の登録制度を開始し、登録者名簿は、厚生労働省へ定期的に提出されています。

接骨院との違い

カイロプラクティックで施術を行うカイロプラクターは民間資格であり、接骨院で施術を行う柔道整復師は国家資格です。しかし、アメリカやイギリスではカイロプラクティックは国家資格として扱われており、カイロプラクティック自体もヘルスケアとして重宝されています。日本では、カイロプラクティックに関する法律はなく、民間療法という扱いのため保険も適用されません。カイロプラクティックでは、施術料は全額自己負担となり、料金の相場は整体と同様の価格帯で、3,000～8,000円程度。整体と同じように、施術内容や時間により料金に差があるため、確認が必要です。

慢性の痛みに対して手技で施術を行うことから、カイロプラクティックと整体は非常によく似ていますが、ルーツに違いがあります。カイロプラクティックはアメリカで発祥した技法で、西洋医学をベースにしているのに対し、整体は日本・中国に由来する考え方で、東洋医学がベースです。整体は骨や筋肉にアプローチして痛みを緩和しますが、カイロプラクティックでは背骨を中心とする骨格の歪みを整え、正しい位置に戻すことによって、体の正常な機能を取り戻します。また、背骨と合わせて骨盤を正しい位置に整える骨盤矯正も人気です。骨盤の歪みを整えることで、肩こりや腰痛、頭痛、便秘といった慢性症状が改善する可能性もあります。