試合場・試合
試合場の大きさ

オリンピック、世界柔道選手権大会などのIJF公式試合では、試合場内を8〜10×8〜10メートルで行います。
2つ以上の試合場が隣接する場合は、両試合場内の間に3〜4メートルの共用の安全地帯が設けられます。
試合場の畳

IJF主催4大大会では、危険地帯内に攻撃・防御なく5秒を超えて立っていた場合に与えられる「指導」の罰則が廃止されたことにより、危険地帯の区別を設けず、畳の色を場内、場外の2色のみとします。
審判員(主審と副審)

試合をする2名の選手とは異なる国籍の3名の審判員で、各試合を裁きます。
試合場には無線機を装着した1名の審判員が畳上に位置し、2名の審判員が試合場の近くに設置されているケアシステムのあるテーブルに座り主審をアシストします。審判のローテーションシステムは、中立であることが保証されている状態で実施されます。
3名の審判員以外にも、IJFジュリー(審判委員)が配置され、誤りを訂正する必要があるときにだけ介入します。審判員の判定に対して、IJFジュリーによって介入、そして変更される場合は、例外的な事情のときに限ります。IJFジュリーは、審判員が必要だと思われるときに限り介入されます。
IJFジュリーは、審判員と同じく、試合場にいる選手とは異なる国籍の者が行わなければいけません。コーチが抗議をする手順はありません。
ただし、コーチが IJFジュリーテーブルに行って最終的判断、変更がなされた理由を見ることはできます。
審判ランキング

審判員も選手と同様にランキングが存在します。
審判ランキングは、IJFの公式ホームページに公表されます。
審判員に関する公式な言語は英語になります。ただし、フランス語とスペイン語(IJF公式言語)は、IJFによって定義された事情の場合は使用することができます。
柔道衣

試合前に柔道衣のサイズ計測システムで、より正確な測定手順を行います。
試合者

青柔道衣を着用している試合者が主審の左側、白柔道衣を着用している試合者が主審の右側に立って試合を開始します。
開始線と呼ばれるそれぞれの色のテープが畳上に貼られます。
礼

畳に上がる際、(二名の)選手は同時に試合場入り口に歩いて行き、お互いに同時に礼をします。 試合開始前に、選手は握手をしてはいけません。
選手が試合場を降りるとき、選手は柔道衣をきちんと着用していなければいけません。 試合場を出て行くときに、いかなる柔道衣の部分もあるいは帯も脱いではいけません。
前日計量

シニア並びにジュニアの公式計量は、試合の前日に行われます。
ランダムに選出した選手に対して、公式計量と同じ方法で、大会当日朝の初戦の前に体重チェックを行います。
選手の体重が、階級の公式体重上限より5%以上であってはいけません。例えば100キロ級の選手は、柔道衣なしの状態で105キロが最大の体重になります。(改訂される可能性あり。)
カデの計量は大会当日の朝、団体戦の計量は大会の前日に行われます。
個人戦に出場していない選手は、自身の階級体重内でないといけません。個人戦に出場した選手に関しては、2キロまで許容範囲とします。
カデとジュニアのランキング

2014年1月1日より、カデとジュニアの世界ランキングも創設され、IJFカデ選手権やジュニア選手権などのシードに採用されます。
技の判定
一本

投技
「一本」にもっと価値を与える。
背中が畳につく際に、本当のインパクトがある場合。
倒れたときに巻き込まれて本当のインパクトがない場合は、一本とは考えない。
ブリッジの姿勢で着地した場合。(選手が相手の技からブリッジを使って逃げることがないよう、そして頸椎に対する危険性をなくすために選手の安全を考慮。)
固技
発声あるいは合図で「参った」を表明したとき。
抑込技で20秒間抑え込んだとき。
「一本」と同等の場合
- 【合わせて一本】
- ひとつの試合で2回目の「技あり」を取ったとき。
- 【反則勝ち】
- 一方の選手が3回目の「指導」を受け反則負けとなった場合、他方の選手が「反則勝ち」となる。
- 【不戦勝ち】
- 試合者が出場しないとき。1分間隔で3回呼んでも試合開始位置に現れないとき。
- 【棄権勝ち】
- 試合中に試合者がいかなる理由でも棄権したとき。
技あり

投技
相手を制して投げ、「一本」の条件のうち、「速さ」「強さ」、「背中が大きく畳につく」のどれかひとつが部分的に欠けたとき。
体側面が着地し、肩が背中側に90度超えて倒れた場合。
2アクションで着地した場合(側面の着地から背中の着地。尻もちから背中の着地など)。
固技
10秒抑え込んだとき。
有効

投技
選手が相手をコントロールして投げて、身体の上部側面が着地した場合。
尻もち(上半身が背中側に90度以上傾いた場合)
※両肘/両手/片肘と片手が着いた場合は「指導」なし
背中上部が着地した場合
肘の着地(背中側に90度以上傾いた場合)
※脇が空いている場合もスコアとなる
体側面の着地(背中側に90度、または若干うつ伏せになった場合)
固技
抑込技で5秒間抑え込んだとき。
※ゴールデンスコア方式の延長戦では、「抑え込み」5秒で「有効、それまで」となる。
抑え込み、関節技、絞め技

投技
- 1. 抑え込みが場内で宣告された場合は、試合場から両選手が出ても抑え込みは継続されます。
- 2. 抑え込みのスコアは、有効を5秒、技ありを10秒、一本を20秒とします。
- 3. 投技が場外で決まって、そのまま場外でただちに一人の選手が抑え込み、絞技、関節技を施した場合、それらの技は効力があるとみなされる。寝技のときに、受が反撃をして上記の寝技のテクニックを施した場合、それが継続的で(動きが)連動している場合は効力を認めます。
- 4. 関節技と絞技が試合場内で始まり、相手の選手に対してその効果が認められるとき、選手が場外に出てもそのまま続行されます。
抑え込み

抑え込んでいる試合者は、その身体が「袈裟」または「四方」または「裏」の体勢、すなわち「袈裟固」あるいは「上四方固」、「裏固」のような形にならなければいけません。
場内外境界線での動作

投技
- 1. 立ち姿勢(立技)のとき、一連の動作(攻撃・防御)が継続している場合に限り、どちらか一方の試合者の身体の一部が試合場内に触れていれば、その技は得点の対象となり得ます。
ただし、一連の動作(攻撃・防御)が途切れたときは「待て」をかけます。
- 2. 自ら、動作(攻撃・防御)なしに場外へ出る行為、及び相手を故意に場外に押し出すことは、従来通り「指導」が適用されます。
- 3. 危険地帯内に攻撃・防御なく5秒を超えて立っていた場合に与えられる「指導」の罰則は廃止。
投げられた相手が、「技」の勢いで、空中で回転して落ちた場合は、その畳についた状態を見て判定が下されます。 うつぶせに落ちた場合は、技の効果は認められません。
カデ−U18の投技・関節技

逆背負投、ユージングザヘッド(頭部を使っての投技)、ヘッドディフェンス(頭部を使っての防御)は「待て、指導」となります。
関節技を施すことは認められていますが、カデの選手が、絞技によって意識を失った場合、その選手はその大会は試合をすることはできません。
この年代の選手に多くの試合をさせる機会を与えるために、ダブルレペチャージ、もしくはその他のシステムが適用されています。
禁止事項と罰則

罰則は、軽微な違反行為に対する「指導」、重大な違反行為に対する「反則負け」の2つに分類されます。
ひとつの試合において、2つの「指導」があり、3つ目の「指導」を受けた場合「反則負け」となります。
「指導」は、相手の選手にポイントを与えません。技によるスコアのみがポイントとしてスコアボードに表示されます。
試合の最後にスコアが同等の場合、「指導」の有無にかかわらず時間無制限のゴールデンスコアへ続きます。ゴールデンスコア中に「指導」が与えられた場合、与えられた選手が相手よりも多くの「指導」を受けたことになる場合、その試合は終了します。また、最初に技によるスコアを得た場合は、その選手が勝者となります。
組み合わない、偽装攻撃、防御姿勢等の消極的な柔道に対しては、従来よりも厳しく「指導」が与えられます。
IJF禁止事項一覧

指導(軽微な違反)
- 1. 故意に取り組まないこと。
- 2. 組んだあと、極端な防御姿勢をとること(通常5秒を超えて)。
- 3. 明らかに相手を投げる意志のない攻撃を行うこと。(擬装的攻撃)
- 4. 防御のために相手の袖口を握ること(通常5秒を超えて)。及び絞って握ること。
- 5. 相手と指を組み合わす姿勢を続けること(通常5秒を超えて)。
- 6. 故意に自分の柔道衣を乱すこと、及び主審の許可なしに帯や下穿の紐をほどいたり、締め直したりすること。
- 7. 寝技に移ることができない状態で、相手を寝技に引き込むこと。
- 8. 相手の袖口または下穿の裾口に指を差し入れること。
- 9. 攻撃をしないで「標準的」な組み方以外の組み方をすること(通常5秒を超えて)。
- 10. 組む前にでも組んだあとにでも、何の攻撃動作もとらないこと。
- 11. 親指と四指の間で相手の袖口を握ること。
- 12. 相手の袖口を折り返して握ること。
- 13. 同時に投技を施すことなく、相手の足(脚)、あるいは下穿の脚部を取ること。
- 14. 帯の端や上衣の裾を、相手の身体のどの部分にでも巻きつけること。
- 15. 柔道衣を口にくわえること。(自分のものでも相手のものでも)
- 16. 相手の顔面に、直接手(腕)、または足(脚)をかけること。
- 17. 相手の帯もしくは襟に、足(脚)をかけること。
- 18. 柔道衣の上衣の裾または帯を使って、あるいは直接指で絞技を施すこと。
- 19. 場外に出るか、相手を故意に場外に押し出すこと。
- 20. 胴絞や頸、頭を脚で挟んで絞めること(両足を交差し、両脚を伸ばして)。
- 21. 相手の握りを切るために、相手の手(腕)を膝や足で蹴ること。また技をかけることなく、相手の足(脚)を蹴ること。
- 22. 相手の握りを解くために、相手の指を逆に取ること。
- 23. 立ち姿勢における攻撃・防御の中で、直接ズボンを握った場合は、「待て」として「指導」が与えられます。
ただし、ズボンを握ると同時に施した大内刈や相手の脚を抱えて施す双手刈、朽木倒、掬投などをかけることは認められます。 14と18については、厳しく取り締まられます。絞技は自身、もしくは相手の帯や上衣の裾、指だけを使用しての絞技は許されません。

反則負け(重大な違反)
- 1. 河津掛を試みること。
- 2. 肘関節以外の関節を取ること。
- 3. 背を畳につけている相手を引き上げ、これを畳に突き落とすこと。
- 4. 相手が払腰などをかけたとき、相手の支えている脚を内側から刈ること。
- 5. 主審の指示に従わないこと。
- 6. 無意味な発声や、相手や審判員の人格を無視するような言動を行うこと。
- 7. 相手を傷つけたり危害を及ぼしたり、あるいは柔道精神に反するような動作をすること。
- 8. 腕挫腋固のような技で畳の上に直接倒れること。
- 9. 内股、払腰などで頭から畳に突っ込むこと。または立ち姿勢や膝をついた姿勢から、肩車のような技でまっすぐ後方に倒れること。
- 10. 相手が後ろからからみついたとき、故意に同体となって後方に倒れること。
- 11. 硬い物質または金属の物質を身に付けていること。
「指導」の罰則

以下の場合、「指導」の罰則が与えられます。
- 1. 両手を使って相手の組み手を切る行為には指導が与えられる。
- 2. 組まれるのを防ぐために、柔道衣の端(襟)をかくすこと。
- 3. クロスグリップの場合はただちに攻撃しなければならない。帯を掴んだ場合、及び片襟のみを組んだ場合も同じルール。
- 4. 素早く組まない、または相手に組まれないような行為を行った選手は、審判によって厳格に指導が与えられる。ある選手が、組み手争いの中で2回組み手を切ったあと、3回目に切った場合は「指導」が与えられる。
- 5. 袖をピストルグリップ、ポケットグリップした場合は、ただちに攻撃しないと指導を与える。
- 6. 袖及び襟を掴んでいない状態から、ベアハグをすることは認められるが、手と腕で輪を作ってベアハグを施した場合は「指導」が与えられる。選手が、少なくとも片手で組んでいるときは指導を与えられるケースではない。
- 7. 腰を曲げた状態で、片手、もしくは両手で相手を押している場合、ただちに攻撃しない場合はブロックしている姿勢とみなし指導が与えられる。
- 8. 組むのを避ける、もしくは攻撃されるのを防ぐためだけに相手の手首や手を持っている場合は指導が与えられる。
- 9. 偽装攻撃には指導が与えられる。偽装攻撃の定義とは以下の通りである。
- イ. 投げる意思のない技を施す。
- ロ. 組んでない状態で技を施す。もしくは技を施してすぐに手を離す。
- ハ. 受のバランスを崩すことなく、ひとつの技、もしくは連続技を施す。
- ニ. 攻撃されるのを防ぐために、受けの脚の間に自分の脚を入れる。
- 10. 片足が試合場の外にありただちに攻撃を施さない場合、もしくは試合場内にただちに戻ってこない場合は、指導が与えられる。
両足が場外に出た場合は指導とする。相手によって、押されて試合場の外に出た場合は、相手に指導が与えられる。(選手が、有効な場所から攻撃を施した場合は、試合場から出ても指導は与えられない。)
「反則負け」の罰則

立ち技の際、片手、または両手、もしくは片腕、または両腕を使って相手の帯から下を攻撃する、またはブロックするすべての行為は反則負けとなります。
脚を掴んで良いのは、両選手が立ち技からクリアに寝技の姿勢になった場合のみです。
ドーピング

ドーピング違反のため失格になった選手は、その順位とメダルがはく奪されます。
新しい順位については、可能な限りIJFによって決定されます。
試合時間と得点

試合時間は男女共に4分間です。タイマーは4:00からカウントダウンされ、「抑え込み」は、抑え込んだ試合者の側にカウントアップされます。
R=赤の試合者、W=白の試合者です。「W、Y」はそれぞれ「技あり、有効(※有効は国際ルール改正で廃止)」を示し、上下に得点が表示されます。
罰則は、各得点の上(下)に表示され、相手側にそれに相応した得点が加算されます。反則負け」は「H」で表示されます。
敗者復活戦

世界選手権大会・オリンピックなどのIJF大会はベスト8に進出した選手のみが対象となります。グランプリ・グランドスラム・マスターズなどの賞金大会では敗者復活戦は行われません。