男子100kg級 羽賀龍之介
井上監督を師と仰ぐ、羽賀龍之介選手。昨年の世界柔道選手権大会で、100kg級のみ派遣見送りという悔しさを胸に練習を重ねたという羽賀選手に、世界柔道選手権大会の試合内容やオリンピックに向けての意気込みを伺いました。
昨年の悔しさをばねに

昨年の世界選手権は、100kg級のみ派遣見送りという形で、正直とても悔しい思いをしましたね。
昨年大会は、会場で出場選手の柔道着のクリーニングや場所取りの仕事をしていました。このときに自分が試合場に立てない悔しさを痛感しましたね。
でも一方で、これを刺激にして自分を変えていかなければとも思っていました。
練習内容に関して、特別変わったトレーニングや肉体改造を行なったり、新しい技に取り組んだりということはなかったのですが、やはり「昨年の大会に出られなかった」ということが、練習の「量」や「質」にも影響しましたね。
「こんなものでは足りないだろう」、「もっと考えて練習に取り組まないといけない」と、より一層思うようになったことにも日々の稽古に影響していたと思います。
派遣見送りを受けても柔道のスタイルを変えず、自分を信じてやってきたことが優勝という結果につながって、本当に良かったです。
大会を振り返って

2回戦以降はすべて「優勢」勝ち。しかも、2、3回戦と準決勝は、逆転勝利という形でした。その逆転劇を支えてくれたのが得意技でもある「内股」です。
内股は自分の中で特に力を入れて取り組んできた技なので、どんな外国人選手でも自分の形になれば内股で打ち勝つ自信がありました。今大会でもピンチの場面で逆転ができたのは内股のおかげだと思っています。
自分は100kg級の中でも頭ひとつ抜き出ている訳でもなく、そんなに実力のある選手だとは思っていないので、73kg級の大野将平選手のように、ズバズバ投げて危なげもなく勝つというよりは、こういった苦しい戦いが続くだろうなと試合前から腹をくくっていました。そういう意味では、今回の結果は自信になったと思います。
勝ってナンボの世界

今だから言えますが、大会前は100kg級が優勝するとはまったく思われていなかったと思います。出発する前の取材も、七戸先輩などへの取材ばかりで、私には全然来なかったですからね。
しかし大会が終わり帰国したときに、今度は自分にしか取材が来なかったという経験を、初めて体験しました。
結果を出せば、私を取り巻く環境にも変化もあるだろうとは思っていましたが、こんなにも変わるものかと驚きましたし、とても勉強になりましたよ。
スポーツは「勝ってナンボの世界」と言われることもありますが、こんなにも気持ちの良いことはありませんね。
オリンピックという「夢」に向けて

来年はリオデジャネイロオリンピックがあり、もっと強くならないといけないと思う反面、実はまだ具体的な方針は決まっていません。
しかし、今年の世界選手権を優勝したことで、確実に他の選手からマーク、研究されると思いますので、やはりそこの打開策は考えなくてはならないですし、練習の質と量も上げていかなくてはならないと思っています。
世界チャンピオンになったのは今回が初めてのことなので、他の先輩方のアドバイスも色々と聞いています。
2012年のロンドンオリンピックで世界チャンピオンとなった女子57kg級松本薫選手は、オリンピック前に「一回崩して」と言っていたのですが、その感覚というのは世界チャンピオンになってオリンピックを迎えた人にしか分からないものだと思いますから。
世界チャンピオンという肩書きを手にしたことで、昨年よりもオリンピックで「勝ちたい」という思いが大きくなってきたので、この気持ちを胸に今後の練習に取り組んでいきたいと考えています。
世界チャンピオンにはなりましたが、あくまでも「オリンピック優勝」が幼い頃からの夢。これで満足することなく、貪欲に勝ちを獲りにいきたいと思っています。
まずは、リオデジャネイロオリンピックという目の前の夢に向けて、日々稽古を重ねていこうと思います。
インタビュー:2015年9月

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