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平成22年度金鷲旗高校柔道大会
大会レポート
藤田大会会長、及び女子優勝を果たした淑徳高校・酒井監督と田代選手、準優勝の新田高校・高橋監督に大会を振り返って頂きました
藤田弘明 大会会長(全柔連副会長・九段)のコメント
藤田弘明 大会会長今日で女子の試合が全て終了しました。ベスト16、準々決勝、準決勝と非常に接戦の試合が多く、際どい勝負も数多くあり、観ている方は本当に面白かったと思います。大将同士までもつれる試合が多かったので、非常に見応えがあったのではないでしょうか。
ただ、それに比べてしまうと、それまでの過程を見ていれば仕方がないのですが、決勝戦は少し差がついてしまい、正直物足りなかったですね。
決勝戦は淑徳高校と新田高校。新田高校は重量級の井上選手を中心とするチームです。井上選手は皇后盃全日本女子柔道選手権大会にも出場しています。抜き勝負だと一人強い大将に託してしまいますから、新田高校は井上選手に頼ってしまいましたね。最後の決勝戦では力を出し切っていて、精一杯だったんではないでしょうか。
井上選手も決勝戦で、抜き返すだけの力があれば素晴らしいけれども、準々決勝、準決勝では、2、3人勝ち抜いて大将戦になっており、力を使い果たしてしまいましたね。
世界に向けて見たときに、もう少しその厳しさ(あと一人いう場面)に耐えるだけの意識をもって練習に取り組んでいかなければ、いい場面でなんとなく凡戦で終わってしまいます。もちろんそれは井上選手にだけに限りません。井上選手は非常に頑張ったと思います。しかし、高校生の無差別級での試合です。今の柔道では同階級の国際舞台では通用しません。もうひとつ上の切れ味の良い技を身につけてほしいですね。
今後楽しみな選手がいることがわかったのが、今大会の明るいニュースです。決勝戦で活躍した田代選手は、まだ1年生ですが今後が非常に楽しみな選手です。この田代選手と敬愛高校の結城選手は、体裁きの技が非常に良いです。あとは、淑徳高校の橋本選手。そして新田高校の井上選手。まだまだ全然荒削りですが、今後注目したい選手です。世界を目指して頑張って欲しいと思います。
女子優勝の淑徳高校:酒井監督のコメント
酒井健也 監督優勝が決まった瞬間、ホッとしました。準々決勝、準決勝は3年生、決勝戦は1年生が本当に頑張ってくれました。
今日は「初戦から絶対に厳しい試合になる、そんなに勝負は甘くない」と選手に言い聞かせてきました。7年前に優勝した時もそうでした。そういう意味では、準々決勝、準決勝で大将まで勝負がもつれ、あの時の経験が生かせたのかなと思います。
私は正直、今回のチームが他のチームより力が抜け出ているとは思っておりませんでした。しかし、周りからは1年生の加入が大きいと言われたり、評価されていました。その1年生の一人が田代です。準々決勝、準決勝の試合は本当に固かった(元気がなかった)です。気持ちが落ちてきてしまったのかなとも思いました。
決勝の前には「3年生のおかげで準々決勝、準決勝を勝てたんだから、次はきちんと仕事をやれ」と叱咤激励し、試合中も大きな声で何度も励ましました。何ヵ月前までは中学生だった1年生ですからね。あまりプレッシャーをかけず、期待しないようにしてましたが、期待以上、評価以上の活躍(3人抜き、1引き分け)を決勝では見せてくれました。
決勝戦は、田代が本来の力を発揮できれば、大将戦まではいけると思ってました。相手の大将(井上選手)を3人(田代、橋本、斉藤)で止めようと考えておりました。太田まで回したら負けだとも選手には伝えておりました。井上選手の対策は特にしておりませんでしたが、それ程の選手です。
でも、太田がいるから前の4人は思いっきりできるんですよね。太田の存在は大きいですよ。私も太田で負けたら悔いはないと思ってましたから。それだけ信用している選手です。ちなみに、太田と井上選手は同じ中学なので、太田は絶対に負けたくないと言ってましたね。
二つ(釣り手と引き手)をしっかり持って、技をしっかり出しながら、しっかり一本取る。これが「淑徳の柔道」です。這いずり回って、引っ掛けて、何とか勝つではなく、淑徳らしい柔道をやって勝ちにいかなければならない。嘉納治五郎先生が理想とした柔道をしっかりやるんだという事を、常に選手達に言っております。そういう意味で、決勝戦は体重差30、40キロある相手にでも試合ができたということは、非常に良かったと思います。
7年前に優勝した時の選手2名(西田優香、國原頼子)が9月の世界柔道選手権代表に選ばれました。今年の優勝メンバーからも今後活躍してもらえる選手が出ると嬉しいです。
決勝戦で3人抜きを果たした田代選手(1年)のコメント
田代未来 選手すごく嬉しいです。準々決勝・準決勝では、出来が良くなかった分先輩達に迷惑をかけてしまったので、決勝は自分の柔道ができて本当に良かったです。
決勝戦での、3人抜き・1引き分けの結果には正直驚いています。でも、正直弱気になったところもありました。しかし、代表に入れなかった先輩が学年に関係なく、練習で組み手の相手を何度もしてくれた事を思い出して頑張れました。チーム一丸となって獲った優勝です。
今日はたくさんの方が応援に駆けつけてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
女子準優勝の新田高校:高橋監督のコメント
井上という大黒柱がうちにはいますので、全国を獲るなら抜き勝負のこの大会と意気込んできました。
準決勝も大将戦までいき、井上は疲れがありましたね。粘り強く選手がいけなかったのが敗因です。他の選手がカバーして、井上で決めるという形でしたが、決勝戦はカバーしきれなかった。それに尽きます。
決勝まで進んだからには勝つしかないと挑みましたが、なかなか簡単にはいきませんね。あとはインターハイで頑張るしかないです。次を目指して、もう一度選手達と頑張ります。
