2018年3月20日(火)〜21日(水・祝)に開催される「第40回全国高等学校柔道選手権大会」。今大会に向けての意気込みと展望を、強豪高校の監督にお伺いしました。
【男子】 桐蔭学園高校 高松正裕監督

高松正裕監督
今年も、全国高等学校柔道選手権大会(以下、高校選手権)・金鷲旗高校柔道大会・全国高等学校総合体育大会柔道競技(以下、インターハイ)を制しての「高校三冠達成」を、チームの目標としています。これは、私も選手たちも心に刻み込んでいることです。
昨年のチームと違うのは、昨年の方が安定感があったということです。昨年は主将の関根聖隆がチームをよくまとめ、相手のエースをつぶして、村尾三四郎や賀持喜道の負担を少なくしてくれていたので、その貢献がチームにとって大きかったと考えています。
今年は、昨年のチームから村尾、賀持、千野根有我の、主力3人が残っていますので、昨年より安定感は劣るもののチーム力はそれなりに充実していると思います。残りの2人は100kg級の高山康太、安藤健志。そして、66kgと軽いですが、大きい相手にもひるまない奥田訓平の3人を適宜起用するという形になります。

桐蔭学園高校 村尾三四郎
最大のライバルは、チームを斉藤立君が引っ張るであろう国士舘高校(東京都)ですね。斉藤君も1年間で相当成長しただろうし、彼を抑えることが勝利への展望になると思います。
今、対斉藤対策を一生懸命考えているところです。斉藤君には、試合でリードしていたとしても2人は抜かれるであろうといった試合展開を計算しながらの戦いになるのではないでしょうか。
うちのチームの勝利のカギは千野根が握っていると思っています。彼は相手が勝負をかけてくれば強いのですが、逃げられると難しいケースも出てきます。とは言え、昨年に比べれば彼も成長していますから、あまり心配はしていません。逃げられても取るような柔道ができれば、うちのチームがグッと有利になると考えています。
村尾、賀持は、前日の個人戦にも出場します。個人戦で優勝ができれば、その勢いが団体戦にも好影響を与えてくれると思いますので、期待したいですね。
1月初旬に、今大会までの強化計画を立てました。当初は「やれるだろうか」という気持ちだったのですが、2月には内容の濃い練習ができたし、十分に計画は達成できたと思います。3月には学内の試験があるので練習は軽めにして、本番までケガをしないようにしながら、調子を上げていきたいと思っています。頑張ります。
【女子】 夙川学院高校 松本純一郎監督

松本純一郎監督
今年のうちのチームは昨年のチームに比べて安定感があります。無差別の吉峰芙母絵が著しく成長したので、どこからでも得点ができる布陣になりました。穴がないチームになったと言えると思います。
長谷川瑞樹も吉峰に負けまいと頑張っているので、監督としては起用法には正直頭を悩ませています。吉峰は飛ばない。長谷川は取る。この違いがあります。
チームのうちの2人、阿部詩と金知秀には、今大会よりも力を入れるべき大会があります。金は3月11日に韓国で行なわれる世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)の選考会、阿部は4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会です。もちろん高校選手権も大事な大会ですが、将来を考えると、2人には2020年の東京五輪(柔道)代表に繋がる大切な戦いに、全力を尽くして欲しいところです。
金は、昨年急な体の成長で体調を崩してしまい、一時は「柔道をやめるのではないか」という時期もありましたが、階級を上げて今は適正体重になりました。そういう苦しみを経てきただけに精神的にもひと回り大きくなったと思います。ですから、なんとしても、世界選手権の代表選考には勝ち残って欲しいと思って応援しています。

夙川学院高校 阿部詩
東京五輪(柔道)にこの2人を代表に送り出すのが、夙川学院の大きな目標です。なので、大会当日の選手起用は選手の体調や選手の気持ちなどを総合的に判断して決めることになると思います。
2人の他にも、48kg級の村川実葉瑠は全日本ジュニア柔道体重別選手権大会の出場経験があるので、阿部本人は「出る」と言っていますが、阿部でなくても十分に戦えると考えています。
連覇はもちろん、今年は高校三冠も狙っていきます。 ライバルは戦う相手全員ですが、中でもと言われれば、まず帝京高校(東京都)。ここはエースで大きい高橋瑠璃選手がいますし、大将勝負になったら不利になるでしょう。続いては富士学苑高校(山梨県)、敬愛高校(福岡県)、桐蔭学園高校(神奈川県)あたりです。特に桐蔭学園にはインターハイで負けているし、研究されていたので、要警戒です。
これから特に練習方法を変えるということはありません。今までやってきたことを忠実に、集中してやって本番を迎えたいと思っています。