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柔道グランドスラム東京2022
大会の見どころ 男子
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柔道グランドスラム東京2022 大会の見どころ 男子 - 柔道チャンネル

柔道グランドスラム東京2022 大会の見どころ 男子
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柔道グランドスラム東京2022をさらに楽しむ、男女階級別の見どころポイント!「柔道グランドスラム東京2022」大会の見どころ-男子-

柔道グランドスラム東京2022の男子柔道について、各階級別の見どころポイントをご紹介します。

※文中のIJFポイントランキング(以下、WRL)は、2022年11月25日時点のものです。 ※掲載内容は、2022年11月25日時点のものです。 ※直近3年間の大会成績をリンクしています。

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男子60kg級

講道館杯2022
決勝戦
古賀玄暉 vs 近藤隼斗

東京五輪(柔道)金メダリストで、今年のタシケント世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)も抜群の巧さ、強さで優勝した60kg級第一人者の髙藤直寿パーク24)が欠場となり、代わりに講道館杯全日本柔道体重別選手権大会(以下、講道館杯)3位の高校2年生、福田大和(比叡山高校2年 WRLなし)が代表入り。2022年アジア柔道選手権大会(以下、アジア選手権)優勝の永山竜樹了徳寺大学職員 WRL5位)、講道館杯優勝の近藤隼人(国士館大学3年 WRL110位)、同2位の古賀玄暉(旭化成 WRL48位)の3人に、福田を加えた4人が日本代表として柔道グランドスラム東京(以下、GS東京)に挑む。

東京五輪(柔道)代表争いでは、髙藤と激しいデッドヒートを繰り広げた永山は、昨年2021年のブダペスト世界選手権では優勝どころか入賞も逸し、今年の全日本選抜柔道体重別選手権大会(以下、選抜体重別)でも初戦敗退。代表になったアジア選手権で優勝し、辛うじて階級内のポジションは2番手というところだが、髙藤とは大きく離されている状況。今大会の結果で髙藤に近付きたいところだったが、髙藤の欠場により、直接対決は消滅。それだけに、今大会において他選手との違いを見せ付けるくらいの強烈な内容で優勝し、髙藤再追撃の態勢を整えたいところだ。背負投、内股、裏投といずれも力強く、切れ味も鋭い。世界トップのその地力をしっかりと発揮したい。

それを追いかけるのが永山とともに昨年のブダペスト世界選手権に出場した古賀。古賀は今年の選抜体重別決勝では髙藤を見事な出足払で破っているが、昨年の世界選手権では2回戦で敗退。世界ではまだ実績を残せていない。無理な勝負に行っての自滅も多いが、スピードとバネがあり、足技、内股などに素晴らしい切れを持つ。髙藤、永山とは地力、実績ともに少し差はあるが、このGS東京の結果次第ではパリ五輪の可能性もある。

その古賀を講道館杯決勝で破った近藤は内股に切れを持ち、次代のホープとして期待の選手だ。また、髙藤の欠場によりチャンスを得た福田も次代を担う楽しみな選手。“熟練”を感じさせる寝技の技術はとても高校2年生のものとは思えない。若手2人が海外のシニア選手を相手にどれだけ通用するのかにも注目したい。

海外選手で最も警戒が必要なのは、現在WRL1位のヤン・ユンウェイ(台湾)。東京五輪(柔道)で髙藤と決勝を争った選手だ。スピードがあり、左右の担ぎ技を得意とするが、最も警戒すべきは寝技、三角からの横四方固だと言って良いだろう。また、タシケント世界選手権で準優勝を果たしたエンフタイン(モンゴル WRL6位)も勢いに乗ると怖い選手。右背負投、袖釣込腰などの担ぎ技を得意としているが、怖いのは変則的な横落や小内巻込。それとリオデジャネイロ柔道競技(五輪)銀メダリストのベテラン・スメトフ(カザフスタン WRL18位)、同じカザフスタンの若手、シャムシャディンも侮れない選手だ。

男子66kg級

世界柔道2022
3回戦
丸山城志郎 vs W.LIMA

66kg級の日本代表は、2021年ブダペスト世界選手権優勝の丸山城志郎(ミキハウス)、アジア選手権準優勝の田中龍馬(筑波大学3年)、講道館杯優勝の武岡毅(パーク24)、そして、東京五輪(柔道)金メダリスト、この階級の第一人者である阿部一二三(パーク24)の欠場により繰り上がり代表となった講道館杯準優勝の服部辰成(東海大相模高校3年)の4選手。

なかでも注目は丸山。ライバルの阿部に、わずかの差で敗れて東京五輪(柔道)の代表の座を逸し、今年のタシケント世界選手権決勝でも、再び僅少差で阿部に苦杯を喫したものの、初戦から見せた素晴らしい内股の切れ味で会場の柔道ファンを魅了。畳に姿を現すたびに大きな歓声を集めたことからも分かるように、丸山の内股は、見る者を惹き付け、警戒しながらも宙を舞ってしまう対戦相手を呆れさせる。今回、阿部の欠場により、残念ながら両選手による頂上決戦は見られないが、丸山のパフォーマンスは初戦から必見だ。

阿部、丸山に続く選手として注目を集めているのが田中。昨年のGSパリで優勝、今年は3位入賞を果たしている。背負投を始めとする担ぎ技、接近戦での隅落や浮落など、思い切りの良さが長所。

5月の全日本強化選手選考会(以下、強化選手選考会)、10月の講道館杯と連勝し、念願のIJFワールドツアー初出場の権利を得た武岡も要注目。講道館杯では5試合中4試合で一本勝ち、残りの1試合も「技あり」を奪って優勢勝ちしている。内股、大外刈などの技の威力もさることながら、攻撃的な柔道スタイルが最大の特徴。外国人選手にも攻撃柔道が貫けるか。

また、阿部の欠場によりチャンスが回ってきた、高校3年生の服部も、果たしてどんな試合をするのか、非常に楽しみなところ。高校生で講道館杯の決勝に進出することが容易でないことはあえて言うまでもないが、並み居る強敵を破って得たチャンス。海外の力強いシニア選手を相手に、どこまでできるのか、大いに注目したい。

外国勢で最も地力のある選手は、ヨンドンペレンレイ(モンゴル WRL3位)。接近戦を得意とし、奥襟や脇を差して引き付けてくる。いかに間合いを取り、自分のペースを保てるか。とりわけ若手の選手にとっては、高い壁になりそうだ。また、2019年の世界ジュニア柔道選手権大会で武岡を破って優勝しているリマ(ブラジル WRL10位)も難敵と言える。

男子73kg級

選抜体重別2022
準決勝
橋本壮市 vs 原田健士

73kg級の日本代表も非常にレベルが高い。実績順に紹介すると、2016年リオデジャネイロ、2021年東京と五輪連覇の大野将平(旭化成)、世界選手権で優勝1回、2位2回、3位1回と常に上位進出を果たしている橋本壮市(パーク24)、昨年のGSパリ優勝、今年の世界選手権の団体戦で優勝に貢献する活躍を見せた原田健士(綜合警備保障:ALSOK)、そして、今年5月の強化選手選考会、10月の講道館杯と連続で優勝し、上り調子の大吉賢(了徳寺大学職員)。この4選手が今回の日本代表だ。

まずは大野。体重無差別の全日本柔道選手権大会(以下、全日本選手権)には今年4月に出場しているが、体重別(73kg級)の試合は2021年7月の東京五輪(柔道)以来となる。昨夏、日本を熱狂させたあの絶対的なパフォーマンスを再び!ということで、当然、全階級、全選手の中で最も注目される存在と言っても過言ではないだろう。得意の内股、大外刈は、まさに必殺の一撃。見逃し厳禁だ。

今年の世界選手権は決勝でツェンドオチル(モンゴル WRL2位)に不覚を取ったものの、橋本の実力も大野に決して引けを取らない。しっかりと組んだら右体落、釣り手が取れなければ、片袖だけを掴んでの左袖釣込腰「橋本スペシャル」で相手を畳に叩き付ける。相手にすれば、組み勝ったと思って前に出た瞬間、あるいは、押し込まれ、反作用のように押して出た瞬間、宙を舞うことになる。今大会でも「名人芸」と言われるほど絶妙な橋本の組み手と技出しのタイミングに注目してほしい。

大野と橋本、同い年(大野が早生まれのため、現在は大野が30歳で橋本は31歳)のベテラン2人に対し、原田と大吉もともに24歳の同い年。しかも2人は日体大荏原高校日本体育大学の同級生。柔道のタイプも似たところがあり、ともに裏投を得意とし、接近戦での勝負に強い。思い切りが良く一本決着が多いところも似ている。2019、2020年と原田が講道館杯で優勝し一歩リードしていたが、今年の講道館杯を大吉が制し、ほぼ同一線上に並んだと言える。あとは、どちらが抜け出すか。両者の勝ち上がりとその内容にも大いに注目したい。

外国人選手で有力なのは、タシケント世界選手権王者のツェンドオチル。左組みでスピードのある担ぎ技が武器。モンゴル選手らしく体幹が強く、密着戦も強い。また、優勝こそないものの、グランドスラムでは4度の準優勝、2度の3位入賞を果たしているマルゲリドン(カナダ WRL9位)も地力のある選手で注意が必要だ。

男子81kg級

選抜体重別2022
決勝戦
永瀬貴規 vs 藤原崇太郎

海外勢のレベルが非常に高く、日本人にとって厳しい階級と言われている81kg級だが、今回の日本代表、永瀬貴規(旭化成)、藤原崇太郎(旭化成)、佐々木健志(綜合警備保障:ALSOK)、小原拳哉(パーク24)の4選手は、いずれも海外勢と比べても引けを取らない実力者。最高の顔ぶれが揃った。

まずは、東京五輪(柔道)金メダリストの永瀬。この階級の日本のエース的な存在で、その実力は世界が認める。組み手は「巧い」という言葉で簡単に言うことが憚れるほど、ときに強く、ときにやわらかく、奥深い。組み手と連動して繰り出される技も、強さだけでなく、やはり永瀬独特の間合いやタイミングがある。国際大会に関して言うと、永瀬の試合は比較的時間が長い。それだけ、海外勢のレベルが高いという証左なのだが、その長さが、観ていて気にならないのが永瀬の試合の特徴だ。少しでも気を抜けば畳に叩き付けられる破壊力抜群の外国人選手の技を絶妙にかわし、透かし、決して相手に主導権を与えず、着実にチャンスを作り決める。永瀬にしかできない戦い方と言える。まずは、永瀬の試合に注目してほしい。

東京五輪(柔道)銅メダル、2021年ブダペスト世界選手権優勝で、81kg級の世界トップ3の実力者と言われるカッセ(ベルギー WRL1位)を、今年の世界選手権準決勝であと一歩のところまで追いつめた藤原も地力を付けてきており、初出場で準優勝を果たした2018年バクー世界選手権のときよりも確実に強くなっている。受けの強さとスタミナに定評があり、試合時間が長引くほど真価を発揮する藤原、「永瀬越え」をし階級第一人者の称号を得られるか。

破壊力ある投げ技と有無を言わさぬ拘束力の寝技で、派手に、圧倒的に勝つのが佐々木。以前は、自分を制御できず裏投で自爆という場面もあったが、今はしっかりとコントロールしつつも思い切りの良さは残しており、佐々木の柔道のファンも多い。

そして、講道館杯で優勝し出場権を得た小原も、3人に匹敵する強者。一見、藤原や佐々木に比べて力強さは感じられないのだが、組み力の強さにはみな舌を巻く。ふわっと前に出て組み、すっと引いて相手の組み手を外す、小原特有の体捌きで技出しのタイミングを計り、得意の大外刈につなげる。力強い外国人選手を小原がいかに制するのかも見どころだ。

海外からは、今年に入り、アンタルヤ、ハンガリーとグランドスラム2大会を制しているシュミット(ブラジル WRL4位)がエントリー。22歳と若いが、右大外刈、袖釣込腰、支釣込足と技も多彩で、GSハンガリーでは東京五輪(柔道)銀メダルのモラエイ(アゼルバイジャン WRL3位)にも勝っている。今後大いに警戒すべき選手だと言って良いだろう。もう一人、警戒が必要なのが韓国期待のホープ、イ・ジョンファン(WRL12位)。今年グランドスラム2大会で優勝しており、GSウランバートルでは永瀬にも勝っている。現在20歳。右組みで背負投、小内刈、意表を突く逆の背負投、体落も威力がある。その他、無名選手でも侮れないのがこの階級。若手の台頭もあり、見どころ豊富なトーナメントとなりそうだ。

男子90kg級

講道館杯2022
決勝戦
ベイカー茉秋 vs 向翔一郎

2021年ブダペスト世界選手権、東京五輪(柔道)、2022年タシケント世界選手権と、3大会連続で入賞さえもできていない90kg級は、日本にとってはかなり厳しい階級。日本代表の4選手は、タシケント世界選手権代表の増山香補(パーク24)、ブダペスト世界選手権代表の村尾三四郎(東海大学4年)、講道館杯優勝で久々に大舞台に復帰したベイカー茉秋日本中央競馬会)、東京五輪(柔道)代表の向翔一郎(綜合警備保障:ALSOK)。来年の世界選手権、そしてパリ五輪に向けて、果たして誰が抜け出していくのか、注目の戦いとなる。

先の世界選手権に、初めての日本代表として出場した増山。世界選手権では、2回戦で東京五輪(柔道)金メダリストのベカウリ(ジョージア WRL8位)と対戦。「技あり」2つを取られて敗れたが、実力ナンバー1の呼び声高いベカウリと世界選手権という大舞台で戦えたことは大きな意味がある。増山と言えば、立ち姿勢から一気に担ぎ上げ、叩き付ける左背負投、左一本背負投がトレードマーク。今大会ではぜひ、その豪快な得意技を披露してほしい。

今年の世界選手権代表の座は、予選の選抜体重別で敗れたために逃したが、本来、序列で日本人トップに立つ村尾(WRL9位)。2022年は2月のGSパリ、7月のGSハンガリー、そして8月のアジア選手権と3連勝している。本大会には捲土重来を期して臨むことになる。切れ味鋭い左内股、大外刈を存分に披露してほしい。

リオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストであるベイカーの国際大会への復帰も見逃せない。ベイカーのGS参戦は2019年のGS大阪以来、実に3年ぶり。ケガなどにより勝てない時期もあり、講道館杯での戦いぶりを見る限りまだ万全ではないが、徐々に復活の兆しを見せている。持ち前の粘り腰でどこまで勝ち上がることができるか。

向に関しては、気持ちが入ったときの集中力、技の威力は尋常ではなく、そのモードに入ったときは相手が誰であろうと、一発で勝負を決める力を秘めている。ただし、空回り、自爆というケースもあり、安定感は、残念ながらあまりない。ただ、それだけに見る者を惹き付けるのが向の柔道と言って良いだろう。今大会は最後まで惹き付ける柔道ができるか。

外国人選手で注目は、なんと言ってもベカウリだ。東京五輪(柔道)金メダリスト。2017年の世界カデ柔道選手権大会優勝に始まり、2018、2019年世界ジュニア柔道選手権大会2連覇、2021年の東京五輪(柔道)優勝。22歳にして、世界の頂点に立つ男。90kg級で今最も強い選手と言っても過言ではないだろう。パリ五輪においても大きな壁として立ちはだかることは間違いない。果たして、日本人選手がこの世界最強の選手とどう戦うのか。誰が対戦するとしても、非常に楽しみな戦いになりそうだ。その他では、東京五輪(柔道)銀メダリストのトリッペル(ドイツ)がエントリーしており、この選手も要注意と言える。

男子100kg級

講道館杯2022
準決勝戦
ウルフ・アロン vs 植岡虎太郎

100kg級も日本にとっては厳しい戦いが予想される。日本代表は、今年のタシケント世界選手権代表の飯田健太郎(旭化成)、東京五輪(柔道)金メダリストのウルフ・アロン(了徳寺大学職員)、講道館杯で優勝した植岡虎太郎(天理大学4年)、講道館杯2位のグリーンカラニ海斗(日本体育大学3年)の4選手。

実績で考えれば、ウルフに期待がかかるところだが、ウルフは東京五輪(柔道)以降、ケガなどもあって実戦から離れ、10月末の講道館杯から復帰したばかり。復帰戦では自分の低調を考慮して戦い方を切り替え、なんとか3位に入賞して今大会の出場権を確保した。試合後には「勝負勘は戻せた。最終的にオリンピック連覇につなげられれば」と語ったが、自分の状態を把握し戦法変更ができるところがやはり非凡なところ。GS東京ではひとつステップアップしたウルフが見られそうだ。

先にウルフについて書いたが、この階級の現時点の日本の第一人者は、タシケント世界選手権の代表である飯田。世界選手権では2回戦で不覚を取ったが、7月のGSハンガリーでは昨年の90kg級世界王者のシェラザダシビリ(スペイン)を出足払、リパルテリア(ジョージア)を得意の内股「技あり」で破って優勝するなど、地力は世界のトップクラスであることに間違いない。今大会で本領発揮なるか、飯田の覚醒に期待したい。

講道館杯を制した植岡と準優勝のグリーン、若手2人への期待も大きい。植岡は、独特のタイミングで入る背負投が唯一最大の武器。今回が初の国際大会という植岡の変則的な背負投が果たして外国人選手に通用するのか、また、グリーンの、力強い大内刈、内股が外国人選手を捉えることができるのか。非常に興味深いところだ。

海外勢としては、カナダから出場するエルナハス(WRL3位)とレイズ・カヨル(WRL8位)に注目。カナダ国内において激しい代表争いをしている両者だが、レイズがタシケント世界選手権で準優勝し、ややリードした印象。レイズは2歳で来日し、日本で育った選手。中学時代に柔道を初め、前橋育英高校日本大学で技術を磨き、現在は日本中央競馬会に所属している。日本育ちのレイズの活躍にも期待したい。

男子100kg超級

講道館杯2022
決勝戦
原沢久喜 vs 髙橋翼

タシケント世界選手権2位の斉藤立(国士舘大学3年)が足首のケガのため欠場。日本代表は、2021年ブダペスト世界選手権優勝の影浦心(日本中央競馬会)、東京五輪(柔道)代表で、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)2位の原沢久喜(長府工産)、講道館杯初優勝で、今回、初めて日本代表としてGS東京に挑む高橋翼(国士舘大学3年)、そして、斉藤欠場で繰り上げ出場となった、2021年の全日本選手権王者・太田彪雅(旭化成)の4名となった。

現在の日本のエースとも言うべき斉藤の欠場は残念だが、激しいコンタクトスポーツである柔道にケガはつきもので、ケガにより欠場は常に、誰にでも考えられること。あえて言うまでもないことかもしれないが、そのときに、その機会を最大に活かした選手が、結果、歴史に名を残すことになる。2024年のパリ五輪まで2年を切っている。代表決定の日までで言えば、おそらく1年と3ヵ月ほどしかないのが現実だ。先のことを考えつつも、今現在の最善を尽くすしかない。

まずは影浦。当然、パリ五輪を狙う選手の一人。2020年のGSパリで絶対王者と言われたリネール(フランス)を破り、昨年の世界選手権で、日本人としては18年ぶりとなる優勝を果たした実力者。179cm115kgと100kg超級では小柄だが、逆にその身体の小ささを活かした担ぎ技が武器。斉藤の出現により存在感が薄れている影浦だが、有力外国人選手に加え、100kg超級の日本のトップが顔を揃える今大会を、再浮上のきっかけとしたいところだ。

原沢もこの大会に期するものは大きい。東京五輪(柔道)後、パリ五輪を目指すと決意した原沢にとって、今大会で結果を残し、次につなげることは絶対条件。静かに闘志を燃やす原沢の戦いを大いに注目したい。

10月初めの全日本学生柔道体重別選手権大会で優勝、その余勢を駆って1ヵ月後の講道館杯も、ノーシードから一気に頂点に駆け上がった高橋。今最も乗っている選手と言えるかもしれない。日頃から大学の同級生である斉藤と練習しているため、大きい相手も気にしないし、受けも強い。そして、高橋の最大のストロングポイントは寝技。伏せた相手の足を両足で挟みひっくり返して抑える技術は、ついつい見入ってしまうほど。今大会でも、外国人相手にこの技術を存分に見せてほしい。

昨年の全日本チャンピオンである太田は、本来であれば、繰り上げではなく、正代表に入るべき選手だが、講道館杯で高橋に不覚を取ったために代表から外れ、来年の世界選手権の代表レースからも漏れてしまった。しかし、幸運にも復活の好機を掴んだ太田。果たしてこのビッグチャンスを活かせるか。目の離せない戦いになりそうだ。

外国人選手では、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)100kg級金、東京五輪(柔道)100kg超級金メダルのクレパレク(チェコ WRL9位)とオドフー・ツェツェンツェンゲル(モンゴル WRL5位)が有力。クレパレクは現在32歳のベテラン。長身で細身、長い手足を利しての隅返や密着しての裏投や浮落、隅落など、相手の動きや技への対応力がすごい。天理大学出身のツェツェンツェンゲルは、柔道もやはり天理系の本格派。左の内股、大外刈、小外掛などを得意とし、パワフルな選手。第二の故郷である日本での大会ということで気合十分で臨んでくることだろう。要警戒だ。

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柔道チャンネル「柔道グランドスラム東京2022」について
柔道関連施設を検索するなら、柔道情報の専門サイト「柔道チャンネル」。柔道チャンネルでは、2022年(令和4年)12月3日(土)と4日(日)の期間で開催された「柔道グランドスラム東京2022」の情報をまとめました。日程をはじめとした大会概要はもちろん、試合結果、写真・動画、歴代の大会成績などをご紹介。柔道グランドスラム東京2022の魅力を幅広くお伝えしています。
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