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全日本選抜柔道体重別選手権大会(2022年)
大会の見どころ 男子
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全日本選抜柔道体重別選手権大会(2022年) 大会の見どころ 男子 - 柔道チャンネル

全日本選抜柔道体重別選手権大会(2022年) 大会の見どころ 男子
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全日本選抜柔道体重別選手権大会(2022年)をさらに楽しむ、男女階級別の見どころポイント!「全日本選抜柔道体重別選手権大会(2022年)」大会の見どころ-男子-

全日本選抜柔道体重別選手権大会(2022年)の男子柔道について、各階級別の見どころポイントをご紹介します。

※掲載内容は、2022年3月30日時点のものです。 ※直近3年間の大会成績をリンクしています。

女子の見どころはこちら

男子60kg級

柔道グランドスラム大阪2019
決勝戦
永山竜樹 vs 高藤直寿

第1シードは東京五輪(柔道)金メダリストの高藤直寿パーク24)。第2シードに4大会連続で世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)の代表を務め、うち2大会で銅メダルを獲得している永山竜樹了德寺大学職員)が配された。この2名がそのまま優勝争いの軸であり、順当ならば決勝での直接対決が濃厚だ。

両者の対戦成績は3勝3敗。最後の戦いとなった2019年の柔道グランドスラム大阪では、高藤が小内刈「技あり」で勝利している。かつては技術の高藤にフィジカルの永山という構図だったが、この2年の間に高藤はフィジカル面、寝技とより死角のない「全方位性」を獲得。一方の永山は昨年のブダペスト世界選手権ではメダルの獲得に失敗するなど、やや停滞している感がある。世界大会4大会で優勝を逃している永山にとっては、今年のタシケント世界選手権に出場するためには、ここで高藤に勝利することが必須。果たして永山が勝利して停滞を抜け出すきっかけを掴むのか、それとも高藤が勝利してさらに差を広げるのか。注目だ。

トーナメントでは、高藤は1回戦で小西誠志郎(自衛隊体育学校)、準決勝で米村克麻(センコー)と福田大悟(鹿屋体育大学4年)の勝者と対戦予定となっている。いずれも担ぎ技、捨身技を軸とする正統派の担ぎ技系であり、それほど戦いにくくはないはずだ。五輪後の休息期間を経た高藤の調子がどこまで上がっているのかは不明だが、平均値の出来でも十分に勝ち上がれると予想する。

一方、永山は1回戦で青木大(パーク24)、2回戦で古賀玄暉(旭化成)と竪山将(パーク24)の勝者と対戦することになる。抱き勝負が得意な長身変則タイプの青木に、昨年大会のファイナリストである古賀と竪山の勝者と、組み合わせは高藤よりも過酷。あくまでも勝ち上がりは永山と考えるが、永山は今年2月の柔道グランドスラム・パリで、昨年負った肉離れを再発しており、その回復具合によっては大きく消耗してしまう可能性もあるだろう。

男子66kg級

柔道グランドスラム大阪2019
決勝戦
丸山城志郎 vs 阿部一二三

東京五輪(柔道)金メダリストの阿部一二三(パーク24)と世界選手権2連覇中の丸山城志郎(ミキハウス)、男子7階級で唯一、昨年行われた世界大会の金メダリストが出場する。間違いなく男女を通じてナンバーワンの注目階級だ。

阿部と丸山は東京五輪(柔道)の代表争いでも激しい戦いを繰り広げ、2020年12月に講道館で行われたワンマッチ形式の代表決定戦、24分間の死闘は記憶に新しい。その際は阿部が大内刈「技あり」で勝利しているが、両者の実力は拮抗しており、どちらが勝利してもおかしくない。配置はそれぞれ阿部が第1、丸山が第2シード。他の選手との力関係を考慮すれば決勝での直接対決が実現する可能性が極めて高いだろう。丸山の内股に巴投、阿部の担ぎ技とどちらも一撃必殺の投げ技を持っており、投げによる決着は必至。海外の専門サイトでも事前に特集記事が組まれるなど、世界中の柔道ファンが注目する真の世界一決定戦だ。

トーナメントでは、阿部は1回戦で昨年の学生王者の新井雄士(國學院大学4年)、準決勝で藤阪泰恒(パーク24)と内村光暉(自衛隊体育学校)の勝者との対戦が組まれている。阿部の勝ち上がり自体はまず間違いないが、準決勝で対戦する可能性のある藤阪はチームメイトで階級随一の組み手巧者。互いに手の内を知る者同士、藤阪が阿部を相手にどのような組み手で封じに掛かるのか、そして阿部がどのような手立てでそれを粉砕しにかかるのかに注目したい。

一方、丸山は1回戦で武岡毅(國學院大学4年)、準決勝で田中龍馬(筑波大学2年)と相田勇司(國學院大学4年)の勝者と対戦する。こちらも山場は準決勝にあり、国際大会でも昨年の柔道グランドスラム・パリで優勝するなど3大会連続で表彰台に登っている、現在売出し中の若手注目株・田中の挑戦を受ける可能性が高い。田中は担ぎ技を軸としたスタイルだが、最大の強みは体の強さ。まだまだ力は丸山が上と見るが、密着しての勝負になった場合には田中にもチャンスがあるはずだ。丸山の調子を測るとともに、ここで田中の現在の強さがどの程度なのかを確認しておきたい。

男子73kg級

2021年
全日本選抜柔道体重別選手権大会
1回戦
橋本壮市 vs 大吉賢

投げ一発の威力を売りとする選手が揃った階級。出場予定だった五輪2連覇の大野将平(旭化成)は欠場となったが、それでも第2シードで2018年バクー世界選手権準優勝の橋本壮市(パーク24)、第3シードで現在国内3番手の原田健士(綜合警備保障:ALSOK)、大吉賢(了德寺大学職員)、塚本綾(日本体育大学4年)ら柔道自体が面白い、魅力的な選手がトーナメントに名を連ねている。

優勝争いの軸は橋本と原田。橋本は変幻自在の組み手とそれと連動して繰り出される独特の投げ技が武器。特に「橋本スペシャル」と呼ばれる片手の袖釣込腰は抜群の威力を誇っている。一方の原田は超攻撃柔道が売りの若手注目株。内股に隅返、裏投と決して保有する技種は多くないが、投げのセンスは抜群。そのアグレッシブなスタイルゆえに自爆のリスクはあるものの、勢いに乗れば相手の柔道を塗り潰してしまう強さがある。

両者は当初大野が第1シードだったことにより、第2、第3シードとして揃ってトーナメント下側の山に配された。対戦は準決勝。組み手で試合をコントロールする橋本に、真っ向勝負が身上の原田と、それぞれのスタイルは正反対。果たして橋本が組み手で原田を封じるのか、それとも原田が橋本の防壁を突破して一発を叩き込むのか、両者の間合いを巡る攻防に注目したい。なお、1回戦ではそれぞれ橋本が細木智樹(皇宮警察)、原田が立川新(旭化成)と対戦予定となっている。まずはここをいかに勝ち上がるかで、調子のほどが分かるはずだ。

一方、大野欠場のトーナメント上側の勝ち上がり候補は昨年大会2位の大吉。投げ一発の破壊力で鳴らす猛者であり、必殺の裏投でこれまで数多くの強豪を葬ってきた。昨年11月の柔道グランドスラム・バクーではリオデジャネイロ五輪銀メダリストのルスタム・オルジョフ(アゼルバイジャン)を破るなどして2位を獲得しており、今最も勢いのある若手と言って良い。組み合わせでは1回戦で島田隆志郎(パーク24)、準決勝で内村秀資(東海大学3年)と塚本の勝者と対戦予定。巴投を軸に変則技が豊富な内村が勝ち上がってきた場合には接戦となりそうだが、順当ならば地力に勝る大吉が勝利する可能性が高そう。

決勝に関しては、橋本が勝ち上がった場合には橋本が有利、原田が勝ち上がった場合には五分と予想する。橋本は昨年大会で大吉に巴投「技あり」で敗れているが、先に「指導2」をリードしての逆転負け。試合自体はほぼ支配していた。今回は相応に警戒して臨むと思われ、同じ轍を踏むことはないだろう。一方、原田の場合はスタイル的に近い間合いになることが必須であり、大吉と技の間合いが重なる。ともに攻撃的柔道が売りの選手であることからも、「一本」決着が濃厚で、見応えのある試合となりそう。

男子81kg級

2021年
全日本選抜柔道体重別選手権大会
決勝戦
藤原崇太郎 vs 佐々木健志

東京五輪(柔道)金メダリストの永瀬貴規(旭化成)、2018年バクー世界選手権銀メダリストの藤原崇太郎(旭化成)、昨年大会優勝者の佐々木健志(綜合警備保障:ALSOK)による巴戦。3名全員が世界大会優勝クラスの力を持っており、誰が勝利してもおかしくない。

3名の柔道スタイルをおさらいすると、永瀬は強靭な体幹と足腰のバネを武器に、遠間から内股や大内刈を狙うスタイル。さらに昨年は新兵器の体落も身に付け、攻撃の幅を拡げている。続いて藤原は巧みな組み手による間合いの管理と、密着しての支釣込足や裏投一発という両極端なスタイルの使い分けが持ち味。以前は密着による自爆もあったが、最近は精度が上がってきている。最後に、佐々木は攻撃力ならば間違いなく世界一。常人離れした身体能力と反射神経を武器に、立ち技、寝技を問わず、切れ目なく一撃必殺レベルの技を繰り出すことができる。こちらも藤原と同様に以前は返し技を狙っての自爆が多かったが、最近は改善されてきている。

トーナメントのシード位置は、永瀬が第1、藤原が第2、佐々木が第3。まず準決勝で藤原と佐々木が戦い、その勝者が永瀬に挑むことになる。ただし本階級はこの3名以外の出場者も非常にハイレベル。この3名が序盤で敗れる可能性も十分にあり得る。

上側の山の永瀬は1回戦で佐藤正大(自衛隊体育学校)、続いて準決勝で小原拳哉(パーク24)と賀持喜道(日本大学3年)の勝者と対戦予定。佐藤は基本スタイルこそ担ぎ技を軸としたベーシックなものだが、状況に応じて奥襟を持つこともあり、枠に囚われない破調が持ち味。準決勝での対戦が濃厚な小原は昨年来、全日本柔道選手権大会(以下、全日本選手権)など、無差別の戦いで大きな存在感を示しており、その好調をそのまま今大会に持ち込めれば面白い戦いを見せてくれるはずだ。いずれも変則的な柔道、試合運びが身上であり、地力、純粋な戦力は永瀬が上ながら、決して油断できない。

一方、下側の山ではまず1回戦で藤原が友清光(日本製鉄)、佐々木が丸山剛毅(パーク24)と対戦する。手堅さが売りの友清に、攻撃的な柔道が持ち味の丸山と、藤原、佐々木ともに対戦相手は自らと同属性。相性的には比較的戦いやすいと思われる。ただし、佐々木の相手の丸山はこれまで何度も番狂わせを演じてきている大物食い。あくまでも勝利は佐々木と予想するが、一瞬も気の抜けない緊張感のある戦いになるはずだ。順当ならば準決勝は藤原vs佐々木の昨年の決勝と同カードになると予想され、その場合は実力の絶対値で上回る佐々木が勝利する可能性が高い。藤原としては、安易に接近戦は挑まず、じっくりと戦いたい。

決勝は下側の山から藤原、佐々木のどちらが勝ち上がってきても、永瀬にとっては所属、もしくは大学の後輩との戦いとなる。それぞれ相手の手の内を良く知る中でどのような戦いを見せてくれるのか、その戦いぶりに注目だ。

男子90kg級

柔道グランドスラム大阪2019
敗者復活戦
向翔一郎 vs 村尾三四郎

第1シードには東京五輪(柔道)代表の向翔一郎(綜合警備保障:ALSOK)、第2、第3シードにはともにブダペスト世界選手権代表の長澤憲大(パーク24)と村尾三四郎(東海大学3年)が配された。最近の成績からすれば優勝候補の一番手は村尾。昨年は中盤以降調子を落としていたが、今年2月の柔道グランドスラム・パリでは以前に敗れているママダリ・メフディエフ(アゼルバイジャン)、ダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)に勝利して優勝、順調に復調してきている。村尾の最大の武器はリーチの長さを活かして遠間から刈り込む足技。今大会を制して国内序列1番手の奪取に挑む。

トーナメントでは上側の山の向が1回戦で昨年の学生王者の押領司龍星(國學院大学3年)、2回戦で昨年王者の増山香補(パーク24)と長井晃志(警視庁)の勝者と対戦予定。シード順からすれば向が勝ち上がり候補だが、増山勝利の可能性も低くない。増山は高く担ぎ上げる背負投を得意とする若手の注目株。昨年の柔道グランドスラム・バクーで優勝するなど順調に力を付けてきており、現在の力ならば向とも五分以上に戦えるはず。一方、向としては現在の序列を維持するために負けられない戦い。持ち味である意外性、爆発力の発揮に期待したい。

一方下側の山では1回戦で長澤と森健心(明治大学2年)、村尾と田嶋剛希(パーク24)が対戦する。長澤は森の足技一発を食らわなければ順当に勝ち上がると予想するが、村尾と田嶋のカードは要注目。村尾は昨年この大会で田嶋に敗れており、今回は雪辱を期す戦いとなる。絶対値は村尾が上と見るが、田嶋には高く担ぎ上げる担ぎ技に間合いを詰めての密着勝負と村尾の武器のリーチの長さを無効化する手札が豊富。一筋縄ではいかないはずだ。準決勝は順当ならば長澤と村尾のカードになると予想。この試合は組み手の巧さを活かして組み勝っての内股を狙う長澤と、その組み手の防壁を掻い潜って投げを狙う村尾という構図になるはず。ここは組み手争いから投げに至る筋道の多さから、村尾にやや分がありそう。

決勝は増山と村尾の対戦になる可能性が高いと予想する。直近の対戦である2019年講道館杯全日本柔道体重別選手権大会(以下、講道館杯)では村尾が勝利しているが、その前は増山が2勝している。最後の対戦は2019年。それからの期間で両者ともに大きく成長しており、国内外で結果を残している。果たして今度はどちらが勝利するのか。熱戦は確実。今後の国内90kg級を占うという意味でも、見逃せない一番だ。

男子100kg級

平成31年
全日本選抜柔道体重別選手権大会
決勝戦
ウルフアロン vs 羽賀龍之介

東京五輪(柔道)金メダリストのウルフアロン(了徳寺大学職員)が第1シード。第2、第3シードには昨年大会優勝者の飯田健太郎(旭化成)と2020年全日本選手権王者の羽賀龍之介(旭化成)が配された。

優勝候補の一番手はウルフ。五輪後の休養期間には柔道のアピールのために東奔西走、本格的な競技復帰は今年からとその調子のほどは不透明だが、手堅い試合運びに自身のスタイルに最適化された投げ技、的確な戦術立案能力と全方位に隙がない。昨年序盤はヒザの故障から復帰する過程で受けの脆さが見受けられたが、東京五輪(柔道)に向けて調子を仕上げる過程でそれも克服。以前より安定感も増している。

一方、飯田は昨年来国際大会での優勝がなしと成績が低迷中。投げの威力は変わらず高いレベルにあるものの、組み手や試合の組み立てに甘さがあり、そこを突かれて密着されての敗戦が目立つ。今大会は負けられない戦い。最低でもウルフとの直接対決までは辿り着きたい。

続いて羽賀。国内の体重別の試合には2019年の講道館杯を最後に出場していないが、全日本選手権では2020年優勝、2021年準優勝と2年連続で決勝に進出。変わらず大きな存在感を放っている。柔道も内股の威力はそのままに組み手や試合の組み立てなどより成熟したベテランの戦い方に進化しており、完成度は以前よりも上がっている。

トーナメント上側の山では、ウルフが1回戦で垣田恭兵(旭化成)、準決勝で山口貴也(日本大学4年)と石内裕貴(旭化成)の勝者と対戦する。準決勝での対戦が濃厚な石内は相性的に戦いやすいと思われるが、初戦で対戦する垣田は日本柔道界随一の曲者。様々な形から仕掛けることのできる背負投をベースに密着勝負も得意としており、絡め取るように相手を自身のペースに引き込んでしまう。ともにベストポジションならばウルフの手堅い戦いぶりが上回ると予想するが、現状ウルフの仕上がり具合は不透明。一方の垣田は年末の全日本選手権で3位、先日行われた同大会の九州地区予選も3連覇と目下絶好調。あくまでも勝ち上がり候補はウルフながら、番狂わせの可能性も。

一方、下側の山では1回戦で飯田と神垣和他(明治大学4年)、羽賀と昨年の学生王者の植岡虎太郎(天理大学3年)が対戦する。ここはいずれも飯田、羽賀が順当に勝ち上がると思われ、その場合の準決勝カードは飯田と羽賀。ここは羽賀が同門対決にめっぽう強いこと、飯田が最近不調であることから羽賀の勝利と予想する。

順当ならば決勝はウルフと羽賀。最後の対戦となった2019年の全日本選抜柔道体重別選手権大会では羽賀が勝利している。仮にウルフがここまで勝ち上がるコンディションであればウルフ勝利の可能性が高いと読むが、前述の通り羽賀はその研究能力の高さから、手の内を知る同門相手に無類の強さを誇る。東海大の後輩・ウルフに対し、必ず「ウルフ潰し」の戦法を持ち込んでくると思われ、どのような手立てでウルフに挑むのかに注目だ。

男子100kg超級

平成31年全日本柔道選手権大会
4回戦
原沢久喜 vs 太田彪雅

第1シードは東京五輪(柔道)日本代表の原沢久喜百五銀行)。以下、第2シードにブダペスト世界選手権王者の影浦心(日本中央競馬会)、第3シードに昨年の全日本選手権王者の太田彪雅(旭化成)が配された。

優勝候補の筆頭は原沢。ただし、対抗馬の影浦、太田とはいずれも相性が良くなく、その点で他階級の優勝候補と比べると絶対性は低い。勝敗はもちろんだが、それ以上に東京五輪(柔道)後の休養から現時点でどこまで調子を上げているのか、パリ五輪に向けて再起を期す中でどのような柔道を志向しているのかに注目したい。

続いて影浦。昨年念願の世界王座を手に入れたものの、年末の全日本選手権では階級が下の垣田に「指導3」で敗戦。今大会が出直しの戦いとなる。課題は相四つ相手の手札の少なさと組み合ってから技を仕掛けるまでの遅さ。これにどのような答えを持ち込むかに注目だ。

最後に太田。昨年ついにシニアで初のタイトルとなる全日本選手権王座を獲得。現在非常に勢いに乗っている。最大の武器は強烈な袖の絞りとそれを活かした厳しい組み手。初の世界選手権代表に向け、優勝を目指す。

トーナメント上側の山では原沢が1回戦で王子谷剛志(旭化成)、準決勝で中野寛太(天理大学3年)と小川雄勢(パーク24)と対戦予定。原沢と王子谷は同学年のライバルであり、王子谷が最近調子を上げてきていることも含めて非常に楽しみなカード。本調子ならば原沢の勝ち上がりと予想したい。続く準決勝には恐らく小川が勝ち上がってくると思われるが、小川はここのところ投げられて敗れることが多く、明らかに調子を落としている。ここは原沢、あるいは王子谷が勝利すると考えるのが穏当だろう。

一方、下側の山では1回戦で影浦と斉藤立(国士舘大学2年)、太田と佐藤和哉(日本製鉄)に代わって出場となった香川大吾(綜合警備保障:ALSOK)が対戦予定。影浦と斉藤の戦いは本大会最注目カードのひとつ。影浦は相四つを苦手としており、かつ斉藤の巨体を投げるのは至難の業だ。対する斉藤は3月に行われた全日本選手権の東京予選に優勝しており、その際は「取れる」レベルの寝技も見せている。影浦が勝利するとすれば手数による「指導3」か組み際の小内刈と予想するが、それは当然斉藤も読んでいるはず。勝ち上がり候補は影浦だが、斉藤にも十分に勝機がある戦いだ。続いて下側の山からは太田の勝ち上がりが濃厚。香川は昨年来好調だが、太田とはケンカ四つのため、組み手の巧さで勝る太田が有利と予想する。続く準決勝の影浦と太田は、2021年の世界王者VS全日本王者対決。同じ東海大の先輩後輩であり、手の内を良く知る両者のため接戦になると思われるが、全日本王者となり自信を付けた太田が、組み手の巧さで優位に進め、際どい試合をものにしそうだ。

決勝は原沢と太田。両者は2019年の全日本選手権で対戦しており、その際は太田が勝利している。組み手は相四つ。この試合でも太田の厳しい引き手の絞りに対して原沢がどのようなアプローチをするのかがポイントになるだろう。決勝までの予想はしたものの、正直、現状突出している選手がいないため、混戦となることは間違いないだろう。

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柔道チャンネル「全日本選抜柔道体重別選手権大会(2022年)」について
「柔道チャンネル」は柔道情報の専門サイト。「柔道チャンネル」では、2022年(令和4年)の「全日本選抜柔道体重別選手権大会」についての情報を詳しくまとめました。全日本選抜柔道体重別選手権大会は各階級の日本一を決める大会。日本最高峰の戦いとも言われています。こちらでは、大会の概要や組み合わせ/試合結果などをご紹介。さらに大会の見どころも掲載しています。
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