準備運動
練習前のストレッチ
柔道に限らず、どんなスポーツをするときにも準備運動が欠かせません。特に柔道は体全体を使う競技なので、全身をしっかり柔軟にしておくことが大切です。準備運動が十分にできていれば、技や重心移動がスムーズになります。怪我の防止にも繋がるため、軽視せずにきちんと行いましょう。
柔道の準備運動は、体操やストレッチ。体がやわらかければ、使える技のバリエーションも広がるため、180度の開脚を目標に、日々コツコツと取り組むのがポイントです。
柔道の準備運動では、首回りをよくほぐすことも大切。柔道は技の特性上、首周辺の怪我が多くなりがちです。首周りの大怪我を避けるため、準備運動では首をゆっくり回したり、左右に伸ばしたりして、入念にほぐすようにしましょう。
試合では相手の柔道着を掴むこともあるため、指先もよく使うことになります。手の準備運動をする際には、腕だけではなく指の1本1本までよくマッサージを行いましょう。
また、重心を安定させるためには、腰が重要。準備運動をする際には、いきなり激しく動かすと腰を痛めるため、筋肉を意識しながらゆっくりと伸ばします。
柔道の受け身では、体の回転が重要です。前転や後転など、受け身に使う回転運動も準備運動として取り入れることをおすすめします。
ここで挙げた準備運動はあくまでも一例で、道場によって準備運動のやり方は異なるものです。実際に練習を行う場合は、道場の方針や習熟度に応じて練習に取り組みましょう。
かかり練習
かかり練習は「打ち込み」とも呼ばれ、技を覚えるための基本的な練習。かかり練習の目的は、技を仕掛ける手順や構造を理解して習得すること。技に入る動作まで、ひとつの技を繰り返し連続して練習することで、形や技のタイミングを習得します。
練習方法は、固定姿勢で行う場合と移動しながら行う場合の2種類です。固定姿勢の場合は、立った状態の相手に技を掛けることを想定しています。繰り返し動いても技の形が崩れないように意識し、一連の動作を正確に行えるように、最初はゆっくりしたスピードで行いましょう。移動しながら行う場合は、相手を押したり引いたりする動きの中で技を掛ける練習を行います。技の掛け方だけでなく、タイミングなども体で覚えていくのがコツ。同じ方向や動きから始めて、慣れてきたら次第に動く範囲を広げ、最終的にはどの方向でも技を仕掛けられるように練習しましょう。
ひとりで行う場合は、柱に帯を結んで相手に見立てて練習。ふたりで行うと、より実戦的な感覚を身に着けられます。また、技を掛けられる側を補助し、負荷を掛けて3人で行う場合もあるのです。
約束練習
かかり練習で技の基本を身に付けたら、次はより実戦的な練習に進みます。2人1組になって、互いに定めた条件(約束)のもとで行うのが「約束練習」。技の正しい姿勢や崩しなど、実際に相手がいる状況で動くことで技の動きを学びます。
約束練習では、一方が複数回投げる、交互に投げ合うなど、お互いの練習の目的に応じて対応。技を掛ける側(取り)と掛けられる側(受け)との呼吸を合わせるのがポイントです。実際の試合と異なり、相手の動きが分かった状態で練習できるので、慌てず正確に技を習得することに集中しましょう。
自由練習
自由練習は「乱取り」(らんどり)とも呼ばれる、実際に相手と組みあう実践的な練習。かかり練習と約束練習で練習した技について、実戦での体さばき、技の掛け方、力の使い方などを確認します。
自由練習でのコツは、正しい姿勢を保ち、力まないこと。自由練習は試合形式で行われますが、勝ちにこだわるのではなく、技を正しく体得することを重視しましょう。
また、自由練習は、自分と相手のスキルに合わせた内容で行うことが大切です。勝ち負けを競う場面ではないので、いきなり全力でぶつかるのではなく、相手の技能が自分より上・同等・自分より下の場合それぞれに合った内容での練習が必要。特に初心者は安全を第一に考え、無理して怪我をしないように注意して取り組みましょう。
自由練習は技の研究や得意技を工夫して試すことができる絶好の場です。自分の得意な技を見つけたり、より効果的に活かす方法を探したりしてみましょう。
練習の中では、タイミング、効果的な技の掛け方、防御方法などを学ぶことができます。大切なのは、投げたり投げられたりしながら、取りも受けも積極的に行うこと。基本を大切にしつつ、技の精度を高められるように、経験を重ねることが重要です。
寝技練習
「寝技」(ねわざ)とは、立ったまま行う立ち技に対し、どちらか一方の相手が下になり、寝転がった状態で攻防すること。「固め技」(かためわざ)とも言い、「抑え技」、「締め技」、「関節技」の3つに分けられます。寝技のなかには危険度が高い技もあるため、怪我の原因とならないようしっかりと練習し、正しく技を習得しましょう。
寝技では、相手の体の自由を奪うための体力、体勢を維持するための持久力・筋力が必要で、力不足だと相手に逃げられてしまいます。例えば、腕の力を付けるためには、腕の力のみで這うように移動するトレーニングがおすすめ。日頃の鍛錬がものをいうので、筋トレや体力づくりはしっかりと行いましょう。
寝技は32本の種類があり、寝技練習ではそれぞれの技の練習を行います。例えば、抑え技の代表でもある「袈裟固め」(けさがため)は、相手の首に腕を回して、相手の体を自分の上半身で抑え込む技。コツは相手の横で相手の後襟を握って隙間をなくし、首をしっかりと抱え込むことです。
また、寝技練習では技を掛ける方法だけでなく、技を掛けられた際に逃げる方法も学びます。例に挙げた袈裟固めの場合、逃げるときには相手の背中側に回って、足を絡めたり、隙間を作ってうつ伏せになったりすると逃げやすくなる他、袈裟固めで返すのも方法のひとつ。効果的な方法や得意な逃げ方も習得できるように練習してみましょう。練習では失敗を恐れず、積極的に学ぶ姿勢が重要です。