2021年ブダペスト世界柔道
選手権大会/国別団体戦
大会の見どころ 男子

2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦 大会の見どころ 男子

2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦 大会の見どころ 男子
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2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦をさらに楽しむ、男女階級別の見どころポイント!「2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦」大会の見どころ-男子-

2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦の男子柔道について、各階級別の見どころポイントをご紹介します。

※文中のIJFポイントランキングは、2021年6月2日時点のものです。 ※掲載内容は、2021年6月2日時点のものです。 ※直近3年間の大会成績をリンクしています。

女子の見どころはこちら

男子60kg級

世界柔道2019
3位決定戦
永山竜樹 vs 高藤直寿

日本からは永山竜樹了徳寺大学職員)と古賀玄暉(旭化成)の2名が出場する。永山は過去に世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)に3度出場しており、そのうち2018年バクーと2019年東京では銅メダルを獲得している。海外選手も含めた今大会の優勝候補最右翼だ。一方の古賀も、2019年アジアパシフィック柔道選手権大会で優勝するなどの実績があり、今年4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会(以下、選抜体重別)で初優勝した勢いがある。こちらもメダル獲得の可能性十分と考えて良いだろう。

永山の柔道は、階級トップクラスのパワーを武器に一本背負投、内股、裏投などの大技を次々と放って相手を正面から投げ飛ばす豪快なもの。今大会でも派手な「一本」を見せてくれるはずだ。現在の世界ランクは2位に大きなポイント差を付けての1位。実力的には十分に世界王者になるだけのものを持っている。東京五輪(柔道)の代表争いではライバルの高藤直寿パーク24)に敗れたが、その最大の要因は世界王者になった経験の有無だった。今大会で悲願の世界王座獲得に挑む。

一方、古賀はトリッキーな柔道で相手を翻弄する変則タイプ。後方に反るように背中で押し込む肩車や、一度引き込んでからの大内刈などの変則技を数多く持っている。また長い手足を活かした密着しての力勝負も得意としており、相手に合わせてスタイルを変えることができることが大きな強みだ。父は今年3月に亡くなったバルセロナ五輪(柔道)71kg級金メダリストの古賀稔彦。勝負強さと強靭なメンタルは父親譲りで、前述の選抜体重別では父の死の直後にもかかわらず全試合一本勝ちで優勝を飾った。パリ五輪(柔道)を目指すためにもぜひメダルを持って帰りたい。

海外勢で有力なのは、2019年東京世界選手権王者のルフム・チフヴィミアニ(ジョージア)、2021年ヨーロッパ選手権王者のフランシスコ・ガリーゴス(スペイン)、2020年ヨーロッパ選手権大会2位のヤゴ・アブラゼ(ロシア)ら。特にチフヴィミアニは2019年東京世界選手権で永山が敗れた相手であり要注意だ。

男子66kg級

世界柔道2019
決勝戦
丸山城志郎 vs L.KIM

日本代表は世界選手権の2連覇が懸かる2019年東京世界選手権王者の丸山城志郎(ミキハウス)。東京五輪(柔道)の代表を賭けた阿部一二三(パーク24)との激しいライバル対決は記憶に新しい。五輪の代表権こそ異例のワンマッチ形式で行われた、24分に及ぶ死闘の末に大内刈「技あり」で敗れて阿部に譲ることになったものの、その実力は階級の上位陣と比べても明らかに数段抜きん出ている。もちろん今大会では断トツの優勝候補一番手だ。

丸山の柔道は、襟と袖を正しく持って技を仕掛ける日本柔道らしい正統派。日本刀にも例えられる得意技の内股は抜群の切れ味を誇り、この技を中心に袖釣込腰、巴投などいずれも威力のある技を多数備えている。阿部に敗れてからは「力強さ」の獲得をテーマにさらにトレーニングを積んでおり、新技として大外刈にも力を入れているとのこと。丸山は12月に行われた前述の代表決定戦以降は大会に出場しておらず、今大会が2024年パリ五輪(柔道)に向けた再スタートの場となる。丸山の持ち味である技の切れ味はもちろん、新たに身に付けた力強い柔道にも注目したい。

海外勢で有力なのは、2019年東京世界選手権3位のデニス・ヴィエル(モルドバ)、同5位のバスフー・ヨンドンペレイレイ(モンゴル)、2017年ブダペスト世界選手権3位のヴァジャ・マルグヴェラシヴィリ(ジョージア)、2021年アジア・オセアニア選手権大会王者のサルドル・ヌリラエフ(ウズベキスタン)ら。他にも直近に行われた柔道グランドスラム・カザン大会を制しているムラド・チョパノフ(ロシア)は強豪国ロシア期待の若手であり勢いもある怖い相手だ。ただし、五輪でのメダルが有力視されているアン・バウル(韓国)とマヌエル・ロンバルド(イタリア)はともに出場しておらず、丸山の実力ならば平均値の出来でも十分に優勝ができるはず。圧勝で連覇を達成してパリ五輪(柔道)に向けたスタートを切りたい。

男子73kg級

選抜体重別2021
1回戦
橋本壮市 vs 大吉賢

日本代表として出場するのは2017年ブダペスト世界選手権王者の橋本壮市(パーク24)。2018年バクー大会でも2位を獲得している階級を代表する実力者だ。東京五輪(柔道)の出場権こそライバルの大野将平(旭化成)との代表争いに敗れて逃したが、今年1月に行われた柔道ワールドマスターズ・ドーハ大会でも2位に入賞するなど安定して結果を残し続けている。実績、実力ともに出場予定の選手の中で頭ひとつ抜けており、今大会の優勝候補の筆頭と言って良いだろう。

橋本の柔道の強みは、変幻自在の組み手とそこから放たれるオリジナル技にある。通常組み手タイプの選手は「指導」を積み重ねて勝利するともすれば地味なスタイルが多いが、橋本の場合、ほとんどの決着が豪快な投げ技によるもの。常に一手先を塞ぎ続ける詰将棋のような組み手で相手を追い詰め、「橋本スペシャル」(変則の片手袖釣込腰)に代表される独自にカスタマイズされた投げ技で派手に投げ飛ばして仕留める。4月に行われた選抜体重別では大吉賢(了德寺大学職員)を相手にまさかの初戦敗退を喫したが、過去の実績が評価される形で今大会の代表に選出された。国内外に改めて力を示すため、そして2024年パリ五輪(柔道)を目指すためにもここは必ず優勝しておきたいところだ。

海外の有力選手は、3月に行われたタシケント大会、トビリシ大会とグランドスラム2大会に連勝して勢いに乗るツォグトバータル・ツェンドオチル(モンゴル)、今年のヨーロッパ選手権王者のアキル・ジャコヴァ(コソボ)、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)3位のラシャ・シャヴダトゥアシヴィリ(ジョージア)、2019年東京世界選手権3位のデニス・イアルツェフ(ロシア)、アーサー・マルジェリドン(カナダ)、トミー・マシアス(スウェーデン)など。

男子81kg級

世界柔道2019
2回戦
藤原崇太郎 vs S.BOLTABOEV

日本からは、2018年バクー世界選手権2位の藤原崇太郎(旭化成)が出場する。この階級は選手層が厚く、非常に多くの強豪がエントリーしているが、藤原も優勝候補の一人と言って良いだろう。

藤原の強みは手堅い組み手とスタミナ、そして勝負度胸の良さ。優れたスタミナを活かしてじっくりと組み手で試合を作り、勝負どころでは思い切り良く一気に攻め込み試合を決めてしまう。組み手の得意な選手は間合いを詰められると手詰まりになりがちだが、藤原は最大の得意技である支釣込足や裏投など密着状態からの技も多く持っており、全方位に隙がない。以前はこの器用さがアダとなり、相手の土俵で勝負をして思わぬ失点をしてしまうことも多かったが、実戦経験を積む中で改善されてきている。

藤原は、2018年には国内一番手の座にあったが、2019年東京世界選手権での初戦敗退や永瀬貴規(旭化成)との直接対決における2連敗が響き、東京五輪(柔道)の代表を逃した。現在は永瀬に次ぐ国内2番手に着けているが、同年代のライバルの佐々木健志(綜合警備保障:ALSOK)が強烈に追い上げてきており、今年4月の選抜体重別では決勝で佐々木に苦杯を喫している。藤原にとって今大会は是が非でも勝たねばならないキャリアの正念場。実力的には十分に優勝できるだけのものを持っており、狙うは自身初の世界王座のみだ。

海外勢で有力なのは、2018年バクー世界選手権王者のサイード・モラエイ(モンゴル)、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストのハサン・ハルモルザエフ(ロシア)、2019年東京世界選手権2位のマティアス・カッス(ベルギー)、ここ最近急激に力を付けてきているシャロフィディン・ボルタボエフ(ウズベキスタン)ら。なかでも藤原にとってバクー大会の決勝で敗れて以来ライバル関係にあるモラエイと、過去2敗と負け越しており東京世界選手権で敗れた因縁の相手でもあるボルタボエフは優勝するためには越えねばならない大きな山だ。

男子90kg級

選抜体重別2021
1回戦
村尾三四郎 vs 森健心

日本からは長澤憲大(パーク24)と村尾三四郎(東海大学3年)の2名が出場する。この階級は81kg級と並ぶ激戦階級だが、長澤は2018年バクー世界選手権で3位を獲得するなど実績豊富な実力者。また村尾も今年5月の柔道グランドスラム・カザン大会で優勝して勢いに乗っている。いずれも絶対的とまでは言えないものの、十分に優勝争いに加わるだけの力を持っていると考えて良いだろう。

長澤の武器は世界屈指の巧みな組み手と威力のある内股。組み手の攻防でじっくりと形を作り、ケンケン、外から回し込んでとその時々に応じた様々なパターンの内股で相手を仕留める。2019年はケガの影響もあり成績が振るわなかったが、今年は3月に出場した柔道グランドスラム・タシケント大会で優勝するなど順調に復調してきている。国内の90kg級は今大会に同時派遣されている村尾をはじめ、選抜体重別を制した増山香補(パーク24)、田嶋剛希(パーク24)など若手が台頭してきており、長澤としては最低でもメダルを獲得して存在感を示しておきたいところ。

一方の村尾は全国高等学校総合体育大会(インターハイ)柔道競技大会を2連覇するなど次代のスター候補として将来を嘱望されてきた大物。東京五輪(柔道)には間に合わなかったが、今大会でついに世界選手権個人戦代表の座を手にした。得意技は大外刈、大内刈、内股。長い手足を活かして遠間から一気に間合いを詰め、豪快に相手を投げ飛ばす。以前は年齢なりの線の細さからパワーファイターを苦手としていたが、新型コロナウイルスによる大会休止期間に筋力と組み手を大きく強化、階級のトップ層とも正面から組み合える地力の高さと組み手の厳しさを身に付けた。今大会ではノーシードのため序盤から強豪と対戦する厳しい組み合わせが予想されるが、2024年パリ五輪(柔道)を目指すために長澤同様、最低でもメダルを獲得して帰りたい。

海外の有力選手は、優勝候補筆頭で2018年バクー世界選手権王者のニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)、同2位のイワン・フェリペ・シルバモラレス(キューバ)、ワールドツアー表彰台常連のベカ・グヴィニアシヴィリ(ジョージア)、ダブラト・ボボノフ(ウズベキスタン)、マーカス・ニーマン(スウェーデン)、クリスティアーン・トート(ハンガリー)と多士済々。組み合わせ次第で誰が勝ち上がってもおかしくない大混戦だ。

男子100kg級

選抜体重別2021
決勝戦
飯田健太郎 vs 神垣和他

日本代表は世界選手権初出場の飯田健太郎(旭化成)。高校時代から未来の世界王者候補として大きな注目を浴びていたが、これまではライバルで東京五輪(柔道)代表のウルフアロン(了德寺大学職員)の壁を越えられず、なかなか世界大会の畳に上がれなかった。今大会は五輪と同年の世界選手権開催というイレギュラーによって生まれた千載一遇の大チャンス。ここで世界王座を獲得して2024年パリ五輪(柔道)に向けたウルフ追撃の第一歩としたい。

飯田の最大の武器は切れ味抜群の内股。状況や相手に合わせて数多くのバリエーションを持っており、そのいずれもが高い威力を誇る。さらに落差のある背負投に足技や寝技も得意としており、今年4月の選抜体重別では全試合、内股以外の技でポイントを得て優勝している。国際大会の実績も、ビッグタイトルの柔道グランドスラム・パリ大会と柔道グランドスラム・デュッセルドルフ大会の両方で優勝歴がある(パリが2017年、デュッセルドルフが2019年)など豊富。パワーファイターや低重心の曲者タイプを比較的苦手としているが、落ち着いて自分の柔道をすることができれば十分に優勝にも手が届くはずだ。大技を狙いすぎず、足技で崩すところからじっくりと形を作りたい。

海外勢で有力なのは、2019年東京世界選手権王者のジョルジ・フォンセカ(ポルトガル)、2017年ブダペスト世界選手権2位のヴァルラーム・リパルテリアニ(ジョージア)、2019年柔道ワールドマスターズ・青島大会優勝のミハエル・コレル(オランダ)、今年のヨーロッパ選手権大会王者のトマ・ニキフォロフ(ベルギー)、2019年同大会王者のアルマン・アダミアン(ロシア)など。

男子100kg超級

柔道グランドスラム大阪2019
2回戦
影浦心 vs T.NAIDAN

日本から出場するのは影浦心(日本中央競馬会)。世界選手権への出場は、団体戦代表を務めた2019年東京世界選手権に続いて2大会連続、個人戦代表は初となる。

影浦の柔道スタイルは担ぎ技を中心としたもの。技に入るスピードは階級随一だ。また小内刈や内股透など大型選手に有効な技術を数多く備えている。2020年2月の柔道グランドスラム・パリ大会では、絶対王者テディ・リネール(フランス)をゴールデンスコア(延長戦)の内股透「技あり」で破って連勝記録を154で止め、世界中を驚かせた。

大型選手に対して無類の強さを誇る影浦だが、同タイプの担ぎ技系やスピードのある選手を比較的苦手としており、意外な相手に黒星を喫することも。今大会はそれら相性的に苦手な選手を相手に、いかに取りこぼさないかがポイントになるだろう。技巧派であり戦略家でもある影浦が、持ち味を活かし、取りこぼしのない試合ができれば、世界の頂点も決して夢ではない。影浦の国内での序列は東京五輪(柔道)代表の原沢久喜百五銀行)に次ぐ2番手。ここで最低でもメダルを獲得して、2024年パリ五輪(柔道)に向けた原沢追撃の第一歩としたい。

海外勢で有力なのは、2019年東京世界選手権王者のルカシュ・クルパレク(チェコ)、同5位のラファエル・シウバ(ブラジル)、2020年ヨーロッパ選手権王者のタメルラン・バシャエフ(ロシア)、2017年ブダペスト世界選手権2位のダビド・モウラ(ブラジル)、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)3位のオル・サッソン(イスラエル)、ワールドツアー上位常連のゲラ・ザアリシヴィリ(ジョージア)ら。なかでもバシャエフは影浦の苦手とする同タイプの担ぎ技系であり、過去の対戦成績も1勝1敗。最近の勢いも考えると非常に怖い相手だ。

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