2021年ブダペスト世界柔道
選手権大会/国別団体戦
大会の見どころ 女子

2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦 大会の見どころ 女子

2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦 大会の見どころ 女子
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2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦をさらに楽しむ、男女階級別の見どころポイント!「2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦」大会の見どころ-女子-

2021年ブダペスト世界柔道選手権大会/国別団体戦の女子柔道について、各階級別の見どころポイントをご紹介します。

※文中のIJFポイントランキングは、2021年6月2日時点のものです。 ※掲載内容は、2021年6月2日時点のものです。 ※直近3年間の大会成績をリンクしています。

男子の見どころはこちら

女子48kg級

選抜体重別2021
決勝戦
角田夏実 vs 古賀若菜

日本からは、角田夏実了德寺大学職員)と古賀若菜(山梨学院大学2年)の2人がエントリー。29歳のベテラン・角田と20歳の新鋭・古賀、柔道のタイプもまったく異なる2人がライバルとして世界の頂点を狙う。現在のIJFワールドランキングは古賀が22位、角田が41位(5月28日現在)で、今大会はともにノーシードでのスタートとなる。国内では東京五輪(柔道)代表の渡名喜風南パーク24)に続くポジションを争う形の両者だが、渡名喜が出ていない今大会は世界女王の座を獲得する絶好のチャンスでもある。

2019年の秋に52kg級から48kg級に階級変更し、残念ながら東京五輪(柔道)代表にはなれなかったものの、この1年半で48kg級のトップ選手として国内外で定着してきた角田。今年3月の柔道グランドスラム・タシケントでは、決勝で強豪・ムンフバット(モンゴル)に敗れて2位だったが、4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会(以下、選抜体重別)では古賀を得意の腕挫十字固で破って優勝しており、48kg級でも安定した結果を出している。タシケントで敗れたムンフバットにも2019年の柔道グランドスラム大阪では勝利しており、巴投からの腕挫十字固という必殺のパターンは、同階級の選手たちの脅威となっていることは間違いない。

一方、もう一人の代表の古賀は、2019年の選抜体重別優勝、2020年講道館杯全日本柔道体重別選手権大会(以下、講道館杯)兼選抜体重別3位、そして今年4月の選抜体重別2位、さらに国際大会でも2019年柔道グランドスラム大阪3位、2020年柔道グランドスラム・パリ2位と結果を出しており、2024年パリ五輪(柔道)代表候補に名が挙がる次世代のエース候補と言える存在。小学生時代から国内タイトル総ナメにしてきた古賀が、一気に世界の頂点に立つ可能性も十分にある。

この階級の第一人者と言えば、ダリア・ビロディド(ウクライナ)だが、今大会にはエントリーしていない。現在、最も有力なのは今年1月の柔道ワールドマスターズ・ドーハを制し、現在IJFワールドランキング1位、2019年東京世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)3位のディストリア・クラスニキ(コソボ)。そして、それに続くのが3月のタシケント大会とトビリシ大会、グランドスラム2大会連続優勝のベテランウランツェツェグ・ムンフバット(モンゴル)、2月の柔道グランドスラム・テルアビブでビロディドに足車で一本勝ちしたシリヌ・ブクリ(フランス)ら。いずれも角田にとっても古賀にとっても難敵となりそうだ。

女子52kg級

世界柔道2019
3位決定戦
志々目愛 vs A.BUCHARD

日本代表として出場するのは志々目愛(了德寺大学職員)。志々目は2017年ブダペスト世界選手権優勝、翌2018年のバクー世界選手権2位、2019年東京世界選手権3位。今年1月の柔道ワールドマスターズ・ドーハでも2位入賞を果たしており、国内では東京五輪(柔道)代表の阿部詩日本体育大学3年)の後塵を拝するも、現在も世界トップの実力であることは間違いない。今大会も優勝候補の筆頭と言って良いだろう。

志々目は、昨年11月の講道館杯兼選抜体重別では武田亮子(龍谷大学4年、当時)に反則負けして2位だったが、過去の実績から東京五輪(柔道)の補欠に選出されている。直近の大会、前述の柔道ワールドマスターズ・ドーハでは、準々決勝のシャルリーヌ・ファンスニック(ベルギー)を内股「技あり」、準決勝のアストリーデ・ネト(フランス)を横四方固で破って決勝進出。決勝のアマンディーヌ・ブシャー(フランス)にはゴールデンスコア(延長戦)の末、「指導3」反則負けを喫したが、世界チャンピオンに輝いた2017年と比べても遜色のないパフォーマンスを見せている。

志々目の最大の武器は切れ味抜群の左内股。あまりの思い切りの良さゆえ、まれに透かされるケースもあるものの、その切れ味は現役選手屈指。また、立ち技から寝技への移行もソツがない。ただ、一発があるがゆえに好機を狙いすぎ、また、相手が警戒して十分な組み手にさせてもらえず、技出しが遅れて「指導」が累積、結果として反則負けを喫することもあり、そのあたりが唯一の不安要素と言えるかもしれない。

ライバルとして名が挙がるのは、2月の柔道グランドスラム・テルアビブで優勝したチェルシー・ジャイルス(イギリス)、同2位のギリ・コーヘン(イスラエル)、1月の柔道ワールドマスターズ・ドーハ3位のネト、IJFワールドランキング6位でベテランのファンスニックなどだが、実力的には志々目が一枚上。世界選手権2連覇の阿部詩、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストのマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)、柔道ワールドマスターズ・ドーハ優勝のブシャーが出場していない今大会、志々目の他を圧する内容での優勝に期待したい。

女子57kg級

柔道グランドスラム大阪2019
決勝戦
玉置桃 vs C.LIEN

日本代表は玉置桃(三井住友海上)。東京五輪(柔道)は補欠に選出されているが、2019年11月の柔道グランドスラム大阪の準々決勝、そして2019年12月の柔道ワールドマスターズ・青島と東京五輪(柔道)日本代表内定選手の芳田司コマツ)に連勝しており、芳田と比べても遜色のない実力の持ち主であることは間違いない。ただ、強豪選手を破りながら優勝を逃すことも多く、安定感に欠けるところがある。とは言え、国内外の選手を見渡し、玉置が絶対に勝てないという選手は見当たらず、今回の世界選手権においても、優勝の可能性は十分にあると言える。

玉置の柔道は、形にはまらない、捉えどころのない柔道で、相手にしたら非常にやりにくいスタイル。右組みからの一本背負投を得意とするが、逆の韓国背負いや袖釣込腰も繰り出し技は多彩。常に動きながら、機先を制する動きと技で相手を翻弄。ひとつひとつの技がずば抜けて切れるというわけではないが、いつの間にか自分のペースに相手を引き込み、いつの間にかポイントを奪って勝っているという印象の試合が多い。おそらく多くの選手が対戦したくないと考えている選手だろう。

日本代表・玉置の勝ち上がりはもちろん見逃せないが、今大会のもうひとつのトピックは、日本育ちの出口クリスタとジェシカ・クリムカイトによるカナダの五輪代表争い。2019年東京世界選手権チャンピオンの出口クリスタは現在IJFワールドランキングでも1位に君臨するが、ピッタリと2位に付けるクリムカイトと、現在、壮絶な代表争いのマッチレース中。東京五輪(柔道)代表は今大会の結果で決定するというわけだ。

現在のランキングから考えると、準決勝で出口が玉置と、そして、クリムカイトがノラ・ジャコヴァ(コソボ)と戦い、勝者が決勝に進む。カナダ選手同士の決勝対決となるか、それとも、玉置が両選手を下すことになるのか。いずれにしても、今大会の優勝争いは出口、クリムカイト、玉置の三つ巴の戦いになる可能性が高いと予想する。

とは言え、3月の柔道グランドスラム・トビリシ優勝のジャコヴァ、4月のヨーロッパ選手権を制したベテランのテルマ・モンテイロ(ポルトガル)、5月の柔道グランドスラム・カザンで優勝したエレーヌ・ルセボー(フランス)も侮れない強敵。興味深い試合の連続となりそうだ。

女子63kg級

選抜体重別2021
決勝戦
鍋倉那美 vs 佐藤史織

日本代表として出場するのは、東京五輪(柔道)補欠に選出されている鍋倉那美。鍋倉は今年1月の柔道ワールドマスターズ・ドーハで準優勝。決勝は世界選手権3連覇の女王クラリス・アグベニュー(フランス)に、ゴールデンスコア(延長戦)の末、「指導3」の反則負けを喫している。ちなみに、このアグベニューとは4回対戦しており、鍋倉の1勝3敗。今大会でも最大の敵となるのは、このアグベニューと思われる。

鍋倉は、昨年9月に三井住友海上を退社。その後、所属がない状態が続き、練習環境など不安視されていたが、4月の選抜体重別には大石道場の所属で出場し優勝、改めて存在感を打ち出した。鍋倉の得意技は内股。切れ味鋭いという技ではないが、相手を崩す技術に優れ、一発で決まらない場合でも寝技につないで仕留めるのが勝利のパターン。また、体幹が強いため、もつれた際には隅落のような形で相手を崩してポイントを奪うこともある。やわらかさと力強さを併せ持つ柔道と言える。

前述したように、今大会で鍋倉の前に立ちはだかるのはアグベニューで、IJFワールドランキングから推測すると、今大会の出場者の順位で1位のアグベニューと2位の鍋倉が対戦するのは決勝ということになる。鍋倉は、順当であればその前に、アンドレヤ・レスキ(スロベニア)と準決勝で戦い、マルティナ・トライドス(ドイツ)と準々決勝で対戦することが予想される。2019年の東京世界選手権3位のトライドスには、鍋倉自身過去に敗れた経験がある上、トライドスはアグベニューやリオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストのティナ・トルステニャク(スロベニア)にも勝ったことがあり、かなりの実力者であることは間違いない。

その他にも、3月の柔道グランドスラム・トビリシで優勝している、寝技の得意なカトリーヌ・ブーシャミン=ピナード(カナダ)、4月の柔道グランドスラム・アンタルヤで初タイトルを獲得したルーシー・レンシャル(イギリス)なども勢いがある。ワールドツアーでコンスタントに上位進出を果たしているサンネ・フェルメール(オランダ)も要注意だ。

女子70kg級

柔道グランドスラム大阪2019
決勝戦
大野陽子 vs K.POLLING

日本からは2018年バクー世界選手権3位の大野陽子(コマツ)が出場する。世界選手権の個人戦代表は上記のバクー大会に続いて2回目。国際大会では2020年柔道グランドスラム・パリ、2021年柔道ワールドマスターズ・ドーハと2大会に連勝中であり、今大会も優勝候補の筆頭と考えて良いだろう。

大野は現在31歳のベテラン選手。得意技は女子柔道屈指の美しさと威力を持つ内股と一本背負投だ。これ以外にも足技や寝技も得意としている。このように非常に多彩な技を持つ大野だが、その強さの源は組み合って圧をかけること。気持ちの強さと無尽蔵の体力を活かして常に前に出続け、相手が根負けしたところを豪快に投げ飛ばす。非常に稽古熱心な選手であり、現在も新技術を取り入れるなど進化を続けている。ただし調子に波があり、圧倒的な強さで優勝することがある一方で序盤での敗退も多いことが玉にキズ。ややスロースターターの面があり、初戦の入り方には注意したい。反対にそこさえ勝ち抜けば一気に優勝まで駆け抜けてしまう可能性も高い。

海外勢で有力なのは、2019年東京世界選手権王者のマリー=イヴ・ガイ(フランス)をはじめ、ワールドマスターズ優勝4回のキム・ポリング(オランダ)、今年のヨーロッパ選手権王者のサンネ・ファンダイク(オランダ)、東京世界選手権2位のバルバラ・ティモ(ポルトガル)、マリア・ポルテラ(ブラジル)など。いずれも強敵ながら大野が実力を発揮すれば十分に勝利できる相手ばかり。特定の選手を警戒するというよりは、前述の通り序盤戦を焦らずじっくり戦うことと、自分らしい柔道をすることに集中すべきだろう。そうすれば自ずと結果は付いてくるはずだ。

女子78kg級

柔道グランドスラム大阪2019
決勝戦
梅木真美 vs 濵田尚里

日本代表は2015年アスタナ世界選手権王者の梅木真美綜合警備保障:ALSOK)。2017年ブダペスト世界選手権でも2位を獲得している実力者だ。東京五輪(柔道)の代表争いでは濵田尚里(自衛隊体育学校)の後塵を拝することとなったが、ここで世界王者に返り咲いて2024年パリ五輪(柔道)に向けた追撃の一歩目としたい。

梅木の最大の武器は相手と組み合ったときの力の強さ。力自慢が揃う78kg級においても頭ひとつ抜けている。両襟で相手を組み止めてジリジリと圧をかけ、足技で蹴り崩して得意の「横三角」(三角絞の形で相手を捲り、崩上四方固で抑え込む形)で仕留めるのが必勝パターンだ。この階級の上位陣は投げて投げられてと良くも悪くも大味な戦い方をする選手が多いが、その中にあって梅木はその堅実な柔道のために比較的成績が安定している。常に力を込めて相手を圧し続けるスタイルであるためやや足技に脆い面があるものの、焦ることなくじっくりと戦えば遅れを取ることはないだろう。

海外勢で有力なのは、2019年東京世界選手権チャンピオンのマデリーン・マロンガ(フランス)、2017年ブダペスト世界選手権王者のマイラ・アギアール(ブラジル)、2018年バクー世界選手権2位のフーシェ・ステインハウス(オランダ)、今年のヨーロッパ選手権王者のベアタ・パクト(ポーランド)ら。世界王者経験者から勢いのある若手まで非常に多くの強豪が顔を揃えた。

なかでもマロンガは東京五輪(柔道)において濵田と並んで優勝候補に挙げられている階級のスーパートップの一人。長身とパワーを活かして遠間から思い切り良く大内刈、大外刈を仕掛けてくる強敵だ。とは言え、この選手の参加は梅木にとっては実力をアピールする大きなチャンス。マロンガに勝利して優勝を果たし、ここで改めて存在感を示しておきたい。

女子78kg超級

選抜体重別2021
決勝戦
冨田若春 vs 髙橋瑠璃

日本からは朝比奈沙羅(ビッグツリー)と冨田若春(コマツ)の2名が出場する。朝比奈は2018年バクー世界選手権の王者。2020年に医学部に入学して以降は練習時間の確保が難しいことなどから成績を落としているが、本来の実力を出せれば頭ひとつ抜けた強さを持っている。対する冨田は昨年の皇后盃全日本女子柔道選手権大会の王者。講道館杯2連覇に選抜体重別優勝と2020年以降は国内タイトルを総ナメにしており、東京五輪(柔道)代表の素根輝に次ぐ国内二番手だ。これまではなかなか国際大会に出場する機会がなかったが、実力は間違いなく世界でもトップクラス。今大会でメダルを獲得して素根との差を縮めたい。

朝比奈の最大の武器は、日本人離れしたその身体の大きさとそれが生み出す馬力。大型選手ながらスピードもあり、得意技の支釣込足や払腰で相手を真っ向から豪快に投げ飛ばす。前述の通り最近は調子を落としており、昨年末の皇后盃では初戦で70kg級の高校生・桑形萌花にまさかの苦杯を喫した。直近の実績では今回同時派遣の冨田に大きく水をあけられていることもあり、今大会がキャリアの正念場だ。気持ちの入った戦いに期待したい。

一方の冨田は、階級内では小柄な体格を活かした、技に入るスピードの速さが持ち味。それに加えてパワーも階級上位クラスのものを持っている。得意技は引手のみを持った状態から一気に加速して仕掛ける片襟の大外刈や払腰。これ以外にも両袖の技や足技も得意としている。海外のライバルたちが五輪本番を前に調子を上げて臨んでくる中、どのような戦いを見せてくれるのか非常に楽しみだ。

海外の有力選手は、2012年ロンドン柔道競技(五輪)金、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)銀メダリストのイダリス・オルティス(キューバ)、2013年リオデジャネイロ世界選手権2位のマリア・アルセマン(ブラジル)、3月の柔道グランドスラム・タシケント2位のベアトリス・ソウザ(ブラジル)、1月の柔道ワールドマスターズ・ドーハ3位のニヒル・シェイフ=ルーフー(チュニジア)ら。この中ではオルティスの力が抜けており、この選手は東京五輪(柔道)における素根の有力なライバルの一人。朝比奈と冨田としては、もし対戦が組まれた場合にはなんとしても勝利しておきたい相手だ。

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