世界柔道2019(世界柔道選手権2019東京大会)

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世界柔道選手権2019をさらに楽しむ、男女階級別の見どころポイント!「世界柔道選手権2019」大会の見どころ-女子-

世界柔道2019(世界柔道選手権2019東京大会)の女子柔道について、各階級別の見どころをご紹介します。

※文中のIJFポイントランキングは、2019年8月9日時点のものです。 ※掲載内容は、2019年8月9日時点のものです。 ※直近3年間の大会成績をリンクしています。

男子の見どころはこちら

女子48kg級

2018年バクー世界選手権 決勝戦
渡名喜風南 vs D.BILODIO

48kg級の日本代表は、2017年ブダペスト世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)優勝、2018年バクー世界選手権2位の渡名喜風南パーク24)。今大会は渡名喜にとって3度目の世界選手権となる。

渡名喜は、現在、IJFワールドランキング1位。国際大会でコンスタントに上位入賞を続けた結果であり、安定性を示すポイントとも言える。IJFワールドランキングは、基本的に上位者イコール実力者と考えて良い。

渡名喜にとって、最大の強敵はバクー世界選手権女王のビロディド(ウクライナ)。18歳と若く、172cmの長身から繰り出す足技が最大の武器。奥襟をつかみ、遠い間合いから飛び込むように入る大内刈や小内刈は、小柄な渡名喜にとって非常に厳しい攻撃で、過去に3度対戦し一度も勝てていない。果たしてどうすれば攻略できるのか。打倒ビロディドの糸口を見つけることができるか。順当に勝ち上がれば、ランキング1位の渡名喜と2位のビロディドが対戦するのは決勝だ。

渡名喜が決勝に勝ち上がるには、IJFワールドランキング8位のドルゴバ(ロシア)、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストのパレト(アルゼンチン)、ランキング5位のクラスニック(コソボ)らとの対戦が予想される。ドルゴバとは2017年ワールドマスターズの決勝で戦い、そのときは9分以上の激戦の末に辛勝している。パレトは33歳と、全盛期は過ぎているものの、昨年のバクー世界選手権でも3位に入っており、今でもトップの実力を維持している。渡名喜にとって簡単に勝てる相手ではないものの、今の実力から考えれば決勝進出の可能性は、高いと見て良いだろう。

その他の有力選手としては、ブダペスト世界選手権2位のムンフバット(モンゴル)、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)、ブダペスト世界選手権、バクー世界選手権と3大会で3位入賞しているガルバドラフ(カザフスタン)など。ムンフバットにしてもガルバドラフにしてもビロディドに勝つのは非常に難しいと思われるが、両選手がビロディドとどう戦うのかには注目したい。

女子52kg級

2018年バクー世界選手権 決勝戦
阿部詩 vs 志々目愛

2018年バクー世界選手権を制した阿部詩日本体育大学1年)と2017年ブダペスト世界選手権優勝の志々目愛了徳寺大学職員)の2人が出場する女子52kg級は、日本人優勝の可能性が非常に高い階級と言って良いだろう。

今、飛ぶ鳥を落とす勢いの阿部は、人気、実力ともに階級ナンバー1。男子66kg級代表の兄・一二三とともに、その人気、注目度は非常に高く、メディアへの露出も多い。

阿部の魅力は、なんと言っても切れ味抜群の投げ技。得意の内股、袖釣込腰を駆使し、常に一本を狙い続ける攻撃的な柔道スタイルは、国内外を問わず高い人気を誇る。かつては、寝技がウィークポイントと言われたが、寝技を強化したことで立ち技での思い切りもさらによくなった。2017年2月の柔道グランプリ・デュッセルドルフ以後、出場した国際大会ではすべて優勝しており、対外国人では、2年以上負け知らず。

一方の志々目も切れ味鋭い内股が武器の選手で、やはり外国人にめっぽう強く、2015年10月から2019年5月の柔道グランドスラム・バクーで、ブシャール(フランス)に負傷棄権で敗退するまで57連勝を記録している。そのときのケガに不安を残す志々目だが、ここで欠場となると、東京五輪(柔道)出場は極めて難しくなるため、なんとしても出場し、阿部との直接対決に臨みたいところ。両者にとって正念場の大会であることは間違いない。

外国人で有力なのはIJFワールドランキング1位のブシャールと、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストのケルメンディ(コソボ)。とりわけ怖い存在はケルメンディで志々目はかつて競り勝ったことがあるものの、阿部は初対決。ケルメンディのパワーにいかに対抗するか。対決の行方が気になるところだ。

2018年の世界選手権では、兄・一二三と兄妹優勝を果たした阿部詩。兄妹連覇となれば、来年の東京五輪(柔道)に向け、さらに注目を集めることになるだろう。

女子57kg級

2018年バクー世界選手権 決勝戦
芳田司 vs N.SMYTHE-DAVIS

2017年ブダペスト世界選手権2位、2018年バクー世界選手権優勝の芳田司コマツ)が57kg級の日本代表。芳田の大会連覇に期待がかかる。

芳田と言えば、57kg級としては小柄の、157cmの身体全体を使って掛ける内股と、崩したあとに相手を確実に仕留める寝技の強さが武器。とりわけ相手を崩してからの寝技は、攻め込む際のソツのなさや巧さに定評がある。立ち技が切れる上に、寝技が強いため、トーナメントの前半では無駄なく勝ち上がり、勝負どころの後半にスタミナを残し、じっくりと勝負できるというバランスの良さが特長と言える。

芳田の最大の強敵になると予想されるのは、現在、IJFワールドランキング2位、2018年バクー世界選手権3位のデグチ・クリスタ(カナダ)。デグチは長野県出身で、松商学園高校山梨学院大学と日本で柔道を習い育った選手で、芳田とは高校時代からのライバル。カナダ代表で東京五輪(柔道)を目指すことを決めてから、さらに実力を高め、現在は芳田にとって最も怖い存在と言える。絶妙なタイミングで繰り出す大外刈は威力があり、要警戒。

デグチ以外では、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)銀メダル、2017年ブダペスト世界選手権優勝、2018年バクー世界選手権3位と、世界大会3大会でメダルを獲っているドルジスレン(モンゴル)。芳田とはブダペスト世界選手権の決勝で約13分にわたる激闘を演じ勝利している。担ぎ技を得意とし、切れ味は今一つながら、先に先にと背負投、袖釣込腰などの担ぎ技を仕掛けて自分のペースにするのが巧い。

その他、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストのシルバ(ブラジル)、ブダペスト世界選手権3位のスミス・デイビス(イギリス)、IJFワールドランキング6位、昨年11月の柔道グランドスラム大阪で優勝したクリムカイト(カナダ)なども注意が必要だ。

女子63kg級

2018年バクー世界選手権 決勝戦
田代未来 vs C.AGBEGNENOU

63kg級の日本代表は2014年チェリャビンスク世界選手権、2015年アスタナ世界選手権3位、そして2018年のバクー世界選手権で準優勝の田代未来(コマツ)。

田代は、2016年のリオデジャネイロ柔道競技(五輪)でメダルを逃し、その後、古傷の左手首の手術をして約1年間試合から遠ざかったが、国際大会の復帰戦となった2017年7月の柔道グランプリ・フフホトで優勝を果たすと、そこからとりわけ国際大会で実力を発揮。バクー世界選手権代表の切符を勝ち取ると、世界選手権でも決勝進出を果たし、苦手のアグベニュー(フランス)に敗れはしたものの、堂々の準優勝。そのあとの大会でも対外国人の強さを発揮し、東京世界選手権の代表に選出された。

田代の長所は足技と寝技。足技が効くため、そこからの内股も効果を見せる。組み際の小外掛、大内刈、そして内股、崩れたら寝技と、間断ない技の連続で一本を取りにいく。それが良いときの田代の波状攻撃だ。

田代にとって、最大のライバルはバクー世界選手権優勝のアグベニュー。アグベニューとはこれまで10戦近く試合して勝ったのはわずかに一度だけ。昨年は、2月の柔道グランドスラム・パリ、9月の世界選手権、12月のワールドマスターズと3連敗。いずれも一方的にやられているわけではないのだが、惜しいところで一本負けを喫している。唯一の勝利は2017年のワールドマスターズ準決勝。ゴールデンスコア(延長戦)含め8分を超える大接戦の末、大内刈で一本勝ちした。田代だけではなく、日本人にとっての最大の強敵であるアグベニュー。打倒、アグベニューが田代の最大の課題と言えるだろう。

2015年アスタナ世界選手権、2016年リオデジャネイロ五輪と決勝でアグベニューに勝って優勝しているのがトルステニャック(スロベニア)だが、田代はトルステニャックには圧倒的に分が良くほとんど負けていない。とは言え、百戦錬磨の選手だけに、油断はできない。その他では、バクー世界選手権3位のフランセン(オランダ)、トライドス(ドイツ)らが有力。

女子70kg級

2018年バクー世界選手権 決勝戦
新井千鶴 vs M.GAHIE

2017年ブダペスト世界選手権、2018年バクー世界選手権優勝、今大会で3連覇を目指す新井千鶴三井住友海上)が70kg級の日本代表。

新井の得意技は大内刈、内股。立ち技から寝技への移行もスムーズで、最近は、風格を感じられるような、落ち着きのある、安定した試合ぶりを見せるようになってきた。現在のところ死角は見当たらない。

外国人選手で一番の強敵と見られるのは、昨年のバクー世界選手権で新井と決勝を争ったガヒー(フランス)。22歳と若く、伸長著しい選手だ。接近戦に強く、どんどん前に出て右手で肩越しの背中や帯をつかみ、払腰、小外刈と、パワフルな技を連続して仕掛けてくる。まだまだ粗削りではあるが、勢いに乗ると非常に怖い選手だ。

その他、IJFワールドランキングでは3位のベルンホルム(スウェーデン)、5位のポラレス(オーストリア)、6位のポルテラ(ブラジル)、コンウェイ(イギリス)と続くが、ここ一番で怖いのは、2009年、13年、14年と3度世界女王に輝いている33歳のベテランのアルベアル(コロンビア)。世界大会での戦い方を知り尽くし、しっかりと調整してくることが予想され、細心の注意が必要だ。左右の技を状況により使い分けてくる器用な選手でもある。

また、ブダペスト世界選手権2位のペレス(プエルトリコ、30歳)、3位のベルナベウ(スペイン、31歳)といったベテラン勢はランキング的にノーシードになるため、早い段階での対戦の可能性もある。

今大会は、日本代表は新井ただひとり。バクー世界選手権では大野陽子(コマツ)も代表として臨み3位。今回大野は団体戦の代表として出場する。この大会で新井が3連覇すれば、来年の東京五輪(柔道)代表は、ほぼ確定と言っても良い状況になるため、新井とすれば、しっかりと優勝し東京五輪(柔道)に向けて大きな一歩を進めたい。伸び盛りの若手とベテラン勢をいかに料理するか、来年の東京五輪(柔道)を占う上でも、大切な戦いとなりそうだ。

女子78kg級

2018年バクー世界選手権 決勝戦
濱田尚里 vs G.STEENHUIS

昨年のバクー世界選手権において、初出場でいきなり世界の頂点に立った濱田尚里(自衛隊体育学校)が今大会も78kg級の日本代表として出場する。この階級は2015年アスタナ世界選手権優勝、2017年ブダペスト世界選手権2位の梅木真美綜合警備保障:ALSOK)や佐藤瑠香(コマツ)、高山莉加(三井住友海上)などが上位で混戦模様だったが、昨年、27歳にして世界選手権初代表となった濱田が、全試合一本勝ちという素晴らしい内容で優勝、遅咲きの花を一気に開花させた。

濱田の強みは、なんと言っても寝技。濱田が寝技に持ち込むと、どのように極めるのか、会場が静かに注目するほど、その高い技術はファンに浸透している。とりわけ関節技、絞め技に入る技術は特筆すべきものがある。だが、バクー世界選手権では、相手に研究されていた寝技をほとんど使わず、立ち技勝負で優勝し周囲を驚かせた。寝技ばかりが注目される濱田だが、実は内股、大内刈などにも威力があることを知らしめた。

とは言え、立ち技勝負には不安を感じさせる場面も多く、立ち技、寝技のバランスが重要になってくる。連覇のポイントはその辺にありそうだ。

海外勢では、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)2位、2017年ブダペスト世界選手権優勝のアギアル(ブラジル)、昨年のバクー世界選手権決勝で、濱田と9分を超える熱戦の末に敗れたステインハウス(オランダ)、バクー世界選手権3位のフェルケルク(オランダ)、さらに、濱田が今年5月の柔道グランドスラム・バクーで敗れているマロンガ(フランス)やブダペスト世界選手権3位のパウエル(イギリス)、同3位のアントマーチ(キューバ)、柔道グランドスラム・バクーで強豪を連破して優勝した好調のマルツァーン(ドイツ)、同じくドイツのワグナーなど、上位進出、優勝を窺う選手も多い。

群雄割拠の78kg級で連覇するのは簡単ではないが、連覇となれば、東京五輪(柔道)代表の可能性が一気に高まるのは間違いない。国内のライバルたちを突き放すためにも、濱田はなんとしても優勝したいところだ。

女子78kg超級

2018年バクー世界選手権 決勝戦
朝比奈沙羅 vs I.ORTIZ

78kg超級最大の見どころは、朝比奈沙羅(パーク24)と素根輝環太平洋大学1年)の一騎打ち。現在のIJFワールドランキングから考えると、2位の朝比奈と6位の素根は準決勝での対決となる。

最近の直接対決においては、圧倒的に分の良い素根だが、対外国人となると、経験値、体格などで朝比奈のほうが一日の長がある。

176cm130kgの朝比奈と162cm110kgの素根。払腰、支釣込足など、技の破壊力では上回る朝比奈だが、受けが強くスタミナに勝る素根を攻略することができず、ゴールデンスコア(延長戦)でスタミナ切れを起こした朝比奈が自滅していくというのが最近の両者の戦いのパターンで、この力関係を変えることは非常に難しくなってきている。

とは言え、昨年のバクー世界選手権で、オール一本勝ちで優勝した事実が示すように、対外国人選手では圧倒的な強さを見せる朝比奈。今大会では、対外国人選手もさることながら、直接対決で素根を破ることができなければ、東京五輪(柔道)の切符は遠のくことになる。

素根に関しても、同じことが言え、朝比奈に勝ったとしても、決勝で他の選手に敗れるようでは、東京五輪(柔道)代表にすんなり選出されるとは考えにくい。朝比奈を突き放すためには、朝比奈を破った上で優勝したいところだ。

朝比奈と素根の勝ち上がりに注目が集まるが、もちろん、その相手も気になるところ。過去の成績、日本人選手との対戦結果からしても、一番に名前が挙がるのはオルティス(キューバ)。現在、IJFワールドランキングでも1位になっているが、大きな規模の大会になればなるほど力を発揮する選手で、世界選手権、五輪(柔道)での強さは別格と言って良い。

五輪(柔道)に関して言えば、2008年北京で銅、2012年ロンドンで金、2016年リオデジャネイロで銀。世界選手権は、優勝2回、3位3回、昨年のバクーでは2位入賞を果たしており、30歳の現在も衰えを見せない。朝比奈にとっても素根にとっても最大の難敵と言って良いだろう。

その他では、バクー世界選手権3位のツェリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)、ブダペスト世界選手権3位のキンゼルスカ(アゼルバイジャン)、同3位のキム・ミンジョン(韓国)などがいるが、朝比奈、素根どちらも普通に戦えば勝てる相手。やはりこの階級の見どころは両選手の直接対決と、女王・オルティスとの戦いに尽きそうだ。

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柔道チャンネル「世界柔道2019(世界柔道選手権2019東京大会)」について
「世界柔道2019(世界柔道選手権2019東京大会)」は、国際柔道連盟が主催する世界選手権。選手にとっては、2020年東京柔道競技(五輪)への出場に大きくかかわる大会です。
柔道チャンネルでは、2019年8月25日〜9月1日に開催される、「世界柔道2019(世界柔道選手権2019東京大会)」の情報を発信しております。
出場日本選手の紹介や過去の大会成績、写真などを掲載していきます。世界各国の柔道家による熱い戦いを、ぜひご覧下さい。
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