ウルフ アロン
東京五輪(柔道)
金メダリスト特集・
インタビュー

ウルフ アロン|東京五輪(柔道)金メダリスト特集・インタビュー

ウルフ アロン|東京五輪(柔道)金メダリスト特集・インタビュー

ウルフ アロン|東京五輪(柔道)金メダリスト特集・インタビュー

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2021年(令和3年)7月24~31日に開催された東京五輪(柔道)。男子・女子選手ともに大活躍し、階級別・混合団体合わせて12のメダルを獲得しました。なかでも金メダルは9つで、過去最多となっています。こちらでは、東京五輪2020における柔道金メダリスト「ウルフアロン」選手について大特集。試合内容やインタビュー記事がご覧頂けます。「金メダリストの東京五輪(柔道)の試合や、思い・今後の展望を知りたい」という方におすすめです。

男子100kg級 ウルフ アロン

ウルフアロン

2018年1月に左ヒザを負傷、2019年12月に右ヒザを負傷し手術していたウルフにとって、東京五輪(柔道)の1年の延期が大きな救いだったのは間違いない。万全とは言えないまでも、この1年の月日がウルフに、東京五輪(柔道)を戦い抜く身体と心を作る猶予を与えたと言って良いだろう。

第5シードで大会に臨んだウルフアロンは、2回戦でフラモフ(ウズベキスタン)と対戦。序盤、フラモフの隅返を潰して横四方固に入るもなぜか「抑込」のコールはなく「待て」。気を取り直して試合を再開し、組み手争いからフラモフが右手で肩越しに背中を掴んできたところ、ウルフが意表を突く浮技で「一本」(1分23秒)。遠心力を効かせた豪快な技で好スタートを切った。

準々決勝の相手は第4シードのパルチク(イスラエル)。昨年の欧州チャンピオン・パルチクに対し、ウルフは大内刈、内股などの攻めを見せながら少しずつペースを掴むと、3分30秒、引き手が取れるや、間髪入れずに絶妙な大内刈で刈り倒して「技あり」を奪取。残り時間を、寝技で使いタイムアップ。決勝ラウンド進出を果たした。

準決勝。大きな難関・リパルテルアニ(ジョージア)。ワールドランキング1位で今大会の第一シード。2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)は90㎏級で銀メダル、その後、100㎏級に階級を上げ、2017年ブダペスト世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)、2018年バクー世界選手権で準優勝、2021年ブダペスト世界選手権では3位入賞と常に上位進出を果たしている強豪。2017年の世界選手権決勝ではウルフと対戦し、そのときはウルフが先に「指導」2つを取られながらゴールデンスコア(延長戦)に大内刈で「技あり」を奪って優勝を果たしている。

厳しい試合が予想されたこの試合、ウルフ左組み、リパルテルアニ右組みのケンカ四つで、釣り手は深いところを持ち合い、引き手を掴んだ瞬間に技を掛け合う緊迫した展開が続く。中盤を過ぎ、リパルテルアニが右小外掛に入り、そのまま胸を合わせたままでいると、ウルフはそのチャンスを逃さず背中越しに帯を掴んで大内刈一閃。これが「技あり」に(2分40秒)。残り1分、リパルテルアニの猛攻を「指導」ひとつで凌ぎ切り優勢勝ち。決勝進出を決めた。

ウルフアロン

決勝戦。対戦相手は2018年バクー世界選手権王者のチョ・グハン(韓国)。チョは準決勝で2019年東京、2021年ブダペスト世界選手権2連覇のフォンセカ(ポルトガル)との背負投対決を制して決勝に勝ち上がってきた。

ウルフは2019年東京世界選手権の準々決勝でチョに敗れており、大会前に「もっともやりにくい」と言っていた選手。しかし、だからこそ、しっかりと対策を積んできたウルフは、序盤からチョの必殺技、左一本背負投を完全に防御しつつ、小外刈、大内刈、内股、肩車と手数で圧倒。延長戦に入ってからはさらにその様相が顕著になり、「指導」の数こそ両者2つと並んでいたが、試合は終始、手数に勝るウルフペース。延長戦4分を過ぎた頃から極端にチョの運動量が減少し、そこからは完全に「ウルフタイム」。カウンターの一発狙いだけになったチョに対し、延長戦5分35秒、ウルフ渾身の大内刈が決まり「一本」。100㎏級では2000年シドニー五輪の井上康生(現監督)以来、21年ぶりの金メダル獲得となった。

ウルフは、この東京五輪(柔道)金メダルにより、全日本柔道選手権大会、世界選手権と合わせ、史上8人目の「柔道三冠」の偉業達成。「五輪で優勝(三冠を達成)し、歴史に名を刻みたい」と、大会前に話していたウルフ。度重なるケガで窮地に立たされながら、そこから復帰して栄冠を勝ち獲ったその精神力にはただただ頭が下がる。

「僕自身の持ち味は、泥臭い柔道なので、最後まで貫いて勝つことができて良かった。練習量では誰にも負けないという自信があったので、接戦になればなるほど、僕自身の持ち味が出てくると信じて、自分自身を信じて戦っただけです」と感涙とともに語った。

独占インタビュー
金メダリストウルフアロンに聞く

東京五輪(柔道)の金メダリストたちに柔道チャンネルが独占インタビュー!金メダルへの道のりや試合内容、現在の思いなどを語って頂きました。

男子100kg級では21年ぶりの栄冠 怪我を乗り越えて勝ち取った金メダル

東京五輪(柔道)優勝おめでとうございます。男子100kg級では、井上康生監督が2000年シドニー五輪で獲得して以来の金メダルとなりました。現在の気持ちを聞かせて下さい。

井上先生の優勝から21年ぶりということで、とても感慨深いです。また、自分の手で男子100kg級の優勝を取り戻すことができたことにも達成感を覚えています。

五輪本番を迎えるまでには、右膝の手術や開催延期など、様々な出来事がありました。東京五輪(柔道)に向けた1年間はどのように過ごしましたか。

大きな怪我もあったりして、パフォーマンスが上がらない時期もありましたが、五輪が1年延期されたことで準備のための時間が増え、自分自身を見つめ直すことができました。怪我の状態とも上手く向き合うことができ、有意義な1年を過ごすことができました。

優勝への流れを作った初戦の「勝ち方」

初戦はフラモフ選手(ウズベキスタン)に一本勝ち。準々決勝ではパルチック選手(イスラエル)から大内刈で技ありを奪って勝利しました。試合を振り返って頂けますか。

初戦は勝ち方がすごく重要だと思っていました。あの場面で浮技が出せたことで勢いが付きましたし、その後の戦いに向けても弾みになる試合になったと思います。準々決勝の対戦相手のパルチック選手は体がやわらかく、逆技も仕掛けてくる選手だったので、その部分をしっかりと警戒しながら戦いました。組手で相手に良いところを持たせず、最後は大内刈で投げることを想定していたので、思い通りの試合展開になりました。

準決勝は第1シードのリパルテリアニ選手(ジョージア)と対戦し、試合開始2分41秒に大内刈で技ありを奪って優勢勝ち。初戦から全試合、本戦で勝負を決めて決勝に進みました。

リパルテリアニ選手は世界ランキング1位で、地力のある選手だと分かっていたので、内股など相手の得意技を警戒しながら戦いました。また、リパルテリアニ選手は大内刈で負けることが多いので、試合中はずっとその隙をうかがっていました。試合中はゴールデンスコアに入っても良いと思っていましたが、結果として初戦からすべて本戦の中で決着を付けられたことは、スタミナという部分でプラスになったと思います。

チョ・グハン選手(韓国)との決勝戦は延長戦にもつれる熱戦となり、延長開始5分35秒に大内刈で一本を奪いました。優勝が決まった瞬間のガッツポーズが印象的でしたが、どのような気持ちでしたか。

チョ選手とは2019年世界柔道選手権大会の準々決勝で対戦して負けていました。その試合でポイントを獲られた「逆一本背負投」を警戒しながら試合を進め、相手のスタミナを削ることを意識して戦った結果、延長戦で一本勝ちすることができたと思います。優勝の瞬間は「五輪に向けてやってきたものを、しっかりと試合で出すことができ、結果につながって報われた」という気持ちでした。

「これからも柔道人生は続いていく」

井上康生監督からは、どのような言葉をかけられましたか。

「おめでとう」と言って頂きました。また、井上監督自身が同じ階級だったこともあって、「特に思い入れがある階級だった」という言葉もかけて頂きました。

最後にウルフ選手を支え、応援してくれた人たちへのメッセージをお願いします。

東京五輪(柔道)で優勝することができ、これまで自分を支えてくれた人、応援してくれた人に対して大きな恩返しをすることができたと思っています。ただ、ここで自分の柔道人生が終わるわけではないので、これからも温かく見守って頂ければと思います。

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柔道チャンネル「東京五輪(柔道)」について
東建コーポレーションが運営する柔道情報の専門サイト「柔道チャンネル」では、全日本柔道連盟オフィシャルパートナーとして、柔道にかかわる様々な情報を発信しています。2021年(令和3年)7月に開始した東京五輪2020は、連日のメダルラッシュで日本中を感動させました。柔道では計12個のメダルを獲得。なかでも金メダルは過去最多の9つとなっています。こちらでは、東京五輪2020における柔道金メダリスト「ウルフアロン」選手の試合をご紹介。熱い試合展開をご確認頂けます。
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