令和2年全日本柔道選手権大会 大会の見どころ

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令和2年全日本柔道選手権大会
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令和2年全日本柔道選手権大会をさらに楽しむ見どころポイント!「令和2年全日本柔道選手権大会」大会の見どころ

令和2年全日本柔道選手権大会について、見どころポイントをご紹介します。

※掲載内容は、2020年12月22日時点のものです。 ※直近3年間の大会成績をリンクしています。

例年、4月29日(みどりの日)に行なわれてきた柔道界最大のイベント、全日本柔道選手権大会(以下、全日本選手権)。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて延期を余儀なくされたが、年の瀬の迫った12月26日(土)、無観客試合ではあるが、ついに開催されることとなった。

4月に開催されていれば、出場することのなかった東京五輪(柔道)内定選手や代表候補の選手たちが推薦選手としてエントリーしたため、今大会の出場選手は実に50人、史上最多の出場者数。しかも、追加された選手が、様々な階級の世界のトップ選手ということで、大会のレベルは格段に上がり、見どころ倍増の大会となった。それでは、さっそくトーナメントを大きく4ブロックに分けて、各ブロックの見どころを紹介したい。

Aブロック

平成31年全日本柔道選手権大会
決勝戦
加藤博剛 vs ウルフアロン

このブロックは昨年の覇者であるウルフアロン了徳寺大学職員)が第一シードに据えられている他、藤原崇太郎日本体育大学4年)、長澤憲大パーク24)の推薦選手も配され、豪華な組み合わせとなっている。

その推薦選手の一人、2018年バクー世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)81kg級銀メダリストの藤原が第1試合にいきなり登場。125kgの田中大貴(日本製鉄)と対戦する。世界銀メダリストとは言え、無差別の全日本選手権は勝手が違う。果たして藤原がどのような試合を見せるのか。高校時代から団体戦のエースとして活躍してきた藤原の勝利と予想したい。

続く第2試合も、推薦選手の長澤が登場し、山本考一(オネスト)と対戦。バクー世界選手権90kg級銅メダリストの長澤も、学生時代から団体戦でも活躍しており大きい選手を苦にしない。長澤は30kg上回る山本をいかに攻略するのか。

さらに、第3試合で五十嵐遼介(新潟県警察)と対戦する小林悠輔(旭化成)も90kg級の選手ながら激戦の東京選手権大会で準優勝している実力者。この試合も非常に楽しみな一戦と言える。開始早々から全日本選手権ならではの、中量級VS重量級3連発!お茶の間が最初からヒートアップしそうなカードだ。

2回戦も面白い。Aブロック最初の試合は、ウルフ対藤原。昨年末にヒザの手術をし、久々の試合となるウルフにとっては厳しい相手と言える。ウルフにとって、藤原との第1試合は、優勝までの道筋を考える上でも大切な試合。気持ち良く勝ち上がることができるか注目の一戦だ。

続く長澤と石内裕貴(旭化成)の試合は予想が難しい。石内は昨年の全日本実業柔道個人選手権大会100kg級で優勝しており、社会人になって非常に成長している選手。長澤の試合運びの巧さが優るか、石内の攻めの柔道が優るか。試合が長引くと、長い試合でも気持ちが切れない長澤が優位となりそうだ。

続く試合は、重量級のホープ・中野寛太(天理大学2年)と小林。圧力と破壊力に優る中野が3度目の出場で念願の1勝目を挙げることができるか。

2回戦最後の試合は野々内悠真(京葉ガス)と横田雄斗(北海道警察)の勝者対熊代佑輔(綜合警備保障:ALSOK)の対戦。野々内、横田のどちらが上がってきたとしても、熊代の優位は変わらない。2019年に階級を上げ100kg超級で講道館杯全日本柔道体重別選手権大会(以下、講道館杯)を制した熊代は現在32歳ながら今なお進化中と言っても過言ではない。熊代勝ち上がりと予想する。

3回戦、さらに面白いカードが続く。まずは、ウルフVS長澤、東海大学の同門対決。地力に勝るウルフがここはしっかりと「一本」で決めて勝ち上がると思われる。続く試合は、中野と熊代。若い中野がベテラン熊代を脅かすことができるか。中野の奮闘に期待したいところだが、まだ熊代の実力がわずかながら上回っていそうだ。

そして4回戦。ウルフVS熊代。これも東海大学の同門対決で手の内は知り尽くした仲。昨年の全日本選手権王者のウルフと言えども、苦戦を余儀なくされるのは間違いない。左右の大外刈、袖釣込腰など、意表を突くタイミングと間合いで攻めてくる熊代をいかに制するかに注目したい。

Bブロック

平成31年全日本柔道選手権大会
3回戦
影浦心 vs 垣田恭兵

続くBブロックにも昨年3位の小川雄勢(パーク24)始め、推薦選手の影浦心(日本中央競馬会)と羽賀龍之介(旭化成)、さらに平成27年大会準優勝の七戸龍(九州電力)など有力選手がひしめく。

1回戦で注目したいのは、推薦選手の羽賀と黒岩貴信(日本製鉄)の対戦。193cm135kgの黒岩に対し、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)100kg級銅メダリスト・羽賀の、得意の内股が炸裂するか。

そして、七戸と佐藤正大(自衛隊体育学校)の試合も見逃せない。今大会が10回目の出場となる七戸は、全盛期に比べて体力こそ落ちたものの、全日本選手権の戦い方を熟知しているだけに、ここはしっかりと勝ち上がると思われる。

2回戦注目の試合ひとつ目は、今年の東京選手権を制した小川(雄)と後藤龍真(東海大学4年)の対戦。体格に優る小川が圧力をかけ、後藤の体力を削って勝利を確実にすると思われる。

二つ目は西山大希(日本製鉄)対、西本幸弥(福岡県警察)と高木育純(香川県警察)の勝者だが、どちらが上がってきたとしても、組み力が強く、技の威力もある西山が優位か。

そして、推薦選手の影浦の初戦にも注目したい。対戦相手は、制野孝二郎(皇宮警察本部)対福本翼(広島県警察)の勝者だが、どちらも今の影浦を脅かす存在にはなり難い。

そして、2回戦最後となる羽賀と七戸の戦いは序盤の目玉とも言うべき一戦。正統派2人の戦いは予想し難いが、昨年の講道館杯、柔道グランドスラム大阪2019と連勝し、最後まで東京五輪(柔道)の代表争いに絡み続けた羽賀に分がありそうだ。

3回戦。最初の試合は小川と西山。スタミナに優る小川が優位と思われるが西山にもチャンスは十分にある。続く試合は影浦と羽賀、これも東海大学の同門対決ながら非常に興味深い一戦。内股の羽賀、担ぎ技の影浦。これも勝敗の予想は難しいが、今年2月に、五輪連覇、世界選手権8度優勝の「絶対王者」リネール(フランス)を破り、世界に実力を見せ付けた影浦の勝利としたい。

4回戦。小川と影浦の対戦。11月の講道館杯全日本柔道体重別選手権大会兼全日本選抜柔道体重別選手権大会(以下、講道館杯兼選抜)では影浦が背負投「技あり」で勝利している。まだ実力差はないと思われるが、影浦が自信を付けたことは確か。この試合で影浦が連勝すると、両者の力関係は大きく傾いていきそうだ。

Cブロック

平成31年全日本柔道選手権大会
2回戦
王子谷剛志 vs 中野寛太

続いてCブロック。昨年の全日本選手権準優勝、平成24年の王者でもある35歳の「鉄人」加藤博剛千葉県警察)が第2シードに配されている他、平成26、28、29年全日本選手権王者の王子谷剛志(旭化成)、さらに推薦選手の海老沼匡(パーク24)もおり、このブロックも見逃せない戦いの連続だ。

1回戦注目の試合は鈴木直登(東海大学1年)と海老沼。30歳、73kg級の海老沼に対し19歳、100kg級の鈴木。若さと体格で優る鈴木か、軽量ながら世界の第一線で戦う海老沼か。ここはやはりワールドクラスの実力者・海老沼の勝利と予想したい。

2回戦最初の試合は、今大会の見どころのひとつ、加藤と海老沼の一戦。重量級相手に圧倒的な強さを誇る90kg級の加藤だが、自分より小さくて素早い動きをする海老沼は実は苦手なタイプ。とは言え、加藤の巴投、そこからの寝技に海老沼が対応し切れるのか。名勝負製造機と言われる海老沼。全日本選手権でもぜひ魅せる試合で沸かせてほしい。ただ、現実的な勝敗予想となると加藤優位と見ざるを得ない。

続くシードの垣田恭兵(旭化成)対、佐々木健志(綜合警備保障:ALSOK)と古田伸悟(日本製鉄)の勝者との対戦も面白い。平成25年に3位入賞を果たしている垣田だが、32歳の今もその実力は衰えていない。佐々木、古田のどちらが上がってきても、百戦錬磨の垣田勝利の可能性が高そうだ。

続く佐藤和哉(日本製鉄)と、澤建志郎(石川県警察)対杢康次郎(神奈川県警察)の勝者の対戦は、順当であれば佐藤の勝利、そして王子谷に関しても、石原隆佑(トーエー企業)と大町隆雄(山口県警察)のどちらが来たとしても、不覚を取ることは考えづらい。

3回戦最初の試合は加藤VS垣田が濃厚と思われるが、中量級選手で会場を沸かせる両選手がここで対戦してしまうのは残念。これまでの実績から考えると加藤優位となるが、コロナ禍での練習量と年齢を考えると、逆に垣田が優位とも考えられる。難しい予想だが、ここは垣田の勝ち上がりを支持したい。

続く対戦は佐藤対王子谷の本格派重量級対決だ。11月の講道館杯兼選抜では佐藤が「指導3」の反則で勝っているが、今の実力はほぼ互角。果たして、全日本選手権の勝ち方を知る王子谷が勝利をつかみ取るのか。王子谷にとって正念場の一戦となりそうだ。

4回戦は垣田対王子谷の旭化成同門対決と予想。コロナ禍で練習をともにすることも多かった2人にとっては、なかなかやりづらい対戦になると思われる。豊富な技術を持つ垣田か、全日本選手権で圧倒的な力を見せる王子谷か。予想は難しいが、王子谷の勝ち上がりを推したい。

Dブロック

平成31年全日本柔道選手権大会
3回戦
飯田健太郎 vs 太田彪雅

いよいよ最後、Dブロック。ここには、昨年3位の太田彪雅(旭化成)の他、推薦選手として飯田健太郎(国士舘大学4年)、東京五輪(柔道)内定選手の向翔一郎(綜合警備保障:ALSOK)、そして60kg級で最後まで東京五輪(柔道)代表を争った永山竜樹(了德寺大学職員)が配されており、様々な見どころのあるブロックとなっている。

1回戦注目のカードとしては、まず、永山と河坂有希(愛媛県警察)の対戦が挙げられる。156cm65kgの永山に対し、河坂は171cm93kg。果たして最軽量級の永山はどのような戦いを見せるのか、「柔よく剛を制す」柔道に期待し、永山の勝ち上がりを予想したい。

2回戦は注目カードが目白押し。まず、太田と小川竜昂(日本製鉄)の対戦は、大舞台での経験が多く、柔道の巧い太田がやや優位か。次に登場するのが向。今大会の目玉と言っても良い存在だ。90kg級の向にとって、下和田翔平(京葉ガス)にしても近藤弘孝(愛知県警察)にしても階級上の選手ではあるが、ここは東京五輪(柔道)代表の実力を見せて一本勝ちで勝ち上がってほしいところだ。

続く試合は、飯田と永山。188cm100kgの飯田と永山は身長差32cm、体重差35kg。リーチが長く、懐の深い飯田に対して、永山はどのような技で挑んでいくのか。飯田は、小さい永山をどのように仕留めるのか。興味深い試合になりそうだ。

3回戦最初の試合は太田と向。向にとって太田はかなり大きい壁ではあるが、この試合に勝って波に乗ると、今大会の「台風の目」になる可能性もある。柔道が巧く、オーソドックスな柔道をする太田に対し、意表を突いたり、予想外の技や動きをしたりする向だけに、万が一は十分にあり得る。向に期待しつつも、予想としては太田とするのが順当と言えそうだ。

次は、飯田と松村颯祐(東海大学3年)の対戦が濃厚。体重差は50kgあるものの、講道館杯兼選抜でも優勝し、試合内容も良かった飯田が、リーチを活かした戦い方で勝利をものにする可能性が高いと見る。

4回戦。太田と飯田の対戦。昨年は3回戦で当たり、太田が大内返で一本勝ちしている。過去の対戦成績は、太田の1勝1分だが、実力的に大きな差はない。このところ安定感に欠ける太田が、飯田に勝って復調の兆しを見せるのか、それとも、好調・飯田が昨年のリベンジを果たし、準決勝に進むのか。最近の戦いぶりを見るとやや飯田に分がありそうだ。いずれにしても、両者にとって大切な一戦となる。

上記の勝ち上がり予想の結果、ウルフアロンと影浦心、王子谷剛志と飯田健太郎が準決勝で相まみえることとなり、11月の講道館杯兼選抜の100kg超級を制した影浦がウルフを破り、そして同大会の100kg級で優勝した飯田が王子谷を下して決勝に進むと予想するが、正直言って、非常に難しい予想であり、両者が決勝に上がるという確信はない。そして、さらに難しいのが決勝戦、影浦対飯田の勝敗予想である。

どちらが勝っても初優勝。新しい時代の幕開けとなる。今年の2月、「絶対王者」と呼ばれるリネールを破り、その名を世界に知らしめた影浦に栄冠は輝くのか――。

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柔道チャンネル「令和2年全日本柔道選手権大会」について
男子柔道無差別級のチャンピオンを決める「全日本柔道選手権大会」。公益財団法人講道館と公益財団法人全日本柔道連盟の共催で開かれています。2020年度は12月26日(土)に東京都の講道館大道場において、前年度大会の優勝者と準優勝者などから選出される「推薦選手」と、全国各地区から選出される「地区選出選手」による熱戦が繰り広げられます。柔道チャンネルでは、試合結果など、令和2年全日本柔道選手権大会に関する情報を随時発信して参ります。柔道チャンネルは、令和2年全日本柔道選手権大会に出場される選手の方々を応援しています!
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