著名な柔道家インタビュー

  

小橋秀規2/2

全日本のコーチも務めるALSOK柔道部の小橋秀規監督に、日々の稽古に取り組む姿勢や、「世界」を目標に選手を育てるための指導法などについてお話を伺いました。

理想の指導者像

理想の指導者像

監督として私自身が理想としているのは、個々の選手に合ったスタイルを的確に見極め、それをシンプルに伝えられる指導者。そして、強くなるためのポイントを分かりやすく伝えられる指導者です。実業団には軽量級から重量級まで、様々なタイプの選手がいます。それぞれの選手にはどんなスタイルが合うのか、どういう技をプラスしていけば勝てるようになるのかを常に考えています。

当然ですが、実業団に集まっている選手の多くは実力を持った選手たちです。ただ、だからといって見守るだけではなく、実業団の監督だからこそより細やかに観察し、気付いたことを分かりやすく指導することで、世界の舞台で戦える強い選手を育てて行きたいと私は思っています。

現在、活躍されている指導者にも様々なタイプの方がいます。どういう言葉で、どのタイミングで、どういう方法で説明をすれば選手に伝わりやすいかなど、私自身も貪欲に話を聞く姿勢を心掛けています。自分に分からないことを聞くことは、恥ずかしいことではありません。自分自身が謙虚に学ぶことで、より良い指導法を見付けて、選手たちに還元していきたいですね。

また、生田秀和コーチ(以下、生田コーチ)と塚田真希コーチの存在も、大きな支えになっています。現役時代に実績を残せなかった自分にとって、オリンピックの畳を踏んだ経験、日本一になった経験を選手に伝えてもらうなど、両コーチには私に足りない部分をしっかりと補ってもらっています。

代表での経験を所属チームに還元したい

代表での経験を所属チームに還元したい

全日本柔道連盟強化委員長の斉藤仁先生からお話を頂き、全日本チームの強化にもコーチとして携わらせて頂いていますが、勉強になることばかりですね。

これまでは所属チームの監督として観客席から応援していましたが、今年のリオデジャネイロ世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)では、控え室でのウォーミングアップから選手を見守ることができました。まだまだ戦力にはなりきれていませんが、全日本で指導されている先生方の考え方や指導論を吸収し、幅広い視野で柔道について勉強したいと思います。

また、現在のALSOKの選手たちの多くは強化指定選手ですから、所属と日本代表での指導に関する大きな違いは感じませんが、日本代表での経験を所属に持ち帰り、常に世界を意識させて、対外国人という部分でも、常に高い意識を持たせて指導に当たりたいと思っています。

選手と喜びを共有できることが、指導者のやりがい

選手と喜びを共有できることが、指導者のやりがい

現役時代を振り返ると、今も強く心に残っている試合が2つあります。ひとつ目は、金野潤先生(以下、金野先生)と東日本実業柔道団体対抗大会の決勝で対戦させて頂いたことです。憧れの方と畳の上で向かい合って、全力で胸を借りられたのは本当に嬉しかったですね。結果は引き分けだったのですが、金野先生は優しい方なので、きっと力を加減して下さったのだと思います(笑)。

2つ目は、井上康生監督(以下、井上監督)や生田コーチが入社した年に全日本実業柔道団体対抗大会(以下、実業柔道団体)で初優勝したこと。この2つはとても印象に残っていますし、ALSOKに入社して良かったと思った試合でした。もちろん、指導者として初めて実業柔道団体に勝ったときもそうだったのですが、やはり皆で喜びを共有できることがスポーツの良いところですよね。

指導者としても、やはり選手たちと一緒に日々の稽古に取り組み、試合に勝って泣き、負けて泣いてという経験を共有できることは大きなやりがいです。選手たちにとって実業団の時代は、小さな頃から明け暮れてきた柔道人生の集大成の時期だと思います。その時期を共有できることが私にとっては何よりのやりがいであり、同時に本当にありがたいと感謝しています。

私自身は決して強い選手ではありませんでしたが、井上監督や生田コーチと一緒に実業柔道団体で優勝させてもらいましたし、監督として指導をした選手たちにオリンピックや世界選手権に連れて行ってもらいました。自分の知らない世界に連れて行ってくれる選手たちには心から感謝していますし、そんな選手たちの「力になりたい」という思いで監督をさせて頂いています。

陰ひなたなく努力できる選手を育てたい

陰ひなたなく努力できる選手を育てたい

ALSOK柔道部の選手たちは、それぞれが世界を目指し、意識を高く持って稽古に取り組んでいます。実業団の選手の中には、素晴らしい才能を持ちながら、自分自身に厳しくすることが出来ず、伸び悩んでしまう者も少なくありません。

先日の出稽古のときに福岡政章は、誰よりも先に道場に来て黙々とロープを登り、練習後は一番遅くまで残って、ストレッチをしていました。彼はロンドンオリンピックの代表になれず悔しい思いをしました。挫折を乗り越え、今年29歳でリオデジャネイロ世界選手権の3位になれたのは、決して諦めない気持ちを持って、信念をぶらさず、努力を重ねた結果だと思います。彼はALSOK柔道部の最年長選手なので、そういう姿を見ている後輩たちも、自然に「自分も頑張ろう」という気持ちになりますし、柔道部全体に高い目的意識を持って、前に進む雰囲気が生まれているのだと思います。

監督として選手をスカウトする際に重視するのは、正にその部分です。皆と同じ畳の上で行なう練習以外に、例えばウエイトをしてから練習に参加したり、居残りで技術の研究をしていたり、自分に甘えることなく、どれだけ努力できるのかという点です。やらされて強くなった選手と、自分で努力できる選手では、実業団に入って大きく差が出てきます。自分ひとりのトレーニングはきついものですが、それに負けることなく、高い目的意識を持って柔道に取り組める選手、福岡のように陰ひなたなく努力できる選手を、これからも育てていきたいと思います。

世界王者を輩出して「強いALSOK」をアピール

世界王者を輩出して「強いALSOK」をアピール

今年のリオデジャネイロ世界選手権では、ALSOK柔道部から4人の代表を輩出しましたが、残念ながら誰も金メダルには届きませんでした。また、今回出場できなかった選手たちは、本当に悔しい思いをしたはずです。それぞれの悔しさをバネに、全員が一段階上を目指して努力し、来年はぜひALSOK柔道部から世界チャンピオンを輩出したいと思います。それが監督として私に求められていることでもあるので、歴代の先輩方が築き上げてくれた「ALSOKは強いんだ」というイメージを、しっかりと継承していきたいと思います。

もちろん選手全員に頑張ってほしいのですが、男子60kg級の山本浩史には特に期待しています。彼は入社1年目のロンドンオリンピックで補欠、入社2年目のリオデジャネイロ世界選手権も補欠と、一番悔しい思いをしているはずです。本当に素直で真面目な選手なので、なんとか殻を破って、ライバル選手の壁を乗り越えてほしいと思っています。

柔道少年・少女へのメッセージ

柔道少年・柔道少女へのメッセージ

地元の青森で柔道を始めた私は、中学から大学までを国士舘で過ごし、柔道のお陰で現在はALSOKという素晴らしい企業にお世話になっています。挨拶や礼儀、支えてくれる方への感謝の気持ちやチームメイトとの人間関係、人生のすべてが柔道を通して学ばせて頂いたと言っても過言ではありません。

2020年には東京でオリンピックが開催されることになり、柔道少年・少女たちにとって大きな目標もできました。現在、柔道界は厳しい状況にありますが、皆が力を合わせて、より良い柔道界を目指して取り組んでいます。

きっと子供たちが成長する頃には、胸を張って「柔道をやっています」と言える環境になっているはずです。現時点では、すべての柔道少年・少女に日本を代表して戦う可能性がありますから、1日1日を大切にし、目標を高く持って努力を続けて下さい。そして、日の丸を胸に付けて世界チャンピオンになって下さい。

インタビュー:2013年11月

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