著名な柔道家インタビュー

  

賀持道明2/2

男子ジュニア強化担当ヘッドコーチも務める日本中央競馬会柔道部の賀持道明監督に、柔道を通した人間形成や、社会人として柔道に取り組む姿勢などについて話を伺いました。

指導者として影響を受けた2人の恩師

指導者として影響を受けた2人の恩師

私には、選手として、また指導者として、大きな影響を受けた先生が2人います。まずは、私が柔道を始めた大宮工業高校の佐藤先生です。国士舘大学出身の佐藤先生には、柔道の基礎はもちろん、挨拶や人間性の大切さを教わり、試合に臨む態度や執念など精神面を鍛えて頂き、現在の私の指導の原点になっています。

そして、日本大学で指導を受けた高木長之助先生(現・日本大学柔道部総監督 以下、高木先生)との出会いも、自分の柔道観を大きく変えてくれました。高木先生は今から25年程前に、当時はまだ柔道界で一般的ではなかったサーキットトレーニングや400mダッシュといった科学的なトレーニングを実践していました。高校時代にはウエイトトレーニングさえ経験がなかった私ですが、高木先生の指導のお陰で一気に体格や筋力が変わったことの驚きと喜びを、今もよく覚えています。

数年前から日本中央競馬会柔道部でもサーキットトレーニングを導入し、食事内容にも考慮した練習メニューを組んでいます。100kg超級の石井竜太は、サーキットトレーニングを始めて1年間で約20kgも体重が増え、力負けすることがなくなり、講道館杯全日本柔道体重別選手権大会で優勝しました。佐藤先生と高木先生、2人の恩師には本当に感謝しています。

自分のように、選手生活に悔いを残すな

自分のように、選手生活に悔いを残すな

指導者として強く意識しているのは、常に全力で取り組み、万全の準備で試合に臨むことの大切さです。これは私の現役時代の経験がもとになっています。選手生活で最も印象に残っているのは、バルセロナオリンピックの前年、1991年のバルセロナ世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)に出場して二回戦で負けたこと。

今振り返ると、「もっと準備をしっかりとして臨んでいれば」、「やり残したことがたくさんあったなぁ」と後悔しています。もう一度機会があれば、次こそは準備をしっかりしようと思っていましたが、結局、世界大会に出場することができたのはその一度だけでした。正直、もう一度世界選手権に出場したかったですし、オリンピックにも出たかった。悔しさは今も消えません。

だからこそ、選手たちには、しっかりと目標を持って1日1日を真剣に過ごしてほしいと、口を酸っぱくして伝えています。現役時代は本当に短いんだぞ、チャンスは何度も来てくれないんだぞと。柔道をさせてもらえることに対する謙虚さを持って取り組むという私の指導の理念も、そうした経験が大きくかかわっているのだと思います。

もちろん、指導者として私自身も学び続け、選手を良い方向へ導けるように努力をしていくつもりです。選手も指導者も、向上心を無くしたときが引退のとき。現在はJOC(日本オリンピック委員会)主催のナショナルコーチアカデミーを受講していますが、他の競技の指導者の話も参考にしながら、今後の指導に活かしていきたいと思っています。

成長に出会う瞬間が、指導者のやりがい

成長に出会う瞬間が、指導者のやりがい

指導者の喜びというのは、チームやひとり一人の選手の成長を感じた瞬間に味わうことができるのだと思います。私が日本中央競馬会柔道部の監督になったとき、部員はたった3名。その年の全日本実業柔道団体対抗大会(以下、実業柔道団体)には、私とコーチが選手としてエントリーして出場しました。

それから2年後、ようやく5名の選手が揃い、監督として初めて実業柔道団体で優勝することができました。大会前には頻繁に選手たちを自宅に呼んで、食事をしながら皆の意識をひとつにして、「必ずこの5人で日本一になろう」という決意で福岡に乗り込みましたね。補欠もいない5名だけの部員で優勝したのは、他に例がないことだと思いますし、あの優勝は監督になって一番の思い出です。

また、2011年の世界ジュニア柔道選手権大会では、試合を終えた選手が自主的に会場のゴミ拾いをしている姿を見て、とても誇らしく、嬉しい気持ちになりました。その選手はちょっとやんちゃな子で、試合にも負けてしまっていたのですが、誰に指示されたわけでもなく率先して行動をしていたんです。こうした成長を間近に感じられるのは指導者の醍醐味だと思います。日本中央競馬会柔道部の選手たちも、ある選手が体調不良で朝の練習を休んだら、食べものを届けてあげたり、私の具合が悪いときには薬を持って来てくれたり、互いに支え合い、気遣いができる選手ばかりです。そういう気持ちは、きっと柔道にも繋がっていくと思います。

部員5名が世界王者を目指す2014年

部員5名が世界王者を目指す2014年

日本中央競馬会柔道部は、チームとしての目標と個人の目標をしっかり持ちながら、高い意識で切磋琢磨していることが強みです。部員たちはひとり一人が世界選手権やオリンピックを目指す強化選手で、「戦う集団」として、また、社会人としての責任を自覚して主体的に稽古に取り組み、チームの最大の目標である実業柔道団体の優勝を目指しています。

また、部員数が5名と少数精鋭で、ひとり一人に中身の濃い指導を行なえることも、他のチームにはない強みだと思います。2014年はチェリャビンスク世界選手権もあり、5名全員が出場する可能性を持っていますので、ぜひとも「仕事をしながら柔道の世界チャンピオンになる」という目標を達成してほしいと思います。

個人的に注目しているのは81kg級の長島啓太。今年のリオデジャネイロ世界選手権では、初めての世界大会で緊張してしまい、本来の力が出せず個人戦では初戦で負けてしまったのですが、私自身の世界選手権での体験と重なりました。

帰国してすぐに練習をしていましたし、本当に悔しい思いをしたのだと思います。ただ、個人戦で負けた直後の団体戦では抜群の内容で全勝していますし、「もう一度チャンスがあれば」という気持ちが彼の中にもあると思うので、準備を整えて、ぜひ2014年のチェリャビンスク世界選手権で花を咲かせてほしいですね。

柔道少年・少女へのメッセージ

柔道少年・少女へのメッセージ

現役選手として、また指導者として長く柔道に携わってきましたが、やはり柔道は人間的にも成長することができ、将来に繋がる素晴らしい競技だと感じています。礼儀であったり、身体を鍛えることだったり、競技そのものの魅力だけではなく、人生に通じる様々なことを柔道は教えてくれます。

そして、稽古を通して色々な人と出会い、人間関係を築くことができるのも柔道の魅力です。なにも選手として結果を残すことだけが柔道をする目的ではありません。私自身が、人としての基礎を養ってもらい、交流の輪を広げてもらったことに心から感謝していますので、ぜひたくさんの子供たちに興味を持ってもらい、競技に取り組んで頂ければと思います。

インタビュー:2013年11月

このページのTOPへ

  • 全日本柔道連盟

  • 弊社は、財団法人全日本柔道連盟(全柔連)のオフィシャルパートナーです

  • 公益財団法人 講道館

  • 東建は、日本伝講道館柔道を通じた青少年育成事業を応援します

  • 柔道ブログ

  • 柔道整復師ブログ

  • 接骨院・整骨院ブログ

柔道整復師情報
柔道整復師情報を詳しく見る
  • 柔道整復師専門学校検索

全国接骨院情報
全国接骨院情報を詳しく見る
  • 全国の接骨院・整骨院検索

  • スマートフォン版
    「柔道チャンネル」へのアクセスはこちら

    スマートフォン版柔道チャンネル

柔道チャンネルでは、柔道部・日本柔道・国際柔道・世界柔道・柔道整復師・柔道整復師専門学校・接骨院の関連情報がご覧頂けます。また、柔道大会情報や柔道家・選手紹介、柔道組織情報、柔道お役立ち情報など柔道に関する情報が満載です。

注目ワード