芳田司 強さの秘密

2018年のバクー世界柔道選手権大会や柔道ワールドマスターズ・広州での優勝、そして2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフを制するなど、非常に勢いのある芳田司。
世界大会では常に好成績を残しており、海外選手と戦い慣れている選手の一人だ。同じ階級であった松本薫氏を常に目標とし、一発で試合を決めるほど、切れ味の鋭い内股を駆使して東京五輪(柔道)出場を目指す。

※2019年9月2日現在

芳田 よしだ  司  つかさ

芳田司
生年月日
1995年10月5日
所 属
コマツ
出身道場
円心道場・相武館吉田道場
出身校
敬愛高校
2017年
  • 柔道グランドスラム・パリ 57kg級 3位
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 57kg級 3位
  • アジア柔道選手権大会 57kg級 優勝
  • ブダペスト世界柔道選手権大会 57kg級 2位
  • 柔道グランドスラム東京 57kg級 優勝
  • 柔道ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 57kg級 2位
2018年
  • 柔道グランドスラム・パリ 57kg級 2位
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 57kg級 3位
  • バクー世界柔道選手権大会 57kg級 優勝
  • 柔道ワールドマスターズ・広州 57kg級 優勝
2019年
  • 柔道グランドスラム・デュッセルドルフ 57kg級 優勝
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 57kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム・バクー 57kg級 2位
  • 東京世界柔道選手権大会 57kg級 2位

芳田司 とは

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柔道グランドスラム東京2017 表彰式

かつて女子柔道57kg級の芳田司の前には高い壁があった。その壁とは、五輪(柔道)・世界選手権の女王であり、あまりの強さに「野獣」と呼ばれた松本薫氏のことである。松本氏が選手として圧倒的な強さを誇っていたために、芳田は日本代表になかなか手が届かなかった。

例えば、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)のときである。芳田は代表選手の最終選考をかねた2016年の全日本選抜柔道体重別選手権大会で優勝を果たすものの、同大会3位の松本氏が代表に選ばれた。松本氏の2015年アスタナ世界柔道選手権大会で優勝した実績が評価されたのだ。

しかし、2019年2月に松本氏が引退を発表。経験豊富なトップ選手が第一線を退いて、女子57kg級は若手選手へと世代交代が進んだ。東京五輪(柔道)の代表候補と見られているのが、芳田(1995年生まれ)、玉置桃(三井住友海上:1994年生まれ)、舟久保遥香(三井住友海上:1998年生まれ)、富沢佳奈(東海大学2年:1999年生まれ)の若手4人。この中で、頭ひとつ抜けているのが芳田である。

平成31年全日本選抜柔道体重別選手権大会

芳田の評価が高いのは、国際試合に強いからだ。2017年の柔道グランドスラム東京、2018年のバクー世界柔道選手権大会柔道ワールドマスターズ・広州、2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフを制している。特に2018年のバクー世界柔道選手権大会での優勝は、「芳田は大事なところで勝つ」というイメージを柔道ファンや関係者に与えた。

それに対して、芳田のライバルである3選手はまだ発展途上で、国際大会で安定した成績を残すまでには至ってない。

国際大会には強い芳田だが、国内大会で強さを発揮できない傾向があった。しかし、2019世界柔道選手権東京大会の代表選手の選考をかねる2019年の全日本選抜柔道体重別選手権大会では、芳田は柴田理帆(JR東日本)、富沢に攻め続けて勝利。決勝では玉置を合わせ技「一本」で下す。

大会後、芳田は「苦手意識のある日本人選手に勝ったので嬉しい。これからは東京五輪(柔道)に向けて全部勝っていきたい」と抱負を語った。2019世界柔道選手権東京大会の代表選手は、文句なしで芳田に決まったのである。

柔道グランドスラム東京2017

芳田の得意技と言えば、左組みからの内股だ。切れ味抜群で、一発で試合を決める破壊力を持っている。

その内股に関して「私は背が低い(156cm)ので、内股は腰に乗せて投げる感じを意識している」と、芳田は話す。つまり、膝上から太ももあたりで跳ねるのではなく、深く入り、相手選手を持ち上げる形ということだろう。

芳田は内股が体に染み付いていると言う。小さい頃から数え切れないくらいに、内股の練習をしてきたのである。

中学時代、芳田が最も集中的に練習した技は、帯取り返し。何百本、何千本と帯取り返しを行なった。芳田が柔道を始めたのは小学生のときだ。母にすすめられて地元である京都の円心道場へと入門した。この道場で練習をしたあと、芳田は3〜4キロ走ることを日課にする。

とにかく、トレーニングでは走ることを重視したのだ。その甲斐もあり、京都市のちびっ子マラソン大会で優勝も果たす。小さな頃から走りこんで足腰を鍛えたことが、のちに内股で相手を投げるための脚力につながったと考えられる。

平成31年全日本選抜柔道体重別選手権大会

神奈川県相原中学校に進学した芳田は、相武館吉田道場で寮生活を始めた。学校と道場で練習と試合をどんどんとこなしたことにより、柔道の実力は飛躍的に伸びていく。中学2年になると、全国大会で次々と優勝していった。

中学を卒業したあと、芳田は柔道の名門である福岡県敬愛高校に進学。高校時代は、全国大会で出口クリスタ(父親がカナダ人の柔道選手)と鎬を削った。勝ったり負けたりを繰り返して、切磋琢磨する良いライバル関係となったのだ。2013年の全日本ジュニア柔道体重別選手権大会の決勝では、芳田は出口クリスタに大内刈を決められて敗北した。

そして、2014年からはコマツの柔道部に入る。芳田は当初、社会人柔道のレベルの高さにとまどってしまう。それでも、当時の監督だった松岡義之氏に「自分の思っていることと違うことを、だまされたと思ってとりあえず試してみろ」と指導されたことにより、初歩的なことからやり直したと言う。

そうしたことにより、新しい環境にも適応して、2014年11月の講道館杯全日本柔道体重別選手権大会で優勝を飾る。それから芳田は、57kg級の第一線で戦う選手となったのだ。

平成31年全日本選抜柔道体重別選手権大会

2019世界柔道選手権東京大会は芳田にとって、世界選手権連覇と東京五輪(柔道)の代表がかかった、柔道人生を左右する大会となる。

ライバルとなるのは、テルマ・モンテイロ(ポルトガル)、クォン・ユジョン(韓国)、出口クリスタ(カナダ)、ネコダ・スミス=デイビス(イギリス)、連珍羚(台湾)、ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)、ラファエラ・シルバ(ブラジル)、エレーヌ・ルスボー(フランス)などである。

とりわけ警戒が必要なのは、クォン・ユジョン、ラファエラ・シルバ、ドルジスレン・スミヤ、出口クリスタの4名。クォン・ユジョンは2017年の柔道グランドスラム・パリで芳田を破っている。

ラファエラ・シルバ は、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)の金メダリスト。腕挫十字固と内股を得意としている。

ドルジスレン・スミヤは2017年のブダペスト世界柔道選手権大会で芳田を決勝で破り、優勝。パワーを活かした担ぎ技に注意しなければならない。

そして、出口クリスタは前述したように高校時代からの芳田のライバルである。芳田の柔道を知り尽くしているので、組み手の際、芳田に良いところを掴ませない巧さを持っている。

このように強豪ぞろいだが、国際大会に強く海外選手とは戦い慣れている芳田なら、十分に勝機はあるだろう。

かつて松本氏を追いかけていた芳田だが、今は追いかけられる立場となった。それでも、芳田は今も松本氏を目標としていると言う。「技術面でもメンタル面でも松本さんはすごかった。引退する前に、もう一度だけ試合をさせてもらいたかった」と語っている。

松本氏は、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)で銅メダルを獲得した。東京五輪(柔道)で芳田が銅メダル以上を獲ることができれば、松本氏を超えたことになるのかもしれない。まずは東京五輪(柔道)への切符を手に入れるべく、2019世界柔道選手権東京大会は勝つしかないだろう。

※ 掲載内容は、2019年6月30日までの実績とインタビューからの情報になります。

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海外選手と戦い慣れており、得意技の内股は一発で試合を決めてしまうほど強力です。常に目標として掲げるリオデジャネイロ五輪(柔道)の銅メダリスト松本薫氏を超えるべく、2019世界柔道選手権東京大会にて優勝を勝ち取り、2020年の東京五輪(柔道)出場を目指します。

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