ウルフアロン 強さの秘密

2019年に全日本柔道選手権大会で初優勝を果たし、好調の波に乗っているウルフアロン。全日本柔道選手権大会、世界柔道選手権大会、五輪(柔道)のすべてを制覇して「三冠王」になるという、スケールの大きな夢をこれまで追ってきた。全日本柔道選手権大会と世界柔道選手権大会(2017年のブダペスト世界柔道選手権大会)は獲ったので、残るはあと五輪(柔道)のみ。東京で行なわれる五輪(柔道)で、ウルフが三冠王に輝く瞬間を見届けたい。

※2019年8月6日現在

ウルフ アロン

ウルフアロン
生年月日
1996年2月25日
所 属
了徳寺大学職員
出身道場
春日柔道クラブ
出身大学
東海大学
2017年
  • 柔道グランプリ・デュッセルドルフ 100kg級 2位
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 100kg級 優勝
  • 全日本柔道選手権大会 2位
  • ブダペスト世界柔道選手権大会 100kg級 優勝
2018年
  • 柔道グランプリ・ブダペスト 100kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム大阪 100kg級 優勝
2019年
  • 柔道グランドスラム・パリ 100kg級 2位
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 100kg級 2位
  • 全日本柔道選手権大会 優勝

ウルフアロン とは

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平成31年全日本柔道選手権大会 表彰式

ウルフアロンにとっての2019年世界柔道選手権東京大会はリベンジ戦になる。ウルフは2017年のブダペスト世界柔道選手権大会でチャンピオンになり、一躍100kg級の第一人者となった。

ところが2018年のバクー世界柔道選手権大会では5位。キリル・デニソフ(ロシア)などのトップ選手には勝ったものの、ニヤス・イリアソフ(ロシア)に小外掛けで一本負け。敗者復活戦でもルハグバスレン・オトゴンバータル(モンゴル)に隅落で敗れてしまった。

ウルフがバクー世界柔道選手権大会の代表に選抜されたのは、率直に言えば消去法で残ったからである。ウルフは、バクー世界柔道選手権大会の最終選考会だった2018年4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会はケガのために欠場。優勝は西山大希日本製鉄)だったが、西山には国際大会での実績がなく、期待された飯田健太郎(国士舘大学2年)も初戦敗退したため、強化委員会の選考から漏れる。そこで、足の負傷で休んでいたウルフが選ばれたのだ。

バクー世界柔道選手権大会で5位に終わったあと、ウルフは「自分でつかんだ切符じゃなかったので、なんとしても優勝しなければならない立場だった。こんなことになって申し訳ない」と唇をかんだが、その悔しさを晴らす舞台が、2019年世界柔道選手権東京大会というわけだ。

平成31年全日本柔道選手権大会

だが、ウルフは今回も選考会で勝利した代表枠ではない。2019年4月に開催された全日本選抜柔道体重別選手権大会の決勝で、2015年アスタナ世界柔道選手権大会の金メダリストである羽賀龍之介旭化成)に敗退。無念の2位に終わる。

しかし、羽賀はここ1〜2年の国際大会での実績がなかった。一方のウルフは、2018年の柔道グランプリ・ブダペスト優勝、同年の柔道グランドスラム大阪優勝、2019年の柔道グランドスラム・パリ2位という実績を持っていたので、2回目の代表に選ばれたのだ。

ウルフにとっては、自らの東京五輪(柔道)出場を実現させるために、2019年世界柔道選手権東京大会での優勝は逃すことができない。

ウルフは2018年1月にかねてから痛めていた左膝を手術している。そして復帰すると、11月の柔道グランドスラム大阪で優勝を果たす。勢いを得て2019年の全日本柔道選手権大会でも見事初優勝、無差別の日本一に輝いた。ケガの後遺症がなくなり、今がウルフの柔道人生の中では最強の時期と言っても良いかもしれない。

平成31年全日本柔道選手権大会

全日本強化委員長の金野潤氏は、ウルフの強さの秘密は「パワーと繊細さ」にあると分析する。また、東海大学男子柔道部の上水研一朗監督は、「精神的にも体力的にもタフ。ウルフの馬力を3分間受けると相手は消耗して体力をすり減らす。そこからウルフは勝負できる」と語った。

具体的にウルフの強さについて解説すると、左釣り手の出し入れ(引く、突く、ずらす、いなすなど)が巧みである。主軸の左大外刈りから左小外掛のコンビネーションをかけるタイミングも絶妙だし、後の先も得意だ。

そして、ウルフのスタミナ量は国内外でもトップクラス。アメリカ人の父親から受け継いだパワーもある。ウルフは自身の柔道について、「自分は外国人選手より足が短いので重心が低い。それも有利な点だ」とユーモアたっぷりに話す。

自分の柔道スタイルについては、「研究3割、対応力7割」を理想としているそうだ。研究しすぎると「2018年のバクー世界柔道選手権大会で負けたときのように、考えすぎて自滅することに繋がる」らしい。

平成31年全日本柔道選手権大会

ウルフの戦う100kg級の現状についても触れておこう。かつては羽賀がトップを走っていたが、今は全日本柔道選手権大会も取ったウルフが第一人者になった。2、3年前は飯田がウルフの対抗馬と目されていたが、今は直接対決でも国内外の実績でもウルフが大きく引き離している。

つまり、100kg級はウルフが頭ひとつも二つも抜けており、それを飯田と羽賀が追う形になっているのだ。

では、2019年世界柔道選手権東京大会で、ウルフはどの選手を警戒するべきなのか。最も意識しなくてはならないのが、ヴァルラーム・リパルテリアニ(ジョージア)。2013年、2017年、2018年世界選手権銀メダリスト(2013年は90kg級)で、現在の世界ランクは1位だ。長身からの内股に威力を持ち、安定感がある。

続いて2018年バクー世界柔道選手権大会チャンピオンのチョ・グハン(韓国)。 背負投げが得意なカズベク・ザンキシエフ(ロシア)。2018年柔道グランドスラム・アブダビ優勝などの実績を持つピーター・パルチック(イスラエル)。2018年の柔道グランドスラム・パリを制しているマイケル・コレル(オランダ)など。

このようにライバルは多いが、2019年世界柔道選手権東京大会の優勝候補をひとり挙げるとすればウルフだろう。全日本柔道選手権大会で優勝し「押せ押せムード」のウルフなら期待して良さそうだ。

平成31年全日本柔道選手権大会

ウルフが柔道の道を歩みはじめたのは小学生のときである。駒澤大学の教員であるアメリカ人の父・ジェームスさんと母・美香子さんの間に生まれたウルフは、母方のおじいさんから勧められて、講道館春日柔道クラブに入門。小学校時代から体格が良かったため、団体戦の大将を任されていた。

その頃のウルフは柔道があまり好きではなく、練習にも打ちこめなかったそうだ。しかし、母に励まされたことをきっかけにして、柔道に正面から向き合うようになる。

また、ウルフは柔道だけではなく、勉強もしっかりするようにしつけられた。その甲斐もあって、小学校時代の成績は学年トップクラス。子供の頃からの勉強をする習慣が、今のウルフの対応力や研究にも活かされているのかもしれない。

「2019年世界柔道選手権東京大会で優勝して、2020年の東京五輪(柔道)の代表選手となり、そして金メダルを取る。自分は歴史に名を残す三冠王(全日本柔道選手権大会、世界柔道選手権大会、五輪のすべてを制覇すること)になる」とウルフは夢を語る。

全日本柔道選手権大会と世界柔道選手権大会はすでに獲ったことがあるので、残るは五輪(柔道)のみ。ウルフは夢の実現に向けて力強く進んでいる。

※ 掲載内容は2019年6月30日までの実績とインタビューからの情報になります。

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