渡名喜風南 強さの秘密

渡名喜風南は148pの小柄な選手だが、勝負にかける情熱は人一倍大きい。どんな窮地に立たされても、あきらめずに逆転のチャンスを狙う。その粘り強い柔道スタイルで、2017年のブダペスト世界柔道選手権大会、2018年の柔道グランドスラム大阪、2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフなどで優勝している。東京五輪(柔道)を目指して、渡名喜は不退転の決意を持ってライバルたちとの戦いに臨む。

※2019年9月2日現在

渡名喜 となき  風南  ふうな

渡名喜風南
生年月日
1995年8月1日
所 属
パーク24
出身道場
相武館吉田道場
出身大学
帝京大学
2017年
  • 柔道グランプリ・デュッセルドルフ 48kg級 優勝
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 48kg級 2位
  • ブダペスト世界柔道選手権大会 48kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム東京 48kg級 3位
  • 柔道ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 48kg級 優勝
2018年
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 48kg級 3位
  • 柔道グランプリ・ザグレブ 48kg級 3位
  • バクー世界柔道選手権大会 48kg級 2位
  • 柔道グランドスラム大阪 48kg級 優勝
2019年
  • 柔道グランプリ・デュッセルドルフ 48kg級 優勝
  • 東京世界柔道選手権大会 48kg級 2位

渡名喜風南 とは

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柔道グランドスラム大阪2018 表彰式

「最後まで絶対にあきらめない」は、渡名喜風南にぴったりの代名詞だろう。2019世界柔道選手権東京大会の女子48kg級代表選手である渡名喜は、不屈の精神を持つ柔道家だ。「指導」や「技あり」を取られて先行されても、得意の寝技に持ちこむチャンスを粘り強く狙う。渡名喜にとって逆転勝ちは珍しいことではない。148pと小柄だが、勝負にかける情熱は人一倍大きい。

渡名喜の柔道人生が始まったのは、神奈川県にある相武館吉田道場に入門した小学校3年生。この道場は名門で、2019世界柔道選手権東京大会に出場する57kg級の芳田司コマツ)、63kg級の田代未来(コマツ)も輩出している。

幼い頃の渡名喜は、男の子とケンカすることも珍しくない、おてんばな女の子。相武館吉田道場は練習が厳しいことで有名だが、渡名喜はその練習を生で見ても尻ごみすることなく「やりたい!」と言うほど、活発だった。

道場で練習に励んだ渡名喜は着実に実力を付けていき、中学2年生になると全国中学校柔道大会に出場する。だが2回戦で敗退し、中学時代に目立った実績を残すことはできなかった。

2018年全日本選抜柔道体重別選手権大会

中学を卒業すると東京修徳高校に進学。渡名喜にとって高校の3年間は勝負の年だった。と言うのも、第一線で活躍する軽量級の柔道選手の多くは高校時代に頭角を現している。つまり、軽量級で上を目指すには高校時代に才能を示すことが近道となるのだ。

渡名喜はいくつもの大会に出て、上位入賞を果たしていく。2年のときには全日本ジュニア柔道体重別選手権大会で3位、3年のときには全国高等学校総合体育大会(インターハイ)柔道競技大会全日本ジュニア柔道体重別選手権大会で2位に入賞。そして、アジアジュニア・ユース選手権大会では優勝を飾る。渡名喜は見事に才能を示して、48kg級のトップ選手への階段を上り始めたのだ。

2015年、帝京大学の2年生となった渡名喜は順調にキャリアを積んでいた。世界ジュニア柔道選手権大会を5試合オール一本勝ちという圧倒的な強さで制覇。さらに、講道館杯全日本柔道体重別選手権大会柔道グランプリ・青島も制する。特に、柔道グランプリ・青島では、2013年リオデジャネイロ世界柔道選手権大会の王者、ウランツェツェグ・ムンフバット(モンゴル)に決勝で一本勝ちという大金星を挙げたのだ。

2016年も渡名喜は大会で好成績を残していく。柔道グランドスラム・チュメニ講道館杯全日本柔道体重別選手権大会で優勝。全日本学生柔道体重別選手権大会柔道グランドスラム東京でも3位に入賞した。

2017年全日本選抜柔道体重別選手権大会

そして、2017年は渡名喜にとって忘れられない年になる。これまでの実績が評価されて、ブダペスト世界柔道選手権大会の代表選手に抜擢された。初出場の世界選手権でも、持ち前の粘り強い柔道で勝ち上がり、準決勝でオトゴンツェツェグ・ガルバドラフ(カザフスタン)、決勝でムンフバットといった強豪を下す。小学生時代からの地道な努力が実り、ついに渡名喜は世界チャンピオンの座をつかんだのだ。

ここまで渡名喜の柔道人生は大きな挫折がなかったので、順風満帆だったと言える。しかし、2018年に渡名喜の前に大きな壁が現れた。それは2000年生まれの若手選手、ダリア・ビロディド(ウクライナ)である。モデルのようにすらっとした172pの長身とアイドルのように整った顔立ちで、「最も美しい柔道家」と称えられる世界で人気のスター選手だ。日本でもテレビのバラエティ番組に出演したり、雑誌のグラビアを飾ったりもしている。

渡名喜がビロディドと初めて対戦したのは、2018年の柔道グランドスラム・パリの準決勝。世界チャンピオンとして胸を貸す立場だった渡名喜だが、ビロディドに大内刈で投げられて完敗する。続く柔道グランプリ・ザグレブの準決勝でも渡名喜はビロディドと対戦するが、今度は小内刈で「技あり」を取られて連敗を喫した。

そして、バクー世界柔道選手権大会の決勝で渡名喜は3度目の正直とばかりにビロディドに挑んだが、大内刈で投げられて返り討ちにあう。世界選手権連覇が阻止されたばかりか、ビロディドの世界選手権最年少優勝を許してしまった。だがなにより、同じ相手に3連敗したことが渡名喜のプライドを傷付けたことだろう。

柔道グランドスラム大阪2018

ビロディドを攻略することは、渡名喜に限らず48kg級の日本女子選手にとって大きな課題となっている。その長い手で奥襟をつかまれて、そこから仕掛けられる大内刈、内股などの技をどうやって凌ぐのか。当然ながら奥襟をつかまれないことが重要なのだが、リーチに優れたビロディドを相手に組み手で優位に立つことは難しい。

バクー世界柔道選手権大会後、全日本女子代表チームの増地克之監督は「ビロディドに勝てない限り、東京五輪(柔道)での金メダルはない」と断言した。この言葉からは、全日本女子代表チームがビロディドをいかに警戒しているかが分かる。

2019世界柔道選手権東京大会で渡名喜とビロディドが順当に勝っていけば、4度目の直接対決が実現する。渡名喜は3連敗中なだけに、なにかしらの対策を講じているだろう。

もちろん、2019世界柔道選手権東京大会で警戒しないといけないのはビロディドだけではない。ムンフバット、ガルバトラフ、パウラ・パレト(アルゼンチン)、カン・ユジョン(韓国)、イリーナ・ドルゴワ(ロシア)、ディストリア・クラスニキ(コソボ)などの選手も強豪だ。なかでも要注意なのは、2013年リオデジャネイロ世界柔道選手権大会を優勝している実力者のムンフバットと、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)の金メダリストであるパレトである。

柔道グランドスラム大阪2018

2019世界柔道選手権東京大会はビロディドを筆頭に強敵揃いだが、東京五輪(柔道)を目指す渡名喜は敗けられない。勝てば48kg級のトップ選手が自分であることを大きくアピールできるのだ。

そして、優勝するためのポイントとなるのは、やはりビロディドを倒せるかどうかである。かつて、ビロディドに敗れた悔しさから渡名喜はブログに「私が負けた選手は、17歳で170cmと長身の可愛い顔の子で、今のところ柔道も容姿も負けているので柔道だけは負けないように頑張ります」と書いた。他で負けても柔道だけは譲れない、この思いを今度こそ形にして欲しい。

あきらめなければ夢は叶うと言うが、あきらめないことなら渡名喜は世界チャンピオン級である。不退転の決意で勝利を追い求めた末に、ライバルの打倒と東京五輪(柔道)の金メダルが待っているだろう。

※ 掲載内容は、2019年6月30日までの実績とインタビューからの情報になります。

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