田代未来 強さの秘密

2019年に入り、2月の柔道グランドスラム・デュッセルドルフ、4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会、5月の柔道グランドスラム・バクーと3連勝を達成した田代未来。
これまで多くの柔道選手を送り出した相武館吉田道場で、過酷な練習を乗り越えてきた実力者だ。リオデジャネイロ柔道競技(五輪)でメダルを逃した田代が、2020年の東京五輪(柔道)でリベンジを狙う。

※2019年9月2日現在

田代 たしろ  未来  みく

田代未来
生年月日
1994年4月7日
所 属
コマツ
出身道場
高尾警察署・
相武館吉田道場
出身校
淑徳高校
2017年
  • 柔道グランプリ・フフホト 63kg級 優勝
  • 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 63kg級 2位
  • 柔道グランドスラム東京 63kg級 優勝
  • 柔道ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク 63kg級 優勝
2018年
  • 柔道グランドスラム・パリ 63kg級 2位
  • バクー世界柔道選手権大会 63kg級 2位
  • 柔道グランドスラム大阪 63kg級 3位
  • 柔道ワールドマスターズ・広州 63kg級 3位
2019年
  • 柔道グランプリ・デュッセルドルフ 63kg級 優勝
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 63kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム・バクー 63kg級 優勝
  • 東京世界柔道選手権大会 63kg級 2位

田代未来 とは

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柔道グランドスラム東京2017 表彰式

2019世界柔道選手権東京大会の女子63kg級代表選手である田代未来は、幼少の頃から世界のトップを目指していた。

柔道を始めたのは小学校2年生のとき。兄が柔道に打ちこむ姿を見ているうちに、柔道に好奇心が湧いたと言う。そして、地元の高尾警察署に通って、柔道を教えてもらうようになる。高尾警察署には、のちに女子52kg級の世界柔道選手権大会チャンピオン(2009年・2011年・2015年)となる中村美里も通っていた。

柔道で上を目指す田代は、高尾警察署と掛け持ちで相武館吉田道場にも通うようになる。道場での練習は厳しく、田代は「道場に行きたくない」と思いながら通っていたが、投げ出すことなく練習に取り組む。

さらに、道場以外でも父と一緒に走ったり、水泳をしたりして、体力づくりに励んだのだ。この時期に田代の肉体的、精神的な地力は作られたのだろう。

相原中学に進学すると、相武館吉田道場で寮生活を始めた。小学生のときよりも練習量は増え、長いときには10時間にも及んだと言う。田代が厳しい練習に耐えられたのは仲間に恵まれたからだ。

道場の後輩である48kg級の渡名喜風南パーク24)、57kg級の芳田司コマツ)とは、寮生活の中で苦楽をともにするうちに友情を育んだ。「一緒に日本一を目指した二人には励ましてもらいました。練習は大変でしたが、仲間と毎日修学旅行のように楽しく過ごしていたのは、とても良い思い出です」と、田代は当時を振り返る。

柔道グランドスラム東京2017

仲間たちと練習に打ちこんだ田代は、ぐんぐんと実力を付けていった。中学2年から3年にかけて全国中学校柔道大会63kg級を連覇し、3年生のときに世界カデ柔道選手権大会をオール一本勝ちで優勝。

団体でも「中学三冠」(全国中学校柔道大会、全日本選抜少年柔道大会、近代柔道杯全国中学生柔道大会)達成の原動力となる活躍をした。

淑徳高校進学後も田代の快進撃は止まらない。1年生で全日本ジュニア柔道体重別選手権大会、さらに世界ジュニア柔道選手権大会でも優勝を果たし、まさに向かうところ敵なし。田代は柔道関係者から注目されるようになっていった。

しかし、高校2年生の夏、金鷲旗高校柔道大会で悲劇は起こった。この大会は体重無差別、勝ち抜き形式の団体戦だ。優勝候補の淑徳高校は順調に勝ち上がり、準決勝で敬愛高校と対戦。この試合で重量級の選手と対戦した田代は、払巻込で投げられた際に、左膝前十字靭帯断裂という大ケガをしてしまったのだ。

再起が危ぶまれるほどの大ケガをし、これからトップ選手に駆け上がっていこうというところで長期の離脱を余儀なくされた田代。しかし、つらいリハビリを乗り越え、約1年で復帰。高校3年生の8月には、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)柔道競技大会への出場を果たし、さらに11月の講道館杯全日本柔道体重別選手権大会で3位に入るまでの復調を見せる。

田代が高校を卒業した2013年、女子63kg級では世代交代が進んでいた。2012年のロンドン柔道競技(五輪)の銅メダリストである上野順恵氏が引退したのだ。次世代を担う選手として、田代への注目度はさらに高まった。

柔道グランドスラム東京2017

田代は2013年4月から実業団の強豪・コマツに入社。全日本選抜柔道体重別選手権大会3位、講道館杯全日本柔道体重別選手権大会3位、柔道グランドスラム東京2位、そして2014年に入っても、柔道グランドスラム・パリ3位、全日本選抜柔道体重別選手権大会3位と、優勝には手が届かない。それでも、コンスタントに上位に食いこむ実績が評価され、チェリャビンスク世界柔道選手権大会の代表に抜擢された。この大会で3位に輝いた田代は、翌2015年のアスタナ世界柔道選手権大会でも3位に入賞。こうした実績を残したことによりついに、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)の代表に選出されたのだ。

ずっと憧れていた舞台に出られることが決まり、田代は「世界一になりたい」という夢の実現に燃える。しかし大会が近付くにつれて、日本を背負って出場することへのプレッシャーを強く感じるようになったと言う。

リオデジャネイロ柔道競技(五輪)本番で、3位決定戦で敗れて5位に沈んだ田代は「うれしい気持ちよりも、どうしたら良いのかという不安な気持ちが強くなってしまった」と、敗因を語った。「なんでもうひとつ勝てなかったんだろう」という悔しい思いをした田代だったが、「もっと強くなるための試練を与えてもらった」のだと気持ちを切り替えたと言う。

2019年全日本選抜柔道体重別選手権大会

リオデジャネイロ柔道競技(五輪)後、「以前から骨がずれるような状態だった」という左手首の手術を行ない、翌2017年に復帰。国際大会の復帰戦となった7月の柔道グランプリ・フフホトで優勝すると、その後12月の柔道グランドスラム東京柔道ワールドマスターズ・サンクトペテルブルクも制する。

2018年柔道グランドスラム・パリで2位入賞を果たし、バクー世界柔道選手権大会代表の座を揺るぎないものにした。

3度目の世界選手権挑戦となったバクー世界柔道選手権大会では、初めて決勝へ駒を進めるも、クラリス・アグベニュー(フランス)に敗北。世界選手権の初制覇はまたしてもお預けとなった。

アグベニューは、2014年チェリャビンスク世界柔道選手権大会、2017年ブダペスト世界柔道選手権大会、2018年バクー世界柔道選手権大会で金メダルを獲得し、2013年リオデジャネイロ世界柔道選手権大会、2015年アスタナ世界柔道選手権大会、2016年リオデジャネイロ柔道競技(五輪)では銀メダルを獲得している。つまり、2013年以降、すべての世界大会でファイナリストとなっているわけだ。まさに女子63kgの女王と呼ぶのにふさわしい強豪で、田代とのこれまでの対戦成績は8勝1敗と大きく勝ち越している。

柔道グランドスラム東京2017

「打倒アグベニュー」が果たせるかどうかは、田代の持ち味である足技の冴えにかかっているだろう。足払や引っかけるような小外刈で相手を崩し、そこから抑え込みに持っていく。または、足技で相手の動きを牽制したり、相手の意識をそらしたりしたあとに、内股、大内刈で決める。このように足技から大技につなぐのが田代の勝ちパターンなのだ。アグベニューをなんとか足技で崩すことができれば、十分に勝機はある。

2019年の田代は、2月の柔道グランドスラム・デュッセルドルフ、4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会、5月の柔道グランドスラム・バクーと3連勝。内容的にも安定しているため、2019世界柔道選手権東京大会は、おおいに期待できる。アグレッシブに前に出て、先に足技を繰り出しつつチャンスをものにする、これができるときの田代は強い。

最終目標はもちろん、東京五輪(柔道)での金メダル。それを実現するためにも、2019世界柔道選手権東京大会で「打倒アグベニュー」そして、「世界選手権の初制覇」を果たしたい。

※ 掲載内容は、2019年6月30日までの実績とインタビューからの情報になります。

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東建コーポレーションが運営する柔道ポータルサイト「柔道チャンネル」では、全日本柔道連盟オフィシャルパートナーとして、柔道にかかわる様々な情報を発信しています。東京五輪(柔道)に向けての注目選手として、女子63kg級の田代未来選手を特集。内股や小外刈で相手を崩す、キレのある柔道が印象的な選手です。
リオデジャネイロ柔道競技(五輪)ではメダル獲得となりませんでしたが、2019世界柔道選手権東京大会で優勝し、2020年の東京五輪(柔道)にてリベンジを果たす姿に期待が集まります。田代選手のさらなる活躍に注目しましょう。

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