2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフで優勝を飾り、2018年、2019年の全日本選抜柔道体重別選手権大会にて2連覇を達成するなど、今最も勢いのある丸山城志郎。
特に2018年は全日本選抜柔道体重別選手権大会だけでなく、柔道グランプリ・フフホトや柔道グランドスラム大阪、柔道ワールドマスターズ・広州で優勝するなど好成績を出し続けてきた。同じ66kg級の阿部一二三に2連勝したことから、東京五輪(柔道)への切符はどちらが勝ち取るのかと、大きな注目を集めている。
※2019年11月22日現在
丸山 城志郎

- 生年月日
- 1993年8月11日
- 所 属
- ミキハウス
- 出身道場
- 泰山学舎
- 出身大学
- 天理大学
- 2012年
-
- 全日本ジュニア柔道体重別選手権大会 66kg級 優勝
- 2013年
-
- ブレーメン国際大会 66kg級 優勝
- 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 66kg級 優勝
- 2016年
-
- 柔道グランプリ・アルマティ 66kg級 優勝
- 2017年
-
- ヨーロッパオープン・ローマ 66kg級 3位
- 全日本選抜柔道体重別選手権大会 66kg級 3位
- 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 66kg級 優勝
- 柔道グランドスラム東京 66kg級 2位
- 2018年
-
- 柔道グランドスラム・パリ 66kg級 2位
- 全日本選抜柔道体重別選手権大会 66kg級 優勝
- 柔道グランプリ・フフホト 66kg級 優勝
- 第18回アジア競技大会 柔道競技 66kg級 2位
- 柔道グランドスラム大阪 66kg級 優勝
- 柔道ワールドマスターズ・広州 66kg級 優勝
- 2019年
-
- 柔道グランドスラム・デュッセルドルフ 66kg級 優勝
- 全日本選抜柔道体重別選手権大会 66kg級 優勝
- 東京世界柔道選手権大会 66kg級 優勝
- 柔道グランドスラム大阪 66kg級 2位
丸山城志郎 とは

2018年に行なわれた柔道グランドスラム大阪で、世界柔道選手権大会(以下、世界選手権)2連覇のチャンピオンである阿部一二三(日本体育大学4年)を下し、初制覇を成し遂げた丸山城志郎。
逆境を跳ね除け、見事勝利をつかんだ丸山は同年の柔道ワールドマスターズ・広州、2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフでも優勝した。そして2019年の全日本選抜柔道体重別選手権大会(以下、選抜体重別)でも、再び阿部に勝利し優勝。着実に東京五輪(柔道)出場に近付いた。自らを「遅咲き」と称する丸山城志郎とは、一体何者なのか。
丸山は1993年8月11日生まれの宮崎県宮崎市出身。92年のバルセロナ五輪(柔道)65kg級代表だった丸山顕志を父に持ち、3歳の頃から柔道を始めた。泰山学舎で柔道の練習に打ち込み、2007年の60kg級と2008年の66kg級で全国中学校柔道大会を制覇。高校時代もさらなる飛躍が期待されたのだが、無冠のまま時間が過ぎていった。 大学は、柔道の名門としても知られる天理大学へ進学。丸山のひとつ年上の兄・丸山剛毅も天理大学に進んでいる。

2012年の全日本ジュニア柔道体重別選手権大会では、前年の兄(81kg級)に続いて優勝を勝ち取り、復活を成し遂げた。続く2013年のブレーメン国際大会でも準決勝までを一本勝ちし、見事優勝。同年に行なわれた講道館杯全日本体重別選手権大会(以下、講道館杯)では、兄より先にタイトルを獲得している。
2016年にカザフスタンで開催された柔道グランプリ・アルマティでは、IJFワールド柔道ツアー初優勝を飾り、2017年は2月のヨーロッパオープン・ローマ、4月の選抜体重別で3位に入賞するなど、着実に成績を伸ばしていく丸山。
同年11月に行なわれた講道館杯の決勝では2016年の全日本学生柔道体重別選手権大会優勝者の田川兼三(了徳寺学園職員)と対戦。丸山はゴールデンスコア(延長戦)まで続く接戦に打ち勝っている。その結果、2013年の大会以来4年ぶり2度目の優勝を達成。
2017年の柔道グランドスラム東京では、準々決勝で2017年ブダペスト世界選手権にて、銅メダルを獲得したバジャ・マルグベラシビリ(ジョージア)に一本勝ちすると、続く準決勝ではリオデジャネイロ五輪(柔道)で銀メダルを獲得したアン・バウル(韓国)から技ありを奪って優勢勝ちで勢いに乗る。
しかし、世界トップレベルの実力者たちと対等に渡り合うなど好成績を残す丸山が、ここで大きな壁にぶつかることになる。決勝戦で好敵手・阿部と当たると、丸山は敗北。大健闘の末、銀メダルを手にしたが、そのあとの大会でも、阿部との対戦は度々注目されるようになったのだ。

2018年4月に開催された選抜体重別。この大会は2018年バクー世界選手権日本代表最終選考会もかねていたのだが、丸山は決勝で田川を下し見事優勝するも、結果バクー世界選手権へ選考されたのは阿部だった。
それでも丸山は第18回アジア競技大会 柔道競技(以下、アジア大会)に選考。2回戦から準決勝まで一本勝ちを決め、準優勝まで上り詰めた。順調に勝利を重ねていたが、同年11月に出場した講道館杯は、大会直前の練習中に左膝を怪我してしまい欠場を余儀なくされることに。
怪我の影響で思うような練習ができずにいた丸山だが、自分がこれまでやってきたことを信じて気持ちを切り替えて、引き続き行なわれた同年11月の柔道グランドスラム大阪に臨んだ。決勝まで進んだ丸山を迎え撃つのは、阿部。主導権を握らせないために、丸山から先に組み立てて挑んだ試合は、延長戦まで持ち込まれるも、最後は丸山の巴投げで優勢となり、見事阿部へのリベンジを成し遂げた。この試合、延長戦に入る直前も巴投げをかけようとした丸山。しかし、この技での勝利は考えておらず、内股推しで組み立てて投げて決めようと思っていた。そのため、相手が内股を警戒したこともあり、とっさに出た巴投が効いたと丸山は分析する。会場の雰囲気も、66kg級は「阿部ムード」一色であることを感じ取った丸山は、その逆境がかえって闘争心に火を付けてくれたと明かした。
その勢いのまま、12月に行なわれた柔道ワールドマスターズ・広州でも見事優勝を飾り、2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフでは、準決勝は一本勝ち、決勝戦でも優勢勝ちを決めるなど好成績を収めている。

そして迎えた2019年選抜体重別の決勝戦は、再び阿部との対戦。丸山は序盤から内股で崩す連続技をかけるも、阿部も耐え続け、試合はなんと延長9分23秒まで続くことに。最後は丸山が巴投から崩す浮き技で技ありを奪って、阿部に2連勝。「遅咲きだけど、世界選手権代表への気持ちで、勝負に勝ったことは大きな自信になる」と丸山は語った。
勝因はその気持ちだけではない。2018年、丸山が準優勝で終わったアジア大会を機に、自身の柔道スタイルを「相手に合わせる柔道」から、「自身の柔道」を貫くことを決意。相手の中に入り込んで、左足を大きく上げる鋭い内股を追及し、さらには投げきる力を付けるために、自身よりも重い階級の相手との組合にも取り組んできた、その努力が実を結んだのだ。

また、私生活の面で、2018年の10月に結婚したことで精神的な変化も。特にアスリートには欠かせない食事面でのサポートは、これまで自身で作ったり、整骨院の先生にお世話になったりしていたのを、妻がサポートしてくれるようになったことが大きいと丸山は語る。
晴れて世界選手権への出場が決まった丸山は、「世界中の人に強い姿を見せて、東京五輪(柔道)で勝ちきりたい」と、慢心することなく東京五輪(柔道)出場への王手をかける。果たして東京五輪(柔道)への切符を手にする選手は誰なのか。丸山の快進撃から目が離せない。
※ 掲載内容は2019年7月22日までの実績とインタビューからの情報になります。
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