濱田尚里 強さの秘密

女子78kg級の濱田尚里は、学生時代からそれほど実績のある選手ではなかった。しかし、2017年にアジア柔道選手権大会や柔道グランドスラム東京などで次々と優勝して大躍進する。2018年は、バクー世界柔道選手権大会をオール一本勝ちで制覇。濱田は目覚めたように、才能を開花させたのだ。
勢いに乗っている濱田ならこのまま勝ち続けて、東京五輪(柔道)で金メダルを獲ることも夢ではないだろう。

※2019年9月2日現在

濱田 はまだ  尚里  しょうり

濱田尚里
生年月日
1990年9月25日
所 属
自衛隊体育学校
出身道場
国分西柔道
スポーツ少年団
出身大学
山梨学院大学
2017年
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 78kg級 2位
  • アジア柔道選手権大会 78kg級 優勝
  • 柔道グランプリ・ザグレブ 78kg級 優勝
  • 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 78kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム東京 78kg級 優勝
2018年
  • 柔道グランドスラム・パリ 78kg級 3位
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 78kg級 2位
  • バクー世界柔道選手権大会 78kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム大阪 78kg級 3位
  • 柔道ワールドマスターズ・広州 78kg級 3位
2019年
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 78kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム・バクー 78kg級 3位
  • 東京世界柔道選手権大会 78kg級 2位

濱田尚里 とは

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柔道グランドスラム東京2017 表彰式

濱田尚里は遅咲きの柔道選手だ。24歳まで柔道の全国大会で優勝したことがなかったのである(2014年8月に開催された、全日本実業柔道個人選手権大会にて初優勝)。

濱田の主戦場である78kg級はかつて、歯亜香里(2019年3月に引退して現在は了徳寺大学職員)、梅木真美綜合警備保障:ALSOK)、佐藤瑠香(コマツ)が3強と呼ばれる階級だった。この3選手は早くから才能の花を咲かせていたのだ。

歯は高校3年で全国高等学校総合体育大会(インターハイ)柔道競技大会、全日本ジュニア柔道体重別選手権大会を制覇。2009年に筑波大学に入学してからは、全日本ジュニア柔道体重別選手権大会、世界ジュニア柔道選手権大会などで優勝を果たす。

佐藤は高校1年生で全国高等学校総合体育大会(インターハイ)柔道競技大会を優勝し、21歳のときには全日本選抜柔道体重別選手権大会も制覇。リオデジャネイロ世界柔道選手権大会の代表にも選出されている。

梅木も高校1年生で全国高等学校総合体育大会(インターハイ)柔道競技大会を優勝し、2年生のときには全日本ジュニア柔道体重別選手権大会、世界ジュニア柔道選手権大会で頂点に立つ。環太平洋大学に入学してからは、全日本選抜柔道体重別選手権大会や講道館杯全日本柔道体重別選手権大会、アスタナ世界柔道選手権大会を制した。

この3選手が脚光を浴びている間、濱田は地道に練習に励み、才能の種に水を与え続けていたのである。

2019年全日本選抜柔道体重別選手権大会

そして2017年、濱田の才能は本格的に開花する。ヨーロッパオープン・オーバーヴァルト、アジア柔道選手権大会柔道グランプリ・ザグレブ講道館杯全日本柔道体重別選手権大会柔道グランドスラム東京を総ナメにした。

2018年にはバクー世界柔道選手権大会の日本代表に選抜。バクー世界選手権大会の選考をかねる同年の全日本選抜柔道体重別選手権大会で敗れながらも、2017年の柔道グランドスラム東京での優勝が評価されたことにより勝ち得た代表の座だ。

そして、バクー世界柔道選手権大会では5試合すべて一本勝ちという素晴らしい内容で金メダルを獲得。世界柔道選手権大会を獲ったことにより、濱田は歯、佐藤、梅木の3人に柔道家として追いついたのである。ついに、遅咲きの花は早咲きの花と背丈を並べたのだ。

大会後、濱田は「バクー世界柔道選手権大会で優勝しても、まだまだ東京五輪(柔道)の代表争いは安心できません。ひとつひとつの大会を勝ち抜いて2020年を迎えたい」という意欲的なコメントをした。

柔道グランドスラム大阪2018

身長167cmの濱田は、女子78kg級の選手にしては小柄である。外国人選手と対戦すると、ほとんどの場合、頭ひとつ小さい。

バクー世界柔道選手権大会の準々決勝では、187pのクララ・アポテカー(スロベニア)と組み合うと、濱田の頭が相手の帯の位置になるほどの高低差があった。しかし、濱田は巴投をかけたのち、帯取返のような要領で体勢を上下に入れかえることに成功し、最後はがっちり横四方固で抑え込んだ。

この試合から分かる通り、濱田の操る寝技の技術は非常に高い。相手を崩して寝技に持ちこめば、身長差は関係ないというわけだ。濱田は柔道ファンや関係者から「寝技師」と呼ばれている。

濱田の寝技を高いレベルにまで引き上げたのは、大学時代に取り入れたサンボである。サンボとは、柔道とレスリングを合わせたようなロシアの民族格闘技だ。濱田は2014年の世界サンボ選手権大会で優勝している。サンボを学んだことにより、立ち技から寝技に持っていく技術が洗練されたという。

また、濱田の並外れた握力も寝技の強さに結びついている。左65kg、右60kgという握力は女子選手とてしては非常に高く、中量級の男子柔道選手でもなかなかこの数字は出せない。さすが「好きな練習メニューはウエイトトレーニング」と言うだけのことはある。

寝技が得意な選手は遅咲きかつ選手生活が長い傾向にあるが、濱田はまさにその典型だ。20代後半だが、ここ1、2年の戦いを見る限り、技術的にはまだ発展途上にあると言える。

柔道グランドスラム大阪2018

近年、濱田の技術で最も向上したのは立ち技だろう。「寝技師」と呼ばれているほど寝技に長けている濱田だが、裏を返せば、立ち技に関しては寝技ほどのレベルに達していないとも言える。

実際に濱田が負けるときは、大柄な選手に立ち技で組み負けて、投げられるというパターンが多い。だからこそ、濱田は立ち技を集中的に練習したのである。

「投げることが大好き。稽古も8割が立ち技」と、寝技は万全の濱田が立ち技まで極めたら、まさに鬼に金棒である。

さて、2019世界柔道選手権東京大会で濱田の脅威となるのは、どのような選手だろうか。

まずは、バクー世界柔道選手大会で2位のフッシェ・ステインハウスと3位のマリンド・フェルケルクのオランダ勢。

次に、IJFワールドランキング上位のマイラ・アギアル(ブラジル)、アレクサンドラ・バビンツェワ(ロシア)、マドレーヌ・マロンガ(フランス)、オドレー・チュメオ(フランス)。

そして、実力者であるアンナ・マリア・ワグナー(ドイツ)、アントニーナ・シュメレワ(ロシア)。

柔道グランドスラム大阪2018

特に警戒しなければならないのはマドレーヌ・マロンガとオドレー・チュメオである。ふたりはそれぞれ、濱田を2回も倒しているからだ。

チュメオは濱田と年齢が同じでベテランである。2011年のパリ世界柔道選手権大会の王者で、2014年のチェリャビンスク世界柔道選手権大会では2位、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)では銀メダルを獲った実力者だ。組み手がうまく、内股や足技などの破壊力は特筆すべきものがある。

マロンガは濱田より3歳若く、大外刈を得意とする選手。2018年のヨーロッパチャンピオンであり、勢いに乗っている選手と言えるだろう。

濱田は海外の強豪たちを倒して世界柔道選手権大会を2連覇し、東京五輪(柔道)代表選手の座をつかむことができるのか。78kg級の国内のライバルである梅木や佐藤も東京五輪(柔道)代表選手の座を狙っている。2019世界柔道選手権東京大会で勝てば、ライバルたちに大きな差を付けることができるのだ。

遅咲きではあるが、才能の大輪を咲かせた濱田。これまでの努力が実を結び、東京五輪(柔道)で金メダルを手にすることができるか注目したい。

※ 掲載内容は、2019年6月30日までの実績とインタビューからの情報になります。

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