藤原崇太郎 強さの秘密

2018年の柔道グランドスラム・パリ優勝や同年の柔道グランドスラム・エカテリンブルグ優勝、2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフ優勝など、目覚ましい実績を持つ藤原崇太郎。中学生のときから、「日本を背負って立つ柔道選手になるに違いない」と期待されていた柔道エリートだ。持ち味である返し技の巧さ、豊富なスタミナ量を武器にして、東京五輪(柔道)で世界の頂点を狙う。

※2019年8月1日現在

藤原 ふじわら  崇太郎  そうたろう

藤原崇太郎
生年月日
1998年4月27日
所 属
日本体育大学
出身道場
西脇柔道スポーツ少年団
出身校
日本体育大学荏原高校
2017年
  • ヨーロッパオープン・ローマ 81kg級 3位
  • アジア柔道選手権大会 81kg級 優勝
2018年
  • 柔道グランドスラム・パリ 81kg級 優勝
  • 柔道グランドスラム・エカテリンブルグ 81kg級 優勝
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 81kg級 2位
  • 柔道グランプリ・ザグレブ 81kg級 3位
  • バクー世界柔道選手権大会 81kg級 2位
2019年
  • 柔道グランドスラム・デュッセルドルフ 81kg級 優勝
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 81kg級 3位
  • 柔道グランプリ・フフホト 81kg級 2位

藤原崇太郎 とは

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2018年全日本選抜柔道体重別選手権大会 表彰式

中学時代から、将来は柔道の日本代表になるだろうと多くの関係者から注目されていた藤原崇太郎。アテネ五輪(柔道)で金メダリストになった野村忠宏氏(男子60kg級)に憧れて、6歳から西脇スポーツ少年団(兵庫県)で柔道を始めた。

当時のことを藤原は「道場生はそんなに強くはありませんでしたが、道場の先生と父親が厳しかった。練習は週3回くらい。父が居残りに付き合ってくれて一緒に練習したけど、それが嫌でしょっちゅう泣いていました」と話す。勝っても負けてもあまり喜怒哀楽を表に表さない、今の藤原からは想像しにくい姿である。今や大物と言われる選手になった藤原も、最初は泣きながら練習していたというわけだ。

小学校時代はさしたる実績はない。でも、心の芯は強かったのだろう。柔道に愛想を尽かして逃避することはなかった。父の圧力もあったろうし、自らやり始めたことに責任を持とうとする心も後押ししたのかもしれない。藤原は柔道続行を選び、地元の強豪中学である小野中学校(兵庫県)に進学した。

もうひとつ、柔道を続けた理由がある。それは藤原がマッチョに憧れていたからだ。尊敬する柔道家はなんと、漫画「柔道部物語」(小林まこと著)に出てくる耕談館浦安高校のエース・西野新二。筋肉の塊のような体、能面のような表情が特徴で、超高校級の柔道選手だ。半分は冗談だろうが、西野のようなパワーとキレのある業師が、藤原が憧れた将来の姿だった。無表情で、勝つときは容赦ない技で相手を一蹴する西野。確かに藤原の柔道スタイルに似ているかもしれない。

2019年全日本選抜柔道体重別選手権大会

小野中学校は当時、全国中学校大会で団体準優勝を2回経験している強豪チームだった。

藤原は、小学校時代は相手の技を受け、すくい投げなどで切り返す技術が得意だったが、小野中学校に入学後は、「まっすぐ立って組むこと」を顧問から指導される。

「良い姿勢で組めば、受けも強くなるし受けてからの返し技もスピードを持って出せる。小野中学校には大きい選手が多くいたが、この組み方を続けることで、相手が大きくても太刀打ちできるようになった」と藤原は練習したことを思い出す。

中学時代に柔道スタイルを変えたことは、世界を目指すためには必要な改革でもあった。このあと、藤原は中学2年、3年と全国中学校柔道大会81kg級で優勝。一躍強化選手になり、さらに多くの関係者から注目を集めた。

2014年4月に日体大荏原高校東京都)に入学。以後藤原の快進撃が続く。高校1年で全日本カデ柔道体重別選手権大会(以下、全日本カデ)優勝。2年では全国高等学校柔道選手権大会優勝、全日本カデ2連勝、全国高等学校総合体育大会(以下、インターハイ)、全日本ジュニア柔道体重別選手権大会と4タイトルを独占した。2016年には飯田健太郎(国士舘高校)とともに高校生でシニアのB級強化選手に。B級はA級に次ぐポジションで、世界選手権大会、五輪(柔道)代表になる資格がある。高校生でB級強化選手になることは滅多にない。

2019年全日本選抜柔道体重別選手権大会

2017年に日本体育大学(東京都)に進学。ジュニアの大会を総ナメしたのち、シニアでもやっていけると自信を深めたのが、同年5月に香港で行なわれたアジア柔道選手権大会での優勝。藤原にとって、初めてのシニア国際大会での優勝だった。

だが、直後の6月。講道館での国際合宿で左足内則靱帯を損傷。シニアのトップ選手への道は遠のいた。2ヵ月間、治療とリハビリをしたのち、8月のユニバーシアード競技大会になんとか出場したものの、稽古不足で敗者復活2回戦で敗退。

悪いことは続く。11月の講道館杯全日本柔道体重別選手権大会で復活からの優勝を狙ったが、今度は直前に右足のヒザがパンパンに腫れて痛みの中で強行出場。結局、7位で涙を呑む。「歩くのもやっとだった」が、負傷の原因は分からなかった。大学1年生は、ニュースの表舞台に出ることはなかったのである。

だが、2018年2月の柔道グランドスラム・パリで、柔道ファンは久々に、藤原の健在ぶりを知ることになった。なんと、この大舞台でいきなり初優勝を果たしたのだ。さらに藤原は同年3月の柔道グランドスラム・エカテリンブルグでも優勝。この2大会での優勝は、藤原が世界へ飛び出す最初の転機となり、同時に注目選手に返り咲くこととなった。「柔道グランドスラム・パリの優勝で、世界での戦いに自信が持てるようになった」と藤原は当時を振り返る。特に、このときはサギ・ムキ(イスラエル)、 アントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)といった、世界のトップクラスの選手に勝利したことに大きな価値があるだろう。

2019年全日本選抜柔道体重別選手権大会

受けが強く、スタミナがあり、技も切れる。さらに返し技が巧いといった点が藤原の柔道の特長で、どちらかと言うと立ち技の印象が強い選手だが、柔道グランドスラム・パリでは、寝技でも「一本」を取った。藤原は、ジュニア時代に比べて一段レベルアップしたことを示したのだ。

藤原が柔道グランドスラム・パリで鮮烈な復活優勝を果たした背景には、「負傷して稽古ができない間もトレーニングを欠かさなかった」努力があった。

このインパクトのある優勝で、藤原は一躍若手の有望株に定着する。そして、2019年の世界柔道選手権東京大会(以下、東京世界選手権)代表に選ばれるのだが、藤原は同年の全日本選抜柔道体重別選手権大会(以下、選抜体重別)でケガから復活してきた永瀬貴規旭化成)に敗れている。永瀬にはここ1〜2年の国際大会での実績がなく、藤原には柔道グランドスラム・パリ優勝と2018年バクー世界柔道選手権大会での銀メダルという実績があったことで勝ち得た日本代表だ。

ただ、東京世界選手権では強力なライバルもいる。外国勢で最も警戒しなくてはならないのはサイード・モラエイ(イスラエル)。バクー世界柔道選手権大会と2019年の柔道グランプリ・フフホトで、藤原を2度も破っている。世界ランクもトップで払腰が得意な選手だ。モラエイをどう攻略するかが、藤原の世界選手権優勝のカギになると言ってもいいだろう。

2018年全日本選抜柔道体重別選手権大会

他の世界のライバルは2015年ヨーロッパチャンピオンのサギ・ムキ、グランプリで何度も準優勝しているマティアス・カス(ベルギー)、内股巻き込みを得意とするドミニク・レッセル(ドイツ)、リオデジャネイロ柔道競技(五輪)金メダリストのハサン・ハルムルザエフ(ロシア)ら。藤原が勝ったことのある選手たちだが、もちろん警戒を怠ってはいけない。

今回の東京世界選手権に出場するわけではないが、国内の強力なライバルたちも虎視眈々と東京五輪(柔道)代表の座を狙っている。佐々木健志(ALSOK)と前出の永瀬らだ。佐々木は2018年の全日本選抜柔道体重別選手権で藤原に勝っている。

さらに、同年の柔道グランプリ・フフホト、柔道ワールドマスターズ・広州、柔道グランドスラム大阪などで優勝したのは、記憶に新しい。かつての第一人者・永瀬も復活の兆しを見せている。藤原、佐々木、永瀬の三つ巴の東京五輪(柔道)代表争いは、今後さらに激化するだろう。

藤原が2人の強力なライバルを押さえて五輪(柔道)代表候補になるためには、東京世界選手権の結果が大いに関連してくる。金メダルなら東京五輪(柔道)代表に大きく一歩踏み出すことになるが、敗れた場合は3者による仕切り直しに突入することになるのだ。

東京世界選手権の男子日本代表(個人戦)の中では、最年少の藤原だが、高校時代から団体戦でも個人戦でも幾多の修羅場をくぐってきており、経験は十分。抜群の受けの強さで相手の技を受け切り、無尽蔵とも思えるスタミナで相手の心を折る。

81s級は日本のウィークポイントと言われるが、バクー世界柔道選手権大会での銀メダルが決してまぐれでないことを証明し、東京五輪(柔道)代表の座に大きく近づけるか、東京世界選手権は正念場の戦いとなる。

※ 掲載内容は2019年6月30日までの実績とインタビューからの情報になります。

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東建コーポレーションが運営する柔道ポータルサイト「柔道チャンネル」では、全日本柔道連盟オフィシャルパートナーとして、柔道にかかわる様々な情報を発信しています。東京五輪(柔道)に向けての注目選手として、男子81kg級の藤原崇太郎選手を特集。受けの強さ、豊富なスタミナ、技の切れ味を武器にして、ライバルたちを打ち倒す姿が印象的です。2019世界柔道選手権東京大会で優勝すれば、2020年の東京五輪(柔道)代表選手の座に大きく近づくことになります。初の五輪(柔道)出場に向けて、畳の上で躍動する藤原選手から目が離せません。

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