朝比奈沙羅 強さの秘密

朝比奈沙羅は異色の柔道選手だ。講道館杯全日本柔道体重別選手権大会を4連覇するなど78kg超級の女子選手としての実績を残しながら、医師になるための勉強にも注力してきた。東京五輪(柔道)のあとは柔道選手を引退して、本格的に医師への道を歩むと言う。つまり、朝比奈にとって東京五輪(柔道)が、最後の五輪(柔道)となる。金メダルを勝ち取り、有終の美を飾る姿を期待したい。

※2019年9月2日現在

朝比奈 あさひな  沙羅  さら

朝比奈沙羅
生年月日
1996年10月22日
所 属
パーク24
出身道場
春日柔道クラブ
出身校
渋谷教育学園渋谷高校
2017年
  • 柔道グランドスラム・パリ 78kg超級 優勝
  • 皇后盃全日本女子柔道選手権大会 優勝
  • 柔道グランドスラム・エカテリンブルグ 78kg超級 優勝
  • ブダペスト世界柔道選手権大会 78kg超級 2位
  • 世界柔道無差別選手権大会 優勝
  • 柔道グランドスラム東京 78kg超級 優勝
2018年
  • 柔道グランドスラム・デュッセルドルフ 78kg超級 優勝
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 78kg超級 2位
  • 皇后盃全日本女子柔道選手権大会 3位
  • バクー世界柔道選手権大会 78kg超級 優勝
  • 柔道グランプリ・ザグレブ 78kg超級 3位
  • 柔道グランドスラム大阪 78kg超級 3位
2019年
  • 柔道グランドスラム・デュッセルドルフ 78kg超級 2位
  • 全日本選抜柔道体重別選手権大会 78kg超級 2位
  • 皇后盃全日本女子柔道選手権大会 2位
  • 東京世界柔道選手権大会 78kg超級 3位

朝比奈沙羅 とは

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柔道グランドスラム東京2017 表彰式

朝比奈沙羅は、ジュニア時代から将来を期待される柔道選手だった。全国中学校柔道大会、全日本カデ柔道体重別選手権大会、世界カデ柔道選手権大会、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)柔道競技大会、全国高等学校柔道選手権大会、全日本ジュニア柔道体重別選手権大会と、ジュニアタイトルを総取り。

2013年には高校2年生で初となる講道館杯全日本柔道体重別選手権大会の優勝を達成。「期待されていることを励みにこれからも頑張ります」と、素直な優勝コメントが印象的だった。

その後も朝比奈は2014〜2016年まで講道館杯全日本柔道体重別選手権大会を勝ち続けて、2013年から4連覇を成し遂げる。

2015年には、初めて挑んだ海外大会である柔道グランプリ・チェジュで優勝、2016年には柔道グランドスラム東京、2017年には柔道グランドスラム・パリ皇后盃全日本女子柔道選手権大会で優勝した。

朝比奈は、右組みから払腰、払巻込、フェイント入りの支釣込足で相手を倒すことを得意としている。立ち技で崩したら寝技勝負というスタイルだ。135kgと世界でも大きい方の朝比奈が、寝技でガチッと抑えたら相手は身動きが取れない。朝比奈は78kg超級の世界トップレベルまで成長していった。

柔道グランドスラム東京2017

ところが、2018年になると朝比奈の前に強力なライバルがあらわれる。メキメキと実力を付けた福岡県南筑高校3年の素根輝だ。

2018年の全日本選抜柔道体重別選手権大会で、朝比奈は素根と激闘を繰り広げる。その結果、ゴールデンスコア(延長戦)で「指導3」を奪われて敗れてしまう。

2017年まで順調に大会で勝っていた朝比奈が負けてしまうとは、柔道ファンからすると予想外だった。しかも、これまでの対戦では素根の組み手を封じて朝比奈が勝っていたのに、まさかの敗戦に朝比奈のショックは大きい。

それから朝比奈は素根に負け続ける。2018年の皇后盃全日本柔道選手権大会柔道グランドスラム大阪でも敗れて3連敗。

2019年になっても悪い流れを断ち切ることができず、全日本選抜柔道体重別選手権大会皇后盃全日本女子柔道選手権大会で敗れ、ついに5連敗を喫してしまったのだ。皇后盃全日本女子柔道選手権大会後、朝比奈は「死ぬ気で戦ってきたが結果が出なかった。これからは殺気をこめて戦っていく」という決意を語った。

柔道グランドスラム東京2017

朝比奈にとって、素根は東京五輪(柔道)代表の座を争う最大のライバルとなる。「殺気をこめて」は穏やかではないが、そのくらいでないと勝てないと朝比奈は踏んでいるのだろう。

朝比奈の敗因は、素根にペースを取られてしまっていることにある。素根はスタミナが豊富で、長い試合を得意としている。

実際に朝比奈を破った5試合のうち4試合は延長戦に持ちこんでいるのだ。2019年の皇后盃全日本女子柔道選手権大会のあとには「延長戦になったら、朝比奈選手の足が乱れているのが分かった」と、朝比奈のウィークポイントを指摘している。

つまり、朝比奈は前半優位に戦ったとしても、延長戦で素根に巻き返されてしまうのだ。朝比奈が素根を倒すためには、長期戦に対抗するためのスタミナ量、または長期戦に持ちこませない決定力、このどちらかを身に付ける必要がある。

78kg超級は今のところ朝比奈、素根以外、東京五輪(柔道)代表の座に手が届きそうな選手は見当たらない。代表争いはふたりのマッチレースと言って良いだろう。

全日本女子チームの増地克之監督は「朝比奈と素根の間に差はない」と公言している。だから、2枠ある2019世界柔道選手権東京大会の女子78kg超級代表にも二人が選ばれているのだ。

柔道グランドスラム大阪2018

海外の実績では朝比奈に分がある。朝比奈は2018年のバクー世界柔道選手権大会で優勝していることが大きい。

とは言え、今回の2019世界柔道選手権東京大会の結果次第では、朝比奈を差し置いて素根が東京五輪(柔道)代表選手になることも十分に考えられる。今大会は、朝比奈と素根にとって「柔道人生を左右する」大事な戦いになってくるのだ。

78kg超級の海外のライバルにはどんな選手がいるのか。まず名前が挙がるのがイダリス・オルティス(キューバ)。組み手の巧さに定評があり、これまで2012年ロンドン五輪、2013年リオデジャネイロ世界柔道選手権大会、2014年チェリャビンスク世界柔道選手権大会で優勝している強豪。朝比奈は2019年の柔道グランドスラム・デュッセルドルフでオルティスに敗れている。朝比奈、素根、どちらにとってもこの選手が最大の強敵と言える。

その他には、2017年柔道ワールドマスターズ・サンクトペテルブルク優勝のキム・ミンジョン(韓国)、2018年柔道グランドスラム・アブダビ、柔道グランプリ・ハーグ優勝のマリーナ・スルツカヤ(ベラルーシ)、2018年バクー世界柔道選手権大会3位のカイラ・サイト(トルコ)、2019年柔道グランドスラム・エカテリンブルク優勝のマリア・アルテマン(ブラジル)なども警戒が必要だ。

2019世界柔道選手権東京大会は、8月25日〜9月1日という残暑の続く時期に行なわれる。温度と湿度の高い気候に慣れるのに苦労する海外選手もいるかもしれない。その点では、日本選手が有利と言えるだろう。

柔道グランドスラム大阪2018

朝比奈は「医師になることが将来の夢」という異色の柔道選手だ。父が医師、母が歯科医という家庭環境のなかで、小学生のときには「自分も医師になる」と決心したという。

2018年3月に行なった記者会見では、柔道のキャリアを終えてからはセカンドキャリアとして医学部への編入学を考えていることを公表。

また、柔道選手として活動するのは東京五輪(柔道)までということも公言している。

彼女は東海大学に入学するときも、医学部を受験したが合格を果たせずに体育学部に入学した。東海大学医学部へ編入学するには英語の読解力に優れていると有利と言われているが、朝比奈は高校時代、外国人記者の通訳もしていたくらいだから英語が得意である。

思い残すことなく医師の道に進むためにも、朝比奈は柔道で頂点を取ったという証が欲しいのだろう。証とは東京五輪(柔道)での金メダルに他ならない。だからこそ、夢の舞台に立つための資格を賭けた2019世界柔道選手権東京大会は、絶対に負けるわけにはいかないのだ。

ライバルである素根との代表争いを制して、世界一の栄冠を手にすることができるのか。朝比奈の柔道人生は正念場である。

※ 掲載内容は、2019年6月30日までの実績とインタビューからの情報になります。

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東建コーポレーションが運営する柔道ポータルサイト「柔道チャンネル」では、全日本柔道連盟オフィシャルパートナーとして、柔道にかかわる様々な情報を発信しています。東京五輪(柔道)に向けての注目選手として、女子78kg超級の朝比奈沙羅選手を特集。右組から払腰や払巻込、支釣込足などの技で相手を崩して、寝技を決めるのを得意としています。135kgという重量を活かした寝技は非常に強力です。東京五輪(柔道)で朝比奈選手が大活躍することを期待しましょう。

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