世界の柔道事情

中国・香港

中国の国内でも場所が違えば認識も違う「柔道」

中国・香港

中国が柔道選手の育成に乗り出そうと、「柔道訓練班」の一期生を誕生させたのが1979年。中国大陸において「柔道」はまだ新しいスポーツに属しており、空手や合気道、テコンドーの教室はあっても、一般市民が通える柔道教室はほとんどないのが現状です。
一方、香港では『姿三四郎』などのテレビ番組が早くから放送されていたこともあって柔道に関心を持つ人は多く、老若男女を問わずたくさんの人たちが礼儀正しく、そして楽しく学んでいます。

武道精神や礼儀にあこがれ、大盛況の香港柔道

「弱い身体を鍛えたい」「自己防衛の手段として日本武道を身につけたい」「柔道の先生になりたい」など、柔道を習う人たちの動機は様々ですが、香港で行なわれる柔道大会は年間1,000人を超える出場者で賑わっています。
柔道愛好家が増加の一途をたどる香港の柔道協会では日本から専属コーチを招聘、ナショナルチームの選手の強化にも努めています。
また、各種国際試合に選手を派遣するほか、日本で行なわれる大学の柔道合宿にも参加するなど非常に積極的。近年は軽量級選手の進歩がめざましく、今後の活躍が大いに期待されています。

香港柔道館

『自他共栄』の原理を一生かけて体得したい

杜沛充さんの練習風景

香港の杜沛充さんが柔道を始めたのは5年前のこと。「もともと武術に関心があって、太極拳や空手を学んだこともあります。最初は技に惹かれて始めた柔道ですが、今は嘉納治五郎先生の『自他共栄』の原理を、一生をかけて体得したいと思っています」と、今は柔道の精神にも興味を持っている様子。
「勝利至上主義ではなく、精神鍛錬を目的とした『日本の柔道』を教えてくれるからこそ、香港柔道館を選びました」という杜さんは、まっすぐな瞳で話してくれました。

共に学びあう仲間と「精神の鍛錬」を実感

香港勤務だった頃は、週に2〜3回は柔道館に通っていた杜さん。自宅から2時間弱かかる中国大陸の入口・シンセン市での勤務となってからは、毎週土曜日の夕方に稽古に通っています。
準備運動から入って形、特に乱取りが主な練習ですが、最近は「講道(柔道の研究・指導)」にも非常に興味を持っているのだとか。
広東語や英語、そして北京語が飛び交う道場では、柔道を通じて共に学びあう仲間たちと「精神の鍛錬」を強く実感していると言います。

香港柔道館の練習風景

香港に根ざした柔道館、人として『一本』の生きる道を伝える

香港柔道館のトロフィーや楯など

1966年に20畳の広さからスタートした「香港柔道館」。
ここは香港唯一の常設道場で、神棚とともに弟子たちの出身国の国旗が飾られています。ミュンヘン、モントリオール、ロサンゼルスと3回のオリンピックで香港チームの監督を務めた館長は、ここから1万人を超える門弟を送り出してきました。
国際都市・香港において、柔道の練習を通じて各国の柔道家と相互理解を深め、国際親善が推進される場としても大切な役割を持っています。

日本の伝統文化に興味を持つ人の入口

「香港柔道館」では、独自の練習方法や土地に合わせた教え方などはなく、日本の柔道をそのままやっているのが特徴。
稽古の前後に行なわれるストレッチでは日本語で「いち、に、さん、し!」と全員で声を出し、組み稽古では国籍も職業も違う人たちが素足で取っ組み合っています。
道場から一歩でも外へ出る時は、道場に向かって皆きちんとお辞儀。正座して黙想、そして掃除。礼に始まり礼に終わる。「相手に敬意を表して自分の力を試す」という日本そのままの柔道が、香港にもありました。

香港柔道館の様子

杜さんから日本の皆さんへ

杜沛充さん

「柔道を通して鍛錬を重ね、柔道の創始者・嘉納治五郎の精神『自他共栄』を一生かけて理解したいと思っています。
今、稽古だけでなく柔道に関する本などもたくさん読んで勉強しているところです。
中国や日本をはじめ、世界中で一人でも多くの方が柔道を学び、人々が相手を敬い、相手に感謝の心を持ち、そして、その先に世界平和が実現したら素晴らしいですね」

香港柔道館

  • ■所在地:Hong Kong Judo Kan, 12 Floor East Point Centre, 555 Hennessy Rd, CWB, HK
  • ■連絡先:2591-4570
  • ■URL:http://www.hongkongjudokan.com

※記事の内容は2008年10月現在の情報となります。


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