著名な柔道家インタビュー

  

塚田真希1/3

 
   

2004年のアテネオリンピックにおいて金メダルを獲得し、皇后盃全日本女子柔道選手権大会では9連覇の偉業を成し遂げ、2010年12月に惜しまれつつも引退した元女子柔道78kg超級日本代表の塚田真希さん。そんな塚田さんに柔道との出会いやオリンピックでのエピソード、これからの活動などを中心にお話を伺いました。

   
 

お正月とお盆以外は練習漬けだった高校時代

私が柔道を始めたのは中学生のとき、部活動の見学で柔道部の先輩に声をかけられたのがきっかけでした。それまでは、道場に行ったこともまったくなかったです。

顧問の先生は柔道の経験がなく、ラグビー部と兼任の先生だったので、試合で負けても怒られたことはなかったですし、落ち込んでいる自分をいつも励ましてくれました(笑)。

でも、トレーニングに寝坊して遅れたことが1回あって、そのときはすごく怒られました。練習姿勢については厳しく指導されていました。

土浦日本大学高等学校時代の思い出と言えば、とにかく練習ですね。

すごい練習量の多い高校で、休みはお正月とお盆に3日ずつあるだけ。とにかく練習漬けだったので、思い出といったらハードな練習しかないです。

あとは、寮生活だったので、みんなでご飯を作って、大きいテーブルを囲んで食べてという団体生活ですかね。

中学生のときはけっこう楽しく柔道をしていて、あまり勝負に対してどうとかは考えなかったんですが、その延長で高校に入って楽しくできるのかなぁと思っていたら、高校の練習はとにかくきつかったです。

東海大学時代で特に思い出深いのは、団体戦で1年生と、4年生のときに優勝したことです。「私たちの大学が全国で一番!」というのはやはり特別な嬉しさでした。

1年生のときに優勝したあとの2年間は、あゆみちゃん(谷本歩実)が在籍していた筑波大学に負けたりだとかいろいろあって。でも4年のときにまた奪回できたことが、やっぱり思い出深いですね。

亡き父の言葉で掴んだ世界選手権代表の座

塚田真希

高校のときは練習で相手にかなわなくて「もう嫌だなぁ、やめたいなぁ」と思うこともありました。

でも、大学生になってからは、一生懸命頑張ればそれなりに自分のしたいことを試合でできるようになるというのを掴んだので、そういう気持ちになることも少なくなりました。

それでも、海外の選手との試合では、勝手が分からなくて思うようにできず、先生にも怒られてという負のスパイラルに陥って、ずいぶん落ち込んだこともありました。

世界柔道選手権大会に出たくても、ちょっとした国際大会でも勝てないので自信をなくしてましたね。「この先柔道をやっていっていいのかな」と思い悩んだこともありました。

ちょうどそんな時期に、父親が他界してしまったのですが、生前に父親がメールで送ってくれた言葉を思い出しました。「弱気は最大の敵だから、とにかく強気で頑張って自分の柔道をしなさい」というものでした。

これは、もともと父親が好きだった広島カープの津田恒美さんの言葉の受け売りなんですけど、その人の本を読んで、自分に重ね合わせてこういうふうに頑張ればいいんだと思いました。

開き直って試合に出たら思いのほか体が動いて、結果も残せて。それからだんだん自分のペースをつかめるようになって、初めて世界柔道選手権大会の代表にも選ばれたんです。

井上康生先輩との出会い

塚田真希

シドニーオリンピックに出場された井上康生先輩は私が大学1年生のとき4年生で、私が康生先輩の存在をすごく大きいなと感じたのは、父親を亡くしたときです。

ちょうど同じ頃に先輩もお母様を亡くされていたのですが、私が、「長女だし、これからどうしよう…」みたいな感じでふさぎこんでしまっていたときに、先輩が「大変だと思うけど、頑張ることでお父さんの供養になると思う。だから、今は辛いかもしれないけど、やっぱり柔道頑張らなきゃダメだよ」ってメールを下さったんです。

「(実家から)戻ってきたらおいしいご飯をご馳走してやるから」と。で、実際に大学に戻ったら、すぐに先輩が食事に連れて行ってくれて。

先輩も辛い経験をされているのに、私は自分だけが辛いみたいになっちゃっていたなと。そうやって励ましてくれる人もいるのに、自分は内にこもりがちになってしまい、良くないなということを気付かせてくれた先輩の一言でした。

それからも、ことあるごとに先輩がアドバイスをくれて、そのときに何気なく「最近走るのが嫌いなんです」って言ったら、「元気になれるようにジャージをプレゼントしてやるよ」と言ってジャージを買って下さいました。

それで自分も頑張ろうと思ったんです。本当に尊敬している先輩です。

先輩とは所属実業団(ALSOK)もずっと一緒なので、卒業後も仲良くしてもらっています。

イギリスから帰国して落ち着かれてからも、いろいろと今後のこととか、自分がどういうふうに進んでいったらいいのかを漠然と悩んでいたりすると、すぐに連絡をくれて、いろいろ話を聞いてくれます。

この前も、会社で電話をとっているんですけど、先輩から電話がかかってきて(笑)。私、テンションが上がると声がフロア中に響いちゃうから、小さい声で話していたんですけど、そしたら「元気ないみたいだけど、元気出して頑張れよ」と言われてしまって(笑)。

そういうちょっとしたことでも気を遣ってくれるんですよね。

ALSOKに就職したいと思ったのも、もともと先輩と同じところで自分も柔道を磨いていきたいなと思ったからなんです。それを所属の東海大学の先生に相談してみたところ、ちょうどALSOKも新しく女子柔道部を創るから迎え入れたいと言ってくれて。それで入社することになったんです。

皇后盃10連覇を前に決意した気持ち

塚田真希

皇后盃は9回優勝することができましたが、一番思い出深いのは2008年度の薪谷先輩との決勝ですね。先輩はその試合を最後に引退されたんですけど、その試合は、思い出すと今でもうるうるしてしまうぐらい感慨深いです。

9連覇までしたのだから10連覇を目指せば良かったのにといろいろな方に言われました。

しかし、北京オリンピックが終わって、自分のなかである程度燃え尽きちゃったようなところがあったんです。オリンピック後の2年間、2009年、2010年の2大会はなんとか優勝しましたけど、無理やりやっているという感じがすごく強かったんです。

いい加減もうもたないだろうなと思いながら出場したのが2010年の大会でした。正直、よく優勝できたなと自分では思っています。

2011年大会については、たしかに10連覇という記録がかかっていましたが、戦う意欲が湧いてこないなかで出場するのはどうかなと、ずっと迷っていたんです。

9月に強化選手辞退を表明してから、周りから、特に薪谷先輩から、「1回戦勝てるか勝てないかというような状態で出てほしくない。」と言われたときに、自分ひとりの問題じゃないんだなと思い、引退することを決意しました。

3月ぎりぎりまで悩んでも良かったのかなとも思いましたけど、次に進むためにも、そこでスッパリ。だから、未練はまったくないです(笑)。

でも、9連覇は、いま思い返しても本当にめちゃくちゃきつかったです。1年1年挑戦者だからと、自分に言い聞かせてはいましたし、(連覇なんて)関係ない関係ないと言い続けましたけど、やっぱりしんどかったですね。

ライバルであり親友でもある薪谷翠先輩との思い出

塚田真希

薪谷先輩と初めて試合したのは、大学1年生のときの団体戦でした。そのときは私がたまたま勝っちゃったんですが、次に対戦したときはもう散々にやられてしまいました(笑)。

先輩は海外の選手にもめっぽう強くて、海外での実績も私とは比べものにならないくらいでしたから、当時はライバルだなんて全然思っていませんでした。

試合ではとにかく向かっていくことしか考えてなくて、先輩が強いとかを考えるよりも、とにかく必死でしたね。

ただ、練習のときにいろいろ感じることは多かったです。あの小さな体でものすごくうまくて、多才で器用な人だなと。私が全く歯がたたないような強い選手を、試合で使ったことないような技でいとも簡単に投げるんですよ。ホントにすごいなぁと思って見ていましたね。

プライベートでも親しくて、買い物とかにも一緒に行くんですが、先輩は現在全日本のシニアコーチをされていてすごく忙しいので、たまに行く買い物が気晴らしになるんでしょうね。

薪谷先輩はなんでも買おうとするので、最後の最後に私が「先輩、本当にこれ必要ですか?」って声をかけるんです。先輩が欲しいと言った物をズラッと並べて、そのなかで本当に必要な物を聞いて、それだけを買うようにしているんです。

最近買った紺とピンクのパーカーは特に、お似合いですね。店員さんに勧められると、先輩は人がいいので断れないんですよ。だから、断るのが私の役目みたいな感じです(笑)。

 

インタビュー:2011年3月

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