著名な柔道家インタビュー

  

村上清事務局長1/3

 
   

コーチとして20年間フランスに滞在し、柔道指導者のフランス国家資格を取得。帰国後、(株)ミキハウスの柔道部コーチを経て、全日本柔道連盟の事務局長に就任された村上清氏。
柔道との出会いやフランス滞在時のエピソード、これからの活動などを中心にお話を伺いました。

   
 

全日本柔道連盟 事務局長として

私が所属している全日本柔道連盟(以下、全柔連)の役割を簡単に説明しますと、全国47都道府県の各柔道連盟・協会や加盟団体・構成団体など、日本全国の柔道団体や柔道関係者を統轄している組織です。また、日本オリンピック委員会(以下、JOC)に加盟していますので、柔道競技の普及振興と競技力の向上を使命として活動をしています。

柔道と言えば、嘉納治五郎師範の創始された「講道館」の名前がすぐに思い浮かぶと思いますが、「講道館」は生涯スポーツとして柔道の普及振興を担う目的であるのに対し、「全柔連」は競技スポーツとして競技力の向上を目的としています。この二つの団体が車の両輪となって、国内外で幅広く柔道の普及振興に当たっているというわけです。

全柔連の組織体制としては、常置の各専門委員会と、プロジェクト組織としての特別委員会があり、これらの活動を支える組織として私共の事務局があります。

現在、事務局では、全柔連の機関運営にかかわる日常業務に加え、各専門委員会で検討・協議するための企画や資料を作成しています。また、全国の加盟・構成団体に柔道界に関する最新情報を伝えたり、全国からの様々な意見を吸い上げたりして、緊密な連携を図っていくことも事務局の重要な仕事として行なっております。

事務局長としては、これらの多くの仕事にきめ細かく目配りをしていくことはもちろんですが、事務局各課の持つ情報を全柔連内の各専門委員会はもとより、理事会・評議員会などを通じて分かりやすい形で全国に発信し、また全国の意見を正しく受信していくということも、私達の大事な役割だと思っています。

全柔連には、世界と戦うために全国各地の優れた選手が集結しています。ただ国際大会でいい成績を残すだけでなく、柔道は歴史的にオリンピックで多くの金メダル獲得することを期待されています。この期待に応えるためにも、全国の柔道指導者が気持ちをひとつにし、力を合わせて、世界で勝ち抜く選手を育成していく必要があると考えています。

柔道との出会い

村上清事務局長

私の子供の頃は、スポーツと言えば野球くらいしかなくて、バットとグローブを持って、よく友達と遊んでいました。しかし、野球というのは、打つ順番がなかなか回ってこないし、ボールが飛んできても取れませんでしたので、「私の性格には合わないな」と感じていました。そのため、小学生の頃は音楽が好きでしたので、クラブ活動は軽音楽クラブに入っていたんですよ(笑)。

柔道を始めたのは、中学からでした。近所の人が中学で柔道をやっていて、「おまえは体がデカイから柔道に来い」と言われて、無理矢理道場に連れて行かれました。

そこに、私が柔道人生を歩んでいく、ひとつの大きなきっかけがありました。先輩のお父さんが京都の洛南高校の平田良吉先生で、先輩に「お父さん(平田先生)のところへ行かないか?」と誘って頂き、洛南高校へ行くことになったのです。

先生は、天覧試合を優勝された経験があり、昔のすごい人という感じの凛とした方で、口数の少ない怖い先生でした。高校では、先生に組み方、歩き方、受身など、柔道の基本を改めて学ぶことができました。

あるとき、先生に「内股を教えて下さい」と尋ねたところ、道場の端に連れて行かれ、「壁に手をつけて足上げをしろ」と言われました。はじめは全く意味が分かりませんでした。私は、内股を教えて欲しいと言ったのに何で足上げなのだろうと。

そして、先生に「技を覚えるのに何回上げたらいいでしょうか?」と尋ねたところ、先生から「技を覚えるのに何回やればいいですか?はないだろう」と一喝され、足払い(一人足振り)も含めて、自分で1日それぞれ1,000回という目標を立ててやっていました。

また、「かかとを上げて、つま先だけで歩きなさい」と言われたこともありました。何のためかなと思いながら、そのときも「どのくらいですか?」と尋ねてしまいました(笑)。

結局、高校1年から大学4年までの7年間、つま先だけで歩き続けました。そのため、私は走るのが遅かった…。何故なら、走るときもつま先だけで走っていましたので、早く走れる訳がありませんよ(笑)。

ただ、先生に言われた練習を必死にこなして来たのですが、なんと、高校2年生頃から相手がどちらの足に体重を掛けているのかが分かり、相手の動きがスローモーションに見えてきたのです。

つまりこれは、体重移動や体捌きをうまくできるように、という練習だったのだと、そのときはじめて気付きました。先生は私に、組み方・基本動作・手技・足技について、今のような猫背で組むような柔道ではなく、真っ直ぐ立って、きっちり組む柔道を伝えたかったのではないでしょうか。

しかし、なぜ先生は、「足上げ」や「足払い」、「つま先歩き」などの練習をやることで、どういった効果が出るのかを説明してくれなかったのか…。そこが、平田先生の真髄でしたね。こいつに理屈を言ってもしょうがないと思われていたのかもしれませんが(笑)。

同級生からの刺激

高校3年のときに京都代表として国体に出たことが、私にとって柔道人生の中で大きな刺激となりました。

国体では、熊本が優勝したのですが、その熊本代表で出場していたのが上村会長だったのです。同級生に「こんなすごいやつがいるんだ」と思った瞬間でした。その他、同級生には天理の藤猪省太がいて、遠藤純男さん、川口孝夫さんなど強い選手が多く、こういう皆さんに刺激を受けて、もっと頑張らなければいけないなと感じました。

天理大学へ進学したきっかけは、洛南高校の平田先生が天理大学の松本安市先生の先輩であり、平田先生に「お前は松本がいる天理大学に行け」と言われたからです。

しかし、大学入ってからの壁は非常に厚かったですね。私は、柔道の理屈なんて考えずに、平田先生に教わった柔道を必死にやってきました。そして、大学4年のときに、関西大会で優勝できたときは非常に嬉かったですね。

他に刺激と言えば、大学2年のときだったと思いますが、同級生の藤猪省太が世界柔道選手権大会で優勝しました。藤猪とは練習したらそんなに差はなく、「なんで藤猪が国際大会に出れて、俺が出られないんだろう」と不思議に思っていました。なので、国際大会に出られなかったことで逆に、海外に対して興味が沸いたのかもしれませんね(笑)。

フランスで国家資格取得

村上清事務局長

天理大学を卒業してからは、近江鉄道に勤めていました。私の祖父が近江鉄道の会長をしていたので、そこに残っていれば今頃は、創業者一族の御曹司、ということになっていたかもしれません(笑)。

でも、今まで柔道ばかりやってきたのに、“なんで、こんなところで事務の仕事をやっているんだろう”と感じてしまい、半年で退職してしまいました。ちょうど退職した頃に、天理大学にフランスのチームが合宿に来ていて、先生から「フランスが若い柔道のコーチを探しているけど、2年契約でフランスに行ってみないか」と誘われたのです。

海外への興味が非常に強かったため、私は二つ返事でフランスへ行くことを決断しました。1974年からフランスへコーチとして出向いたのですが、コーチとして行ったはずだったのに、言葉が分からない、生活習慣も分からない、ただ分かるのは柔道だけでしたので、「これはコーチじゃないぞ」と思い、よく見てみるとただの練習相手だったことに気付きました。

言葉もしゃべれないようでは「何がコーチや!」と自分自身に憤りを感じました。

そこから、言葉、生活にも慣れてきて、2年(契約期間)が終わる頃には、良い選手をひとり育てていましたので、「村上さん、フランスに残ってくれないか」と頼まれたのです。私は「ただの練習相手では残らない。ちゃんとした指導者としての資格が欲しい」ということを承諾してもらい、フランスに残ることに決めました。

フランスにおける柔道の資格制度は、もともとフランス柔道連盟が交付する制度でしたが、1972年から国が資格を交付するようになっていました。資格のランクは、上から3級・2級・1級の3段階に分かれており、ナショナルチームのコーチになるためには3級の資格が必要です。

簡単に言えば、1級免許に受かれば、柔道の先生ができ、2級免許では、道場主をすることができます。3級免許は、大学・大学院でスポーツ・柔道の課程を修了していないと受験することができない資格であり、ナショナルコーチは、国家公務員でもあるのです。

私の場合は、天理大学の体育学部で柔道の資格や格技コースの課程を修了していたため、日本から3級免許に必要な卒業証明書などを取り寄せ、すべての試験の科目をクリアして、1978年にフランスで柔道の国家資格を取得することができました。

 

インタビュー:2011年8月

このページのTOPへ

  • 全日本柔道連盟

  • 弊社は、財団法人全日本柔道連盟(全柔連)のオフィシャルパートナーです

  • 公益財団法人 講道館

  • 東建は、日本伝講道館柔道を通じた青少年育成事業を応援します

  • 柔道ブログ

  • 柔道整復師ブログ

  • 接骨院・整骨院ブログ

柔道整復師情報
柔道整復師情報を詳しく見る
  • 柔道整復師専門学校検索

全国接骨院情報
全国接骨院情報を詳しく見る
  • 全国の接骨院・整骨院検索

  • ケータイ版・スマートフォン版
    「柔道チャンネル」へのアクセスはこちら

    ケータイ版柔道チャンネル

  • スマートフォン版柔道チャンネル

柔道チャンネルでは、柔道部・日本柔道・国際柔道・世界柔道・柔道整復師・柔道整復師専門学校・接骨院の関連情報がご覧頂けます。また、柔道大会情報や柔道家・選手紹介、柔道組織情報、柔道お役立ち情報など柔道に関する情報が満載です。

注目ワード